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世界の成り立ちとスキルー3

 これは俺の勝手な想像だが、この時低級神様は、自分達を命がけで守ってくれた者へ感謝することすら出来ない人族を出来損ないと見限り、一度滅ぼした上で、新たな知的生命体をこの星で育てようと考えていたのではないかと思っている。


 かくして、さらなる力を手に入れた勇者は、その場にいた全ての者を殺し、他の貴族、王族のところに向かった。

 それらを全て滅ぼしたのち、他国の統治者、権力者のところにも向かった。

 領軍や国軍が迎撃に当たったが、勇者にとって何の障害にもならなかった。彼の進む前方にあるものは、人も魔獣も魔物も、植物ですら全てが命を奪われた。

 人々は助けてほしいと神様に願ったが、ある日、世界中の聖職者に神託が下った。

「高潔で心優しい、何の罪もない勇者をここまで貶め、このように変質させたのはお前達人族である。人族は自らその罪を贖え」

 この神託により、人々は自分達が何をしたのかやっと理解したが、既に遅すぎた。

 勇者は時間をかけ、全ての国の統治者や権力者を、その家族を含めて殺し、滅ぼした。

 また、その進行方向にあったものも全て殺された。

 これにより、魔王軍侵攻によって人口を減らされた人族は、さらにその人口の半分を失った。

 ここまでの状態となって、神様がやっと、人族に対して憐れみを感じ始めた。

 人族を赦す気にはならなかったので、直接助けたりはしなかったが、少しだけ勇者に抗うことが可能となるように、この世界のシステムに改変を加えた。

 これまでは、人族も魔族も魔獣達も等しく、SPを獲得すれば、その種族や固体特有のスキルに、優先的にSPが自動で割り振られていた。

 しかし、魔族はこの世界から退場し、魔獣達は人族ほどの知能は有していない。

 そこで、1つ目の改変として、人族に対してのみ、取得できるスキルの種類を公開し、その上で獲得したSPの割り振り先のスキルを、自分で選べるようにした。


 つまり人族は、この時から現在のように、自分の望む方向に自分を強くすることが可能となったのである。


 これにより、特定のスキルに特化して能力を高めた者が、多く現れ始めた。

 やがて、数年を要しはしたが、攻撃魔法に秀でた者、防御に秀でた者、治癒に秀でた者等が各国から集まり、連合軍を編成して勇者と対峙した。

 それでも勇者は強大で、戦いは苛烈を極めた。

 長い戦いの果てに、連合軍はその人員の大半を失いながらも、ようやく勇者を倒すことができた。

 その後、世界は4つの国に再編され、それぞれの国の政治体制に合わせて各国の地方を統制する者も決まっていった。

 復興の過程で各国の統治者やそれぞれの地方を治める者として選ばれた者達は、世界が滅びかけた反省から、絶対に自分達の利益を追求することなく、国民・住民のための政治を行った。

 これに対し各国の国民達は、他国や他領との交渉の場等で、自分達の事を最優先に考えてくれる統治者等が、他の統治者等より見劣りしないように、統治者達の衣食住のランクを、見栄を張ってでも上げるように望み、それを叶えるために一所懸命に働いた。

 国民達の事を思い少ない税しか徴収しない統治者達と、それならばと低い税率ながらも多く稼ぐことにより収める税額自体を増やそうとする国民達、そうして増えた税収を、やはり国民達の生活向上のための制度に使う統治者等、と言った、何ともおかしな関係により、どの国も次第に人口も豊かさも戻って行った。

 5,000年も経つと、地方貴族の中には自分の利益しか考えないおかしなのも出てきているが、国の統治者は国民最優先の政治を行い、現代に至っている。


 さて、勇者に対抗するために、自ら望むスキルにS(スキル)P(ポイント)を割り振れるようになった人族であるが、それを可能とするため、どのような種類のスキルがあって、スキルのレベルを上げるためにSPをどれだけ要するかが解るように、人族は皆、望めばスキルの一覧等が視界の中に表示されるように、神様がこの時にしてくれたとのことである。

 個人の固有スキルや種族特有のスキルは、その該当者にしか表示されないが、俺の視界に表示できるスキルは次のとおりである。

 まず「基本」のスキルだが、「生命力量」、「魔力量」、「筋力」、「敏捷」、「魔力」、「持久力」となつている。

 次に「攻撃」のスキルだが、「剣術」、「槍術」、「弓術」、「体術」、「火魔法」、「水魔法」、「風魔法」、「土魔法」、「重力魔法」、「空間魔法」、「合成魔法」、「精神魔法」となっている。

 「防御」のスキルは「物理防御」、「魔法防御」、「毒耐性」、「麻痺耐性」、「高温耐性」、「低温耐性」、「精神攻撃耐性」、「即死耐性」である。

 「回復」のスキルは「生命力量回復速度向上」、「魔力量回復速度向上」、「疲労回復速度向上」、「治癒魔法」、「状態異常回復魔法」、「蘇生魔法」となっている。

 「生活」のスキルは「料理」、「掃除」、「洗濯」から、「農業」、「漁業」、「商業」、「鍛冶」、果ては「思考」、「記憶」まで雑多である。

 「その他」のスキルは「使役」、「念話」、「鑑定」とある。

 魔獣等を倒すのに直接必要とは思われない「生活」スキルが、どれも低レベルまでしか用意されていないのに対し、他のスキルはどれも1から11レベルまで用意されている。

 そしてどのスキルも、レベル毎に必要なSPは同じで、レベル1のスキルを獲得するにはSPが10必要だ。

 それをレベル2まで上げようとすると、さらに45、つまりトータルで50のSPが必要となる。

 レベル3がトータル100、レベル4が500、レベル5が1,000、レベル6が5,000、レベル7が10,000、レベル8が50,000、レベル9が100,000、レベル10が500,000、レベル11が1,000,000、SPが必要となる。

 SP1,000,000ってどんだけだよ。

 単純計算だと、普通の人が毎日5匹ずつスライム倒して550年足らず。

 ・・・、無理、無理・・・

 でも、昔の人達は、そうやって一つか二つのスキルを高めて、皆で力を合わせ補い合って、攻めてきた勇者を倒したんだろう。

 俺が神様からもらった「獲得SP100倍」って、そう考えると、とてもズルい能力なんだと思う。

 後から、あれは間違いだったから返してくれとか、その能力で得たSPも返してもらう、とか言われないだろうな?

 言われたらどうしよう・・・・

 いや、あの神様が、この星を管理する神様の上司の上司がくれた能力なのだから、間違いではないはず。

 そう思いたい。

 そうでなければ、ハンターを目指すのは止めて、泣くぞ。


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