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命がけで逃げながらプログラミング

シャドウウルフ


レベル:8


敵対度:高


――…


私は狼を見つめた。


狼も私を見つめていた。


それは巨大だった。


茂みから現れた時、想像していたよりもずっと大きかった。


黒い毛皮は、木々の間から差し込む光を吸収しているように見えた。分厚い足には長い爪があり、黄色い目は私から決して離れなかった。


ゆっくりと口が開いた。


グルルルル…


牙が見えた。


――ええと…


私は一歩後ずさりした。


狼は一歩前に出た。


私はもう一歩後ずさりした。


狼はもう一歩前に出た。


――話し合って解決できるだろう?


ガオー!


――もちろん無理だ!


私は振り返った。


そして、走った。



「なんでこんなことしてるんだ?!」


枝が顔に激しく打ち付けた。


木の根を飛び越えた。


危うく転びそうになった。


体勢を立て直した。


走り続けた。


背後から、何かの足音が聞こえた。


ドスン、ドスン、ドスン、ドスン。


「なんでこんなに速いんだ?!」


馬鹿げた質問だ。


それは狼だった。


私はプログラマーだった。


いや…


プログラマーだった。


今は、魔法の狼に昼食にされそうになりながら、別の世界に迷い込んだ18歳の若返ったプログラマーだ。


第二の人生は順調に進んでいる。


ガオー!


「あー!」


横に身をかわした。


何かが背中をかすめた。


地面を転がった。 ―うっ!


私はすぐに立ち上がった。


狼が私に飛びかかってきた。


その爪が私のすぐそばをかすめた。


―走れ、走れ、走れ!


もう一度言う必要はなかった。


私の体は既に状況を理解していた。


私は木々の間を駆け抜けた。


どこへ向かっているのか分からなかった。


どうでもよかった。


ただ、あの獣から逃げなければ。


しかし、小さな問題があった。


狼は私より速かった。


ずっと速かった。


―私には能力がある…


コンソールのことを思い出した。


―私には能力がある!


なぜ私は馬鹿みたいに走り回っていたのだろう?


使い方が分からなかったからだ。


それが理由だった。


ほんの数分前にいくつかの機能を発見したばかりだった。


作成。


編集。


分析。


入手。


素晴らしい。


実に印象的だ。


ただ、誰も私に「プログラミングを使って魔法の狼に食べられない方法」というタイトルのマニュアルを渡してくれなかった。


「コンソール!」


何も反応がない。


「マジックコンソール!」


目の前に青いウィンドウが現れた。


「あぁ!」


危うく木にぶつかるところだった。


「どけ!」


ウィンドウが少し動いた。


「できるのか?」


時間がなかった。


走りながら、なんとか読もうとした。


レン


HP: 100/100


MP: 20/20


ステータス: 通常


「HPとMP?」


分かった。


HP。


MP。


完璧だ。


MPが20あった。


多い?


少ない?


分からない。


ガオー!


――そうだ!


狼だ。


攻撃しなきゃ。


でも、何で?


走りながら自分のスキルを確認した。


プログラミング


魔法のコンソール


言語適応


――攻撃的な魔法はダメだ!


何かを作らなきゃ。


さっき光の球を作ったんだ。


だから魔法も作れる。


――さあ…


別の木の根に飛び乗った。


心臓がドキドキしていた。


考えなきゃ。


創造する。


プログラミングする。


そうだ。


このコンソールは、よくあるビデオゲームの魔法とは違っていた。


使える呪文のリストはそれほど多くなかった。


でも、創造することはできる。


だから、自分で作るしかない。


走りながら。


狼に追われながら。


――もっとひどい状況でも作業したことがある。




いや。


絶対に違う。


だが、不思議なことに…


あの地獄のような日々が報われ始めた。


上司に5分おきに「あとどれくらいかかるんだ?」と聞かれながら、どれだけバグを修正しなければならなかったことか。


どれだけ無理な締め切りの中でプログラミングをしてきたことか。


どれだけシステムがクラッシュ寸前で、即興で解決策を考え出さなければならなかったことか。


プレッシャー。


時間がない。


情報が不十分。


すぐに解決しなければならない問題。


あれは…


よく知っていた。


「考えろ、レン。」


攻撃が必要だ。


何かシンプルなものが。


火だ。


モンスターはたいてい火に弱い。


そうだろう。


「プログラムを作成せよ。」


コンソールが反応した。


新規プログラム


空のウィンドウが表示された。


「火が必要だ。」


私の思考に呼応するように、一行が勝手に入力され始めた。


create.element("fire")


有効


「よし。」


形が必要だった。


投げられるもの。


球体だ。


shape("sphere")


有効


背後で狼が唸った。


近すぎる。


「もっと速く!」


温度は?


高い。


非常に高い。


しかし、その時ふと思いついた。


ただ火の玉が欲しいだけじゃない。


もし外したら、狼は追いかけてくるだろう。


着弾後も残るものが必要だ。


狼の進路を遮るもの。


「溶岩だ。」


コンソールが反応した。


複合要素を検出


火+溶融物質


「そうだ、そうだ!そうしろ!」


定義が不十分


「ちくしょう!」


当然だ。


プログラミングだ。


私が何を求めているのかを正しく定義しなければ、システムは推測してくれません。


具体的に指定する必要がありました。


炎。


溶岩。


高温。


衝撃。


拡散。


私の頭の中では、指示がほぼ自動的に整理され始めました。


create.projectile("LavaFireball")


shape = sphere


element = fire


core = molten_rock


temperature = high


onImpact

= 拡散


コンソールが処理を開始した。


分析中…


—さあ。


分析中…


—さあ!さあ!


ガオー!


後ろを振り返った。


エラー。


狼が飛び上がった。


—ああ!


身をかがめた。


狼の爪が頭上をかすめた。


狼は木に激突した。


狼はためらわなかった。


私はためらった。


つまずいた。


転んだ。


うっ!


狼は体勢を立て直した。


私はできる限り立ち上がった。


走り続けた。


その時、音が聞こえた。


プログラム有効


窓の外を見つめた。


新たな魔法プログラム作成


溶岩火球


タイプ:攻撃魔法


MP消費:12


効果:魔法の炎と溶融物質で構成された弾丸を生成する。着弾時、核が拡散し、一時的に極度の高温領域を発生させる。


――12!


20MPあったはずなのに。


エネルギーの半分以上だ。


構わない。


魔法が使えないより、頭がおかしくなる方がましだ。


――セーブ!


プログラム保存


新たな能力が出現した。


溶岩火球


奇妙な感覚がした。


情報を学ぶような感覚ではなかった。


まるで何百回もプログラムを書いて、指が考えなくても動かせるようになった時のような感覚だった。


起動方法が分かった。


あのコードを全部書き直す必要はなかった。



ちょっと…


考えてみて。


――それで…


私は立ち止まった。


すぐに後悔した。


狼が木々の間から現れた。


グルルル…


「来い。」


足が震えていた。


「行くぞ…」


私は手を上げた。


うまくいくかどうか分からなかった。


でも、他に選択肢はなかった。


狼は走り出した。


私はプログラムのことを考えた。


ラバファイアボール


実行


手のひらに熱いものが現れた。


「ああ!」


球体が形成され始めた。


最初は小さな炎だった。


そして、それは大きくなった。


内部には、鮮やかなオレンジ色の物質が現れ、激しく回転していた。


熱が顔に当たった。


「成功した…!」


狼は飛び上がった。


「これを受けろ!」


私は腕を伸ばした。


球体が飛び出した。


ヒューッ!


「やった!」


火の玉は狼に向かってまっすぐ飛んでいった。


そして…


外れた。



狼はただ横に飛び退いただけだった。


「何だって!?」


球体はそのまま飛んでいった。


ドーン!


地面に激突した。


炎の爆発が森を照らした。


「ああ!」


私は顔を覆った。


球体の核が砕け散った。


白熱した物質が地面に広がり始めた。


溶岩だ。


本物の溶岩だ。


葉っぱはたちまち炎に包まれた。


岩から煙が立ち上り始めた。


狼は立ち止まった。


グルルル!


前に進もうとした。


熱に押し戻された。



私は溶岩を見た。


そして狼を見た。


そして再び溶岩の方へ。


まだ当たっていなかった。


でも…


「効いた。」


狼は別の道を探し始めた。


「ああ。」


まずい。


とてもまずい。


「さよなら!」


私は再び走り出した。


今度は狼はすぐには追いつけなかった。


溶岩が道を塞いでいた。


私は走った。


そして走り続けた。


唸り声が聞こえなくなるまで走り続けた。


どれくらい時間が経ったのか分からなかった。


5分。


たぶん10分。


ようやく巨大な岩にたどり着いた。


岩陰に身を隠した。


待った。


何も起こらない。


「去ったのか…?」


静寂。


鳥のさえずりだけ。


私は倒れた。


「生きている…」


息をした。


「生きている。」


私は笑い出した。


「はぁ…はぁ…!」


やった!


初めて攻撃魔法を作ったんだ。


走りながら。


私を殺そうとするモンスターに追われながら。


「これは…まずい…」


岩に頭をもたせかけた。


すると、奇妙なことが起こった。


あたりがぐるぐる回り始めた。


「えっ?」


呼吸が荒くなった。


腕が力が抜けた。


「何…?」


コンソール画面が現れた。


レン


HP: 100/100


MP: 7/20


「7?」


瞬きをした。


そして思い出した。


光の球。


さっき1ポイント使った。


そして溶岩火球は12ポイント使った。


「ああ…」


なるほど。


私のMPはただの数字ではなかったんだ。


そのエネルギーは私から発せられていた。


そして、それが減少すると…


私はそれを感じた。


まるで何時間も食事を摂らずに働き続けたような感覚だった。


重苦しさ。


疲労感。


集中力の低下。


額に手を当てた。


「つまり、私は無制限に魔法を使えるわけではないのか?」


不思議なことに、その考えは私を安心させた。


私の力には限界がある。


ただ適当に呪文を打てば無敵になれるわけではない。


自分が何を作り出しているのかを理解する必要がある。


正しくプログラミングする必要がある。


そして、それを実行するとMPを消費する。


もう一度確認した。


MP:7/20


「どうすれば回復できるのかを知らなければ。」


また一つ、調べなければならないことが出てきた。


すると、通知が表示された。


新規プログラム登録


ラヴァファイアボール — v1.0


私は微笑んだ。


「バージョン1…」


それは何か意味があった。


バージョン1があったなら…


バージョン2もあるはずだ。


最適化できる。


消費電力を削減できる。


速度を上げられる。


精度を上げられる。


もしかしたら自動照準機能も作れるかもしれない。


昔の好奇心が湧き上がってきた。


学生時代、ただ何かが可能かどうかを知りたくてプログラミングをしていた頃と同じ好奇心だ。


しかし、狼が私の攻撃をいとも簡単にかわしたことを思い出した。


「そうだ…」


まず、かなり重要な問題を解決しなければならない。


私の照準はひどいものだった。


私は笑った。


今度こそ、本当に笑った。


私は道に迷っていた。


お金は持っていなかった。


自分がどこにいるのかも分からなかった。


狼に襲われそうになったばかりだった。


エネルギーは半分以下しか残っていなかった。

魔法のエネルギー。


そして、おそらく森のどこかで小さな火事を起こしたのだろう。


しかし、何年もぶりに…


仕事のストレス以外の何かに、私の心臓は高鳴っていた。


自分の手を見つめた。


あれは私が作ったものだ。


上司に命令されたからではない。


締め切りがあったからでもない。


生き延びる必要があったから。


そうしたかったから。


そして、うまくいった。


まあ、ある程度は。


「魔法プログラミング…」


目の前に浮かぶコンソールを見つめた。


ゆっくりと笑みが顔に広がった。


「君とはきっと気が合うと思うよ。」


すると、最後の警告が表示された。


警告


MPが推奨レベルを下回っています。


過剰な魔力消費は意識喪失を引き起こす可能性があります。


私の笑みは消えた。


…」


森を見渡した。


私は一人だった。


モンスターがいた。


そして、私のMPポイントはたったの7ポイント。


「わかった。」


私は苦労して立ち上がった。


「実験は後回しにした方がいいかもしれない。」


なぜなら、私は新しい人生における最初の、本当に重要なルールを学んだばかりだったからだ。


素晴らしい能力を持っていても、それを使いこなす方法を学ぶ前にエネルギーが尽きてしまっては、何の役にも立たない。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


もし気に入っていただけて、続きが気になるようでしたら、評価やコメントを残していただけると大変嬉しいです。


皆さんの応援が、私の執筆活動の励みになります!


これからも応援よろしくお願いします!

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