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13/14

悩みを抱えた少女

森の中での睡眠は、新しい仲間たちにとって決して楽しい経験ではなかったようだ。


目を開けた瞬間、私はそれに気づいた。


「全身が痛い…」


キャンプサイトの向こう側から、みゆきの声が聞こえた。


「おはよう」


「レン…」


金髪の少女は、間に合わせの毛布の上に座り、髪はぐちゃぐちゃだった。


「どうしてそんな風に寝られるの?」


「練習よ」


「背中がボロボロ」


はるかはまだ横になっていた。


「腕の感覚がないみたい」


「腕の上に寝てたでしょ」と、どこからか茜の声が聞こえた。


「あぁ」


みゆきは髪に触れた。


「鏡が欲しい」


「鏡はないわ」


「どうやって治せばいいの?」


「大丈夫よ」


「何にでもそう言うのはやめてよ!」


笑いながら立ち上がった。


エリザベスはもう起きていた。


当然だ。


あの女はきっと眠る必要なんてないんだろう。


彼女は小さな焚き火のそばで朝食の準備をしていた。


「おはようございます、レン様。」


「おはよう。」


心地よい香りが漂ってきた。


「何を作っているんだ?」


「簡単なものよ。」


間に合わせのフライパンに目をやった。


「簡単そうには見えないな。」


「私には簡単に見えるけど。」


「自慢屋め。」


「有能だ。」


私は微笑んだ。


それから数えた。


エリザベス。


ミユキ。


ハルカ。


私。



眉をひそめた。


もう一度数えた。


「待って。」


ミユキが私を見た。


「何?」


「茜はどこ?」


ハルカは木々の方を指差した。


「あっちに行ったわ。」


「一人で?」


「静かに過ごしたいって言ってた。」


私はため息をついた。


まさにそのことについて話し合っていたはずだ。


グループから離れないこと。


私たちは未知の世界にいた。


モンスターもいる。


盗賊もいる。


そして昨日の出来事を考えると……


「探しに行ってくる。」


エリザベスは料理を続けていた。


「すぐ戻るわよ。朝食はもうすぐできるから。」


「これで納得してくれるはず。」


彼女を見つけるのに時間はかからなかった。


彼女は岩陰に隠れていて、キャンプからは見えないほど離れていた。


「茜。」


彼女は少しびくっとした。


彼女は振り返った。


そしてすぐに片手を背中に隠した。


私は目を細めた。


「そこに何持ってるの?」


「何も持ってない。」


「茜。」


「何も。」


「じゃあ手を見せて。」


「嫌。」


「ということは、何か持ってるってことね。」


彼女は舌打ちをした。


そして、匂いがした。


「待って…」


私は近づいた。


「タバコ吸ってるの?」


茜は隠すのをやめた。


彼女の指の間には火のついたタバコがあった。


「それで?」


私は彼女を見つめた。


「どこで手に入れたの?」


「持ってたの。」


「日本から?」


「ええ。」


私は彼女の制服を見た。


「あの学校の生徒がタバコを持っていたの?」


「私は模範生とは言えないから。」


それは明らかだった。


私は手を差し出した。


「ちょうだい。」


「嫌。」


「茜。」


「これは私の。」


「それに、体に悪い。」


「あなたは私の父親じゃない。」


「よかった。」


「じゃあ、放っておいて。」


彼女はもう一口吸った。


私はため息をついた。


彼女の保護者ぶるつもりはなかった。


しかし、ただ傍観しているつもりもなかった。


「茜。」


「何?」


「消せ。」


「嫌だ。」


「お願い。」


「嫌だ。」


「そうしたら、面倒なことになるぞ。」


彼女の緑色の瞳が私の目を見つめた。


「私に命令してるの?」


「タバコは体に悪いし、一人で出歩くべきじゃなかったって言ってるんだ。」


「自分で何とかできる。」


私は森の方に目をやった。


「昨日、お前は五人の山賊に縛られていたんだぞ。」


「今のは違った!」


「そうね。」


茜は歯を食いしばった。


「うざい。」


「よく言われるわ。」


「放っておいてくれない?」


「それを消してからね。」


沈黙。


――…


――…


茜はタバコを地面に投げ捨てた。


一瞬、勝ったと思った。


彼女は靴でそれを踏み潰した。


「満足?」


「うん。」


「よかった。」


そして彼女はパンチを繰り出した。


「えっ!?」


体は反射的に反応した。


腕を上げた。


「ドスン!」


それを防いだ。


しかし、目を見開いた。


あれは…


強かった。


想像以上に強かった。


茜は二発目を繰り出した。


私はそれをかわした。


3発目。


今度は一歩下がった。


「待って!」


横から蹴りが飛んできた。


両手でそれを防いだ。


「ドスン!」


半歩後ろに下がった。


彼女を見つめた。


茜は拳を構えていた。


彼女の構えは即興ではなかった。


体重配分は適切だった。


顎は守られていた。


足はいつでも動ける状態だった。


「面白い。」


「何が?」


私は微笑んだ。


「戦い方を知っているな。」


茜は眉をひそめた。


「少しだけ。」


「『少しだけ』じゃない。」


衝撃を感じた。


私やエリザベスと比べると、彼女はまだまだ未熟だった。


「でも、魔法が使えない生徒にしては…」


「訓練したの?」


茜はゆっくりと拳を下ろした。


「ボクシング。」


「なるほど、その手は。」


「あと、キックボクシングも少し。」


「なるほど、そのキックは。」


私は彼女を上から下までじろじろと見つめた。


「何?」


「君に対する私の考えを改めようとしている。」


「どんな考え?」


「君はただの金持ちのお嬢様で、快適な環境なしでは生きていけないと思っていた。」


茜は再び拳を上げた。


「私がどれだけ無能か試してみたいの?」


「それは褒め言葉よ!」


「まあ、褒め言葉の言い方を覚えた方がいいわね。」


私は笑った。


「本当に。」 「いい基礎ができているね。」


茜は驚いた様子だった。


「本当ですか?」


「ああ。」


あの盗賊との一件がようやく理解できた。


あの股間への蹴りは、ただの焦りからではなかった。


彼は打撃の技術を持っていたのだ。


「訓練すれば、もっと上達できるよ。」


茜は不思議そうに私を見た。


「教えてくれますか?」


「もしかしたら。」


「もしかしたら?」

「まず、私が気に入らないことを言ったからといって、殴ろうとするのはやめて。」


「何も約束してないわよ。」


「じゃあ私も。」


茜はかすかに微笑んだ。


初めて、彼女は防御的な様子を見せなかった。


私はキャンプの方を指差した。


「行こう。」


「もう?」


「エリザベスが朝食を作ってる。」


茜はすぐに歩き出した。


「どうして最初からそう言わなかったの?」


「信じられない。」


キャンプに戻ると、美雪は焚き火の前に座っていた。


春香はエリザベスが料理をする様子をじっと見ていた。


「茜!」


美雪は彼女のところに駆け寄った。


「どこに行ってたの?」


「歩いてた。」


私は彼女を見た。


茜は私に警告するような視線を送った。


「ああ。」


私は微笑んだ。


「ちょっと…新鮮な空気を吸ってたの。」


茜は目を細めた。


「何?」


「何でもない。」


私たちは席に着いた。


エリザベスが料理を運び始めた。


「お腹空いてる?」


美雪は自分の皿を見た。


「何?」


「朝食よ。」


「そうみたいね。」


遥はそっと匂いを嗅いだ。


「いい匂い。」


美雪は少し味見をした。


彼女の目が輝いた。


「おいしい!」


エリザベスは誇らしげに微笑んだ。


「もちろん。」


「教えてくれる?」


私たちは皆、固まった。


美雪は瞬きをした。


「え?」


「料理を習いたいの?」と私は尋ねた。


「うん。」


「昨日、森のベリーがオーガニックかどうか聞いてたよね。」


「だからって、習えないわけじゃないでしょ!」遥が手を挙げた。


「私も。」


茜を見た。


「君が?」


「私、料理できるの。」


美雪は驚いて茜を見た。


「いつから?」


「ずっと。」


「教えてくれなかったじゃない!」


「聞かれなかったでしょ。」


「何が作れるの?」


「カレー。」


「だから?」


「ご飯。」


「だから?」


茜は黙った。


「やっぱりね。」


「うるさい!」


彼女たちは言い争いを始めた。


私は彼女たちを見ていた。


その時、ある考えがひらめいた。


「エリザベス。」


「何?」


「私たちなら何とかできると思う。」


三人は言い争いをやめた。


「私たちと一緒に?」遥が尋ねた。


「うん。」


私はコンソールを開いた。


目の前にウィンドウが現れた。


茜を見つけて以来、ずっとこのことを考えていた。


レグノスでは、彼らは無防備だった。


エリザベスと私にいつまでも頼ることはできない。


だが、私の能力はプログラムを作成できる。


パラメーターを変更できる。


機能を追加することもできる。


だから…


他の人にも使えるのだろうか?


私は「対象分析」を選択した。


茜を見た。


情報が現れた。


黒瀬茜


身体状態:正常


魔力:未発達


戦闘経験:基礎


適合スキル:計算…


私の目は見開かれた。


「おや。」


茜は緊張した。


「何を見ているの?」


「待って。」


さらに別の行が現れた。


外部スキルインストール:可能


私は微笑んだ。


「これは面白い。」


エリザベスが近づいてきた。


「彼女は何を発見したの?」


「私の能力は私だけに効くわけじゃないの。」


私は三人を見た。


美雪は自分の顔を指差した。


「私たちにも使えるの?」


「どうやらそうみたい。」


「どんなことができるの?」春香が尋ねた。


それが重要な質問だった。


「理論的には…」


私はいくつかのウィンドウをスクロールした。


「能力を与えられる可能性がある。」


沈黙。


三人は私を見た。


「能力?」美雪が尋ねた。


「そう。」


「魔法みたいな?」


「可能性はある。」


美雪の目が輝いた。


「空を飛びたい!」


「ダメ。」


「そんなこと考えもしなかったじゃない!」


「まだどんなリスクがあるのか分からないから。」


ハルカは恐る恐る手を挙げた。


「ヒーリングを習得できますか?」


私は言葉を止めた。


「それは…」


コンソールを見た。


「たぶん。」


アカネは腕を組んだ。


「戦闘は?」


私は微笑んだ。


「そっちの方が君には向いていると思う。」


アカネも微笑み返した。


「じゃあ、それが私の望みです。」


「待って。」


私はコンソールを少し閉じた。


「まだ何もインストールしない。」


「どうして?」


「結果を理解せずに人を改造するのは危険だと、身をもって学んだからだ。」


私は自分のMPブーストを思い出した。


彼女たちに同じことを繰り返すつもりはなかった。


「まずは、彼女たちの能力を分析する。」


私は3人を指差した。


「じゃあ、彼らが自然に身につけられるものと、私が伸ばせるものを見ていきましょう。」


みゆきは頬を膨らませた。


「じゃあ、私は飛べないの?」


「ええ。」


「魔法は?」


「もしかしたら。」


「ダイヤモンドを作る?」


「…」「どうしてここでダイヤモンドが必要なの?」


「価値があるから。」


「レグノスで価値があるかどうかも分からないのに!」


エリザベスは笑い出した。


茜は首を横に振った。


はるかは、治癒能力を習得できる可能性に本当に興味を持っているようだった。


私は再びコンソールを見た。


外部スキルインストール:可能


これは大きな可能性を開いた。


それまで、自分の力は自分を強くするだけだと思っていた。


でも、もしかしたら間違っていたのかもしれない。


もしかしたら、その真の可能性は、私自身を強化することだけではないのかもしれない。


茜を見た。


戦士だ。


遥を見た。


助けようとしてくれている。


深雪を見た……


「瞬間移動魔法が欲しい!」


うーん。


彼女と相談する必要がある。


だが、初めて、それを想像できた。


守らなければならない無力な生徒3人ではなく。


成長の可能性を秘めた3人。


自分に合った能力を見つける手助けができる人たち。


エリザベスが近づいてきた。


「レン様、興奮していらっしゃるようですね。」


「ああ。」


目の前に浮かぶコードの羅列を見つめた。


私は魔法を作り出した。


エリザベスを作り出した。


自分の潜在能力を高めた。


今度は、何か違うことを探求したい。


もし、自分のプログラミングを使って他の人を強くしたらどうなるだろう?


もしかしたら。

ええと…


気づかないうちに、私は自分の力の次の段階を発見していた。

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