一人になりたくない
MP: 7/20
7。
息を整えようとしながら、その数字をじっと見つめた。
体が重く感じた。
眠気とは違う。
肉体的な疲労でもない。
何かが内側から空っぽになったような、そんな感覚だった。
「これがマナ切れってことか…」
岩に背中を預けた。
目を閉じた。
休まなければ。
そうだ。
それが最善の策だ。
数分そこで休んで体力を回復し、それから水と食料、そして安全な場所を探そう。
…
目を開けた。
「本当に大丈夫?」
周囲を見回した。
木々。
茂み。
影。
影が多すぎる。
目覚めてほんの数分後、レベル8の狼が現れた。
そして、私はほとんど運だけで生き延びた。
私の魔法は標的にすら当たっていなかった。
もし狼が溶岩の周りをぐるぐる回っていたら…
もしもう一匹現れていたら…
もしあの狼がレベル8ではなくレベル15だったら…
私はごくりと唾を飲み込んだ。
「いや。」
MPが20しかないなんて頼りにならない。
ましてや、たった1つの魔法で12も消費するのだから。
もっと強くなる必要がある。
そして、私にはそれができる道具があった。
コンソールを開いた。
レン
種族:人間
年齢:18歳
HP:100/100
MP:7/20
魔力:低
身体能力:平均
私の目はある単語に止まった。
編集
「アイテムを編集できるなら…」
すでに灰色の石を青色に変えていた。
コンソールで自分のステータスを分析できた。
だから…
「自分のステータスを編集できるのか?」
危険な考えだった。
分かっていた。
特に、この世界ではコンピューターを再起動しただけではミスは直せないと知ってからは。
しかし、もう一つ分かっていた。
弱ったままそこにいるのは危険だ。
自分のプロフィールを選択した。
ターゲット:レン
そして:
編集
ウィンドウが変わった。
プロパティを選択
様々なオプションが表示された。
年齢
身体能力
魔法能力
HP
MP
スキル
私はその場に立ち尽くした。
「本当にできる…」
MPを選択した。
現在の最大MP:20
下に一行表示された。
target("Ren").edit("MaxMP")
唇を噛んだ。
いくらにすればいいんだ?
50が妥当なように思えた。
でも、もし変更するなら…
なぜ50だけなんだ?
100だ。
そうすれば最大MPが5倍になる。
その時、狼のことを考えた。
レベル8。
ただの狼だ。
もしドラゴンがいたら?
悪魔がいたら?
巨大なモンスターがいたら?
私は二度目のチャンスを求めた。
慎重すぎたせいで初日に終わってしまうのは嫌だった。
「生き残らなければならない。」
値を変更した。
MaxMP = 100
コンソールが反応した。
警告
眉をひそめた。
ユーザーパラメータに重大な変更が検出されました
肉体的および魔法的な負担が予想されます
「ストレス?」
別の警告が表示された。
推奨事項:パラメータを徐々に増やしてください
これで十分だったはずだ。
コンソールを閉じるべきだった。
休む。
20から30に。
40の後で。
自分の体がどう反応するか確認する。
常識のあるプログラマーなら誰でもそうするだろう。
問題は、私が疲れていたことだった。
怖かった。
一人ぼっちだった。
そして、私を殺せる生物がいることを知ったばかりだった。
「ゆっくりやっている時間はない。」
「実行」を選択した。
「確認しますか?」
「はい。」
「2回目の確認が必要です」
私は立ち止まった。
「2回も確認?」
それは決して良い兆候ではなかった。
しかし…
うーん…
凍りついた。
何か聞こえたのだろうか?
木々の方を見た。
何もない。
もしかしたら気のせいかもしれない。
これで決まりだ。
「逃げろ。」
コンソールが光った。
改造中…
最初は何も起こらなかった。
「うまくいったのか?」
そして、激痛が走った。
うっ!
膝から崩れ落ちた。
まるで胸の中で何かが爆発したようだった。
一体何なんだ?!
耐え難い熱が全身を駆け巡った。
腕が震えた。
視界がぼやけた。
改造中
やめろ!
コンソールは反応しなかった。
23%
ああ…!
胸を押さえた。
私は間違いを犯した。
とんでもない間違いを。
コンソールは警告していた。
私の体には限界があった。
それを一度に5倍にしようとしていた。
まるで、部品が耐えられるかどうか確認もせずに、機械の出力を無慈悲に上げるようなものだった。
41%
―頼むよ…!
吐き気がした。
52%
数秒間、気を失いそうになった。
それは死を意味する。
まただ。
「いや…」
土に指を食い込ませた。
「統計を改ざんして死ぬなんて…」
あまりにも屈辱的だ。
71%
心臓が激しく鼓動した。
83%
「頼むよ…」
94%
歯を食いしばった。
100%
そして…
すべてが消え去った。
痛みも。
熱も。
疲労感も。
私は膝をついたままだった。
呼吸をしながら。
待った。
1秒。
2秒。
「終わったのか?」
コンソールの表示が変わった。
変更成功
最大MP:20 → 100
目を開けた。
「やった…」
しかし、さらに良いことが起こった。
MP:7/100
―よし。
これで当面の問題は解決しない。
まだ7しかない。
ため息をついた。
―そうだ。最大値を増やしただけで、現在の値を増やしたわけじゃなかった。
崩れ落ちた。
―なんて馬鹿なんだ。
そして、コンソールが再び点滅した。
魔力容量拡大
魔力吸収率上昇
—吸収
祈り?
何かを感じた。
空気を。
説明できない。
まるで優しい電流が体の中に流れ込んでくるようだった。
MPを見た。
MP:8/100
――え?
待った。
MP:9/100
――まさか。
数字は増え続けていた。
私の体に新たに備わった能力が、周囲のマナを吸収していた。
少しずつ。
しかし、以前よりもずっと速いペースで。
10。
12。
15。
深呼吸をした。
疲労感が薄れ始めた。
――これ……
立ち上がった。
足の震えが以前ほどではなくなった。
20。
25。
虚無感が消えていく。
微笑んだ。
――うまくいった。
私は愚かだった。
危険だった。
初日としては、おそらく最悪の決断だっただろう。
しかし、うまくいった。
最大MP:100
これで溶岩火球を複数回使えるようになった。
そして、もしこの魔法を最適化する方法を学べば…
もっと使えるようになる。
よかった。
気分が良くなった。
ずっと良くなった。
しかし、重要なことも学んだ。
コンソールで自分の能力を改造できる。
これはとてつもないことだ。
ステータスを上げられる。
もしかしたら、筋力も向上するかもしれない。
スピードも。
スタミナも。
アビリティを追加することもできる。
可能性は無限大だ。
だからこそ、慎重にならなければならない。
「一度に10個も改造してはいけない。」
私は既に、その結果を悟りかけていた。
再び森を見渡した。
今、私はさらに力を得た。
しかし、根本的な問題は依然として残っていた。
自分がどこにいるのか分からなかった。
この世界を知らなかった。
どんな植物を食べられるのかも分からなかった。
街がどこにあるのかも分からなかった。
どんな生き物がいるのかも分からなかった。
そして何よりも…
私は一人だった。
その言葉を聞くと、不安になった。
一人。
また一人。
こんな風に何年も過ごしてきた。
一人で働き、
一人で食事をし、
一人で家に帰る。
そして今、二度目のチャンスを与えられた…
モンスターだらけの森で、完全に一人ぼっちで目覚めるというチャンスを。
「一体誰がこんなひどいユーモアセンスを持っているんだ。」
しかし、その時、あることを思いついた。
「創造」。
コンソールには創造機能があった。
光の球体を創造した。
呪文を創造した。
では…
その機能はどこまで使えるのだろうか?
コンソールを開いた。
作成
オブジェクト
プログラム
構造体
説明が再び表示された。
「プログラム」という単語をじっと見つめた。
「プログラム…」
以前の生活には、アシスタントがいた。
ボット。
人工知能。
情報を分析し、質問に答え、タスクを実行できるプログラム。
すぐに誰かを見つける必要はない。
もしかしたら、自分を助けてくれるものを作れるかもしれない。
アシスタント。
環境を分析してくれるもの。
危険を警告してくれるもの。
情報を整理してくれるもの。
戦闘中にコンソールを操作するのを手伝ってくれるもの。
狼に頭を食いちぎられそうになりながらプログラミングしようとするのは、効率的とは言えなかったからだ。
「アシスタントが必要だ。」
アイデアが膨らみ始めた。
自動化されたプログラム。
常に稼働している。
コンソールに接続されている。
脅威を分析できる。
ステータスを管理してくれる。
魔法の開発をサポートしてくれる。
もしかしたら…」
言葉を止めた。
「話せるのか?」
それは便利だろう。
すごく。
そして…
認めたくはなかった。
でも、それも悪くない。
別の声が聞ける。
完全に孤独ではない。
新しいウィンドウを開いた。
新規プログラムの作成
空欄が表示された。
岩の横に腰を下ろした。
「よし。」
この世界に来て以来初めて、これは間に合わせの解決策ではない。
きちんとやりたかった。
アーキテクチャが必要だ。
機能。
制約。
コンソールアクセス。
情報処理。
インターフェース。
人格…
言葉を止めた。
「人格?」
それは事態を複雑にする。
単純なアシスタントを作るだけなら、人間にする必要はない。
しかし…
もしそれができたら?
コンソールを見た。
作成オブジェクトを作成する。
プログラムを作成する。
プロパティを編集する。
スキルを習得する。
もし、これらすべてを組み合わせたらどうなるだろう?
学習能力を持つプログラム。
思考能力を持つアシスタント。
もしかしたら、体さえも。
待て…
心臓がドキドキし始めた。
これはもはや単なるプログラミングではない。
私に寄り添ってくれる何か、
私が生き延びるのを助けてくれる存在を作ろうとしているのだ。
狼との遭遇の後、あることがはっきりと分かった。
私は驚異的な能力を持つことができる。
MPを増やすことができる。
魔法を作り出すことができる。
しかし、私はこの世界を知らない。
そして、遅かれ早かれ、私は間違いを犯すだろう。
逃れられないかもしれない間違いを。
私は空っぽの窓を見つめた。
「私一人では、こんなことはできない。」
そう口にするのは奇妙な感じがした。
以前の私は、すべてを背負おうとしていた。
すべてのプロジェクト。
すべての問題。
すべての責任。
私はいつも思った:
私ならできる。
そして、できなかった時は…
ただひたすら努力した。
燃え尽きるまで。
もう二度とあんな思いはしたくない。
この人生では。
今度こそ、助けを求めることは、自分が役立たずだということにはならない。
もしかしたら、何かを学んだということなのかもしれない。
私は少し微笑んだ。
「じゃあ、始めよう。」
コンソールが待っていた。
プロジェクトの仮タイトルを考えた。
シンプルなものに。
プロジェクト:アシスタント
目的:自律型支援システムの開発
プログラム
コンソールが応答した。
プロジェクト受理
画面下に予期せぬメッセージが現れた。
警告
自律型知能の構築には高度なプログラミングスキルと膨大なマナが必要です。
私はその警告をじっと見つめた。
そして、微笑んだ。
「高度なプログラミングスキル?」
長年、私は不可能なプロジェクトばかりを任されてきた。
誰も手を出したがらないシステム。
不具合だらけのコード。
非現実的な納期。
本来ならチーム全体で取り組むべき問題。
そして初めて…
これまでの苦労が、ついに報われるかもしれない。
私はコンソールの前に腰を下ろした。
「よし。」
見えない画面に手を伸ばした。
「さあ、本当に私が言われているほど平凡な人間なのか、確かめてみよう。」
そして、プログラミングを始めた。
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