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ファルーサ・カイデン4-2

 そして今日も、いつもの城壁の穴を通ってスライムを探しに来た。

 いつものように、森の外周部を探していると、・・・・・・・、いた!半透明のスライムだ。

 早速、アイテムボックスから短剣を取り出し、全速力で駆け寄ると「敏捷3」の効果もあってすぐにスライムは目の前だ。

 「体術3」の効果も加わって素早く動けるうえに、早く動いても相手の核はブレることなくはっきり見えている。

 「筋力3」のおかげで、あれほど重く感じていたのに、今では軽々と振り回せる短剣でその核を突き刺し、一撃でスライムを倒した。

 色々とスキルを取って、そのレベルを上げたから、ここまであまり時間がかかっていない。この調子なら、あと2匹はいけるか?

 早々にスライムを一匹倒し余裕ができたので、少しだけ森の奥に入ってみる。とは言っても、外周部から100M(メタ)以上は入らないように注意しながらである。

 15分程探していると、木と木の間に大きな蜘蛛の巣が張っていて、その真ん中辺りに500M(ミリ)M(メタ)程も大きさのある蜘蛛がいた。

 こんなのと戦うなんてムリムリ!

 俺は全速力で別方向に逃げ出した。

 しばらくの間、デカい蜘蛛から逃げること以外は考えずに走って、もう大丈夫かと思い立ち止まったところで、ここはどこだろうかと周りを見回す。

 少しばかり森の奥に入りすぎているかもしれない。これは危険だからすぐに森から出ようと考えた時、「プーン」と小さな虫の羽音のようなものが聞こえてきた。

 何だろうと思い、音の聞こえてきた方向を注視する。

 いた。蜂が飛んでいた。しかも、恐らく300M(ミリ)M(メタ)程は大きさがあると思われる。

 無意識に、また別方向に全速力で逃げていた。

 怖い、怖い、怖い・・・

 飛ぶことのできる魔物に追いかけられたら、走るしかできない俺はすぐに追いつかれてしまうだろう。

 あんなデカい蜂と戦うなんて、さっきのデカい蜘蛛と同じくらい無理無理!

 またしばらく走った後、後ろを振り返って蜂が追いかけてきていないのを確認してから、走る速度を緩める。

 すると、前方にあった茂みから「ガサッ」と音がしたと思ったら、角ウサギが一匹飛び出してきた。

 角ウサギもビクッとして立ち止まったが、俺は立ち止まるどころじゃない。4か月前の痛みが恐怖としてよみがえり、完全に体が硬直してしまった。

 「物理防御6」があるので、今更角ウサギの攻撃程度では傷一つ負わない、と言うのは頭ではわかっているのだが、理屈じゃないんだ。角ウサギの額から生える、先の鋭く尖った細い角を見ると、どうしてもあの痛みを思い出してしまうんだ。

 一瞬だけ驚いた(ように見えた)角ウサギだが、立ち直りは早く、すぐに俺に向かってダッシュしてきた。

 それに対して俺は、少し身体を丸め、手を顔の前で交差させて、目を固く閉じることしか出来なかった。

 そう、敵から目を離して、防御にもなってない防御姿勢を取るという、絶対にしてはいけないことをやってしまっていた。

 そうしていると、すぐにおなかに「トン」と、軽く何かが当たったような感触があった。またすぐに、左わき腹へ「トン」、次に背中に「トン」とあった。

 ここまでされて、やっと俺にも理解できた。

 角ウサギが、その角で俺を刺そうと3回攻撃してきたことを。

 そして、やっと実感できた。

 角ウサギの攻撃は、俺には全然効いていないことを。

 右わき腹に「トン」と来たのと同時に、うっすらと目を開けてそこを見てみると、攻撃された感触のあった場所の真下に角ウサギが着地するところで、角ウサギはすぐに離れていき、そこでこちらを睨んで動かなくなった。

 攻撃が効かなかったので、どうすべきか考えているんだろう。

 俺は、我ながら現金な奴だと思うのだが、痛い思いをしないということが分かった途端に、心に余裕を持つことができた。

 今度は俺の攻撃だ。

 機会があれば試してみようと思っていた「土魔法4」の使い方。攻めあぐねて相手の足が止まっている今が、絶好の機会だ。

 角ウサギの真下の土を固く、固―――っく角ウサギの角のように成形し、上に向かって伸ばす。先は鋭く、細く、長く。

 「いけっ!」と心の中で念じると・・・

 グロっ!!

 地面から伸びた、200M(ミリ)M(メタ)程の長さの、一本の細い円錐状の角と言うか、棘と言うか、そのような物に、角ウサギが腹から貫かれ、背中からその切っ先が見えている。

 角ウサギはしばらくじたばたともがいていたが、地面に縫い付けられているような状態で動くに動けず、貫かれた傷口から流れる血が広がっていくにつれ、次第に静かになり、静寂が訪れた。

 俺の動悸だけが、やたら大きく聞こえる。

 とりあえず、「土魔法4」で角のような物を土に戻すと同時に、角ウサギを中心に穴を作って死体を落として埋めた。

 そこまでしてから、自分が落ち着くのを待つ。

 10分経ったか、20分経ったか分からないが、やがて動悸が収まってきた。

 そして、先程の魔法を検証する。

 確かに俺の思った通りの形に土を変形させ、角ウサギを倒すことができた。今後、この魔法は、角ウサギ程度の大きさの魔獣等に対しては大変有効な攻撃手段となるだろう。

 しかし、土の角?土の棘?いや、ここは土の槍と言うことにしよう。土の槍は、俺のイメージでは長さが1M(メタ)位にはなる筈だったんだが、実際には200M(ミリ)M(メタ)程度にしかなっていない。

 これでは少し大きな魔獣には届かない。

 魔法での攻撃って、こんなもんなのか?それとも俺の使い方が悪いのか?このままじゃあ、魔法攻撃って、言いたくはないが、あまり役に立たないぞ。

 いや。待て。魔法?

 ・・・・・・・・・・

 スキルの「基本」に、確か「魔力」ってのがあったなぁ。魔法をあまり使わないんで、今まで気にしてなかったけど。

 同じ「基本」の「筋力」や「敏捷」、「持久力」を上げたら、身体能力が驚く程上がったことを考えれば、「魔力」を取ってレベルを上げれば、魔法の効果が驚く程上がるのか?

 物は試しだ。先にスライムで稼いだSP100を使って、「魔力3」を取る。

 「魔力が10加算される」とあるので、俺には調べる術がないが、魔力という能力値が10上がっているのだろう。

 それじゃあ「土魔法4」で試してみようとしたその時、近くでガサガサと音がした。

 その方向には大きな茂みがあり、そこから、また角ウサギが跳び出してきた。

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