その8 機兵と工業の国
この世界で生き残った人間達と共に、セイは次の祭壇に挑む。
セイが訪れた次の地は…人が住まない、機械達が活動するだけの国。
心を持たぬ機械達が営むその国に、生命の息吹は感じられない。
霧の早朝、何も無い荒野を六脚のロボットが歩いている。
エリオン東部の一帯は、土と雑草ばかりの荒れ地だった。アードゥラの凍土よりはマシだがそれでも寒い。防寒着を着込んだセイは、ミカハチの小屋の屋上で白い息を吐く。彼女は望遠鏡のような魔動機を持っているが、朝霧のせいでどうせ遠くは見えない。
しかし今回は、セイとミカハチの2人きりでは無い。
ミカハチの傍に、もう2人。セイの護衛として同行しているペトリエとスーマグレオも居る。ペトリエは背丈よりも銃身の長い武器を背負っている。スーマグレオは、大きな背負い袋を携帯しながら、さらにセイの胴よりも径の大きい大筒のような武器を携えている。
全員が緊張感を纏っている。
4人は、全く喋らない。
最初に反応したのは、セイ。
彼女の白い猫耳が小さく動く。
「…皆、何か来る」
小声で囁いたその声に反応し、皆が停止する。
スーマグレオが背負い袋を投げ置き、武器を構える。
「セイ、危ないから小屋に入ってろ」
「はーい」
セイは小屋に滑り込む。
「姐さんもこの霧じゃ狙撃は無理だろ。一緒に隠れていた方がいい」
「イヤよ。私も戦うわ」
ペトリエは、ミカハチの小屋側面に取り付けた梯子を上り、小屋の屋上で武器を構える。
聴覚の優れるセイには、小屋の中でも遠くから足音と金属音が聞こえる。
『祭壇の影響下にあると思われる敵性勢力の接近を確認しました』
「やっぱり。ミカハチよろしくね」
『敵性勢力の反応は多数、脅威度は中です。協力者の戦力も加味し、防衛を推奨します』
「おい護送機、防壁は任せたぞ」
『魔障壁を展開します。この動作中は閃紅砲の使用が不可能となります』
「…奮い立つな、流石に」
スーマグレオは大きく息を吸い、吐く。
数十秒後、セイ達は機兵の一団と衝突する。
護送機の周囲に、人間のような姿の機械が集まる。
二足歩行し、背丈も大きめの人間程度…しかし見た目は全て同じだ。違うのは、それぞれが手にする武器のみだ。彼等は鈍器や魔法の火器を携え、護送機のバリアを攻撃する。爆音と打撃音が響くが、バリアは全く破れない。
「うるさっ…!黙りなさいよ!」
ペトリエが小屋の上に座り、ミカハチ本体の円筒ボディの上面に銃を置き、放つ。
轟音。
ペトリエの攻撃はミカハチの防壁をすり抜け、着弾した機兵を貫き、そこに巨大な氷塊が産まれる。
「一方通行の防壁とは便利だな」
スーマグレオも大筒の武器を構え、大型の武器を持つ機兵に向く。
次の瞬間、大筒から小さな火球が連射され、機兵が砕け、土煙が舞い上がる。
それでも機兵はどんどん湧いてくる。
ペトリエの焦る声。
「スーマちゃん!キリが無いわよ!」
「分かってるよ姐さん!」
そんな中、スーマグレオの持つ通信子機から声が。
『…!』
「了解」
スーマグレオが振り返り、セイとペトリエに向けて叫ぶ。
「みんな耳ふさげ!」
次の瞬間、ミカハチの周囲に今まで以上の爆音が轟く。
「ここを今作戦の前線拠点にする!」
セイと紅蓮隊は、御籠護送機八号を囮にする作戦でヴォンダーン領を進軍していた。機兵団を見かけたら長射程の火器を並べ、バリアを張った護送機が先行し、それに群がる機兵を紅蓮隊が掃討するのだ。
ヴォンダーンの機兵も紅蓮隊の火器も、護送機のバリアを害せない。しかし完全に安全とは言えないので前線には出られない。なのでセイは、危険そうで危険じゃないという微妙に退屈な時間を過ごしていた。
進軍が止まり、セイが護送機から降りると…そこは小さな農村のような場所だった。
“かつて人が住んでいた廃墟”というにはあまりに整備された村…しかし畑や畜舎のようなものは全く無く、村の中心には破壊された倉庫があるだけだった。
「何なのここ、村?なんで機械の国にこんな村があるの?」
今までセイがヴォンダーン領で見たものと言えば…機兵と、機兵達の屯する小規模な拠点だけだった。そんな場所に突然現れた人工的な場所に、セイは困惑する。
落ち着かないセイだが、スーマグレオは淡々と作業を進める。
「セイ、ここは昔エリオンの人間が作った村だ。ここを紅蓮隊の拠点にする」
「いや、だからなんで人間の村が…」
「わたしは紅蓮隊の方を手伝う、また後でな」
「え、ちょっと待っ…」
セイが言い終わらないうちに、スーマグレオは紅蓮隊本隊の方へと行ってしまった。
セイはペトリエと共に、てきぱきと作業する紅蓮隊を遠巻きに見ている。
「セイちゃんお疲れ様。でも本番はこれからよ!」
「お疲れ様と言われても、あたし何もしてないし」
作戦は順調らしいが、セイには全くその感覚が無い。何だか仲間外れな感じがして、彼女は手持ち無沙汰に自分の髪や尻尾を弄る。
しかし…セイにとって嬉しい誤算もあった。
「スーマ、ぶっきらぼうだからあたし最初は苦手だったけど、やっぱりそうでもなかったよ」
物言いがやや強いうえに表情も見えないスーマグレオだったが、一緒に戦えばやはり頼りになった。それにセイの身の安全を気にかけてくれており、思ったより優しそうだった。
とりあえず落ち着いたセイは、周囲の様子を見回す。
「…というか、この場所は何なの?スーマは答えてくれなかったんだけど」
「ああ、この村の事?」
やる事の無いセイは、とりあえず目の前の状況に関心を向ける。
問われたペトリエは、微妙に言いにくそうに苦笑い。
「セイちゃんの前…今からだいたい20年前に、7人目の神徒様がエリオンに現れたわ。彼は最強の神徒だったらしくて、祭壇の攻略をすごい勢いで進めたの。彼なら祭壇を全て封じるんじゃないかと言われていたようね」
「え、あたしの前の奴ってそんなだったの」
「でねでね、7人目の彼はエリオンの人間に親身になってくれて、エリオンの安全のためにヴォンダーン領の広範囲で機兵を倒して回ってくれたそうよ」
「すごい…だけどその話、この村と関係ある?」
「もちろん。彼のおかげでエリオンの安全圏がかなり広がってね、こんな所まで人が住める程になったのよ。そうしてできたのがこの村で、当時のヴォンダーンとの境界はもっと東だったのね。ここには紅蓮隊の開墾部隊やその家族が住んでいたそうよ」
「…でも、今はもうここは機兵の領域なのよね?」
かつて人が住んでいた…しかしそう言われても、ここはもうエリオンから見ればかなりの距離だ。この村からはとてもそんな面影を感じられない。
ペトリエも声を潜め、セイに顔を寄せる。
「そんなにエリオン領を広げたのが初めてだったから、ヴォンダーンの反撃も予想以上だったのよ。7人目の神徒が死んでしまい、“機甲の祭壇”が再起動したちょっと後…駐屯の哨戒部隊が離れている時を狙って機兵の大群が押し寄せ、この村に住んでいた人間はほとんど殺されてしまったの。確か15年前の話ね」
「え…?」
「哨戒部隊が急いで引き返して、機兵達を追い払ったんだけど…この村で生き残っていた人間はたった一人。裂傷と火傷で酷い状態だったらしいけど、駐屯部隊員の幼い子供が救助されたそうよ」
そうしてペトリエは、作業する紅蓮隊員の方に一瞬目を向ける。
「その女の子の名前が、スーマグレオ」
セイは息をのむ。
そして、ばつが悪そうにスーマグレオの姿を探す。
「その話、あたしが聞いてよかったのかなぁ」
「そうね…あの娘別に隠してたりしないし、そもそも有名な話だからね。でもこれは私の悪い癖ね、こんな事までつい喋っちゃう」
「…あとで謝ろう、一緒に」
「そうね」
そう言いながらも、ペトリエは何故か少し嬉しそうだ。
「でもねセイちゃん、あの娘はきっと貴女の力強い味方になるわ。何せこの村が襲われた時、あの娘の両親は機兵に殺されてしまったんですもの」
(まあ、確かにそうだけど)
他人の秘密を人伝に聞いてしまった後ろめたさが口の中に残る。
しかし…祭壇に両親を奪われたスーマグレオなら、きっと使命を最後まで支えてくれるのではないかという淡い期待も胸に芽生える。
予め村周辺の敵を掃討してあった事もあり、その夜は敵襲も無く静かだった。
紅蓮隊との距離感が微妙なペトリエはセイと一緒にミカハチの小屋の寝台で休んでおり、彼女の抱き枕状態のセイはまだ眠れていない。
(なんか危険だと思ったけど、この調子なら安全な気がする。明日はあたしもちょっと戦ってみようかな?)
今日の進軍で退屈と疎外感を感じていたセイは、かつてアードゥラ廃都攻略で使った魔法の武器を思い浮かべていた。
翌朝早朝、一団は村からヴォンダーン中心部へと向けて進軍する準備をしていた。寝ぼけ頭のセイはペトリエと共に、ミカハチ備え付けの固形食を食べている。
「セイちゃん、昨晩は良く寝れた?」
「うーん、そこそこ…」
『ペトリエ、おはようございます』
「おはようミカハチちゃん♪」
セイとペトリエが食事する周囲、紅蓮隊はせっせと進軍の準備を進めている。彼等は皆深紅色の腕章をしており、それが隊の名前の由来なのだとセイは今更気付く。
そんな中、紅蓮隊員が2人、セイ達の元にやって来る。
「おはようセイ、今日もよろしくな」
「スーマ、おはよう。あれ、その人は…?」
その片方はスーマグレオだったが、もう一人はセイの知らない人間だった。
その紅蓮隊員は、40歳くらいの男性だった。背が高いスーマグレオとほぼ同じ背丈、がっしりとした体つきは他の紅蓮隊員以上だ。短い銀髪、顔に傷、鋭い濃紺の眼差し…全てがどこか威圧的だった。
「神徒様か、お初にお目にかかる」
低い声。
セイは思わず、隣のペトリエに身を寄せる。
「は、はい…」
「む、怖がらせてしまったのなら申し訳無い。俺の名はカンデック、紅蓮隊の小隊長だ」
「…あたしに何か用があるの?」
初対面なのに、すっかりカンデックという男に怯えているセイ。
見かねたスーマグレオがフォローに入る。
「おい親父、あんたの顔が怖いからセイが怯えてるぞ」
「スーマの容姿が平気なら俺の事だって平気だと思うんだが」
「あんたと比べんな、わたしは可憐な乙女だぞ?」
そのスーマグレオの一言にセイが反応する。
「あれ、貴方スーマのお父さんなの!?」
「俺は育ての親だ。実の親じゃない」
確かによくよく観察すると、この2人は軽口を叩き合いながらもとても仲が良さそうだ。スーマグレオの事を信頼するセイは、ひとまずこの男も信用できると判断する。
「俺の娘もこれが初陣だ。神徒様の足を引っ張るようなことは無いと思うが、無礼があっても大目に見てくれ」
「いや、あたしがお世話になっているだけなので」
「そうか」
カンデックは口数の少ない男らしく、それだけ言って踵を返す。
セイは肩の力が抜け、そこで自分がどれだけ緊張していたかを自覚する。
カンデックの去り際、彼はミカハチの機体をじっくりと眺める。
「…」
ただ黙って見ているカンデックに、ミカハチが無機質に話しかける。
『カンデック、おはようございます』
「喋る護送機…か。話だけは聞いていたが、20年も経つと変わるものだな」
(…?)
去っていくカンデックの後姿。
ミカハチとカンデックのやり取りに、セイは何かを感じる。
しかしセイにはその“何か”の正体がわからなかった。
その後、セイ達と紅蓮隊は昼まで進軍を続けた。
村を出てからしばらくの間、何故か機兵と遭遇することが無かった。
そのため、今日は戦うつもりだったセイは暇を持て余していた。
「ねえ、祭壇はまだなのー?暇だよ」
「機兵の数が多いのはエリオンとの境界なんだよ。それ以降は過疎地域が続いて、ヴォンダーン首都周囲までは敵も少ない」
「なんか…せっかくやる気出したのに、損した気分」
「そう言うな、何が起こるか分からんぞ」
昨日はミカハチに乗って移動していたセイだが、今日は蒼焔杖を持ってスーマと共に歩いて移動している。そして昨日までのセイの居場所…ミカハチの小屋の上はペトリエに譲っている。
ともに歩くスーマグレオは、セイの安全を心配している。
「セイ、何度も言うが…本当に戦う気か?」
「大丈夫でしょ。ミカハチのバリアは外側からの攻撃を防ぐだけで、内側から外側へは攻撃し放題なんだよね?」
「それはそうだが…」
気楽なセイに呆れるスーマグレオだが、意外にもペトリエから厳しい言葉が飛んでくる。
「セイちゃん、私たちはこのあとヴォンダーン首都に向かい、首都防衛の城壁を突破する必要があるわ。そこが最も激戦になるらしいから、貴女も気を付けなきゃ」
「ふーん、でもミカハチが居れば大丈夫でしょ」
とは言いつつ、ミカハチも魔力節約のために常に防壁を張るわけにもいかない。現に今だって防壁は解除してあり、魔力を温存している。
ペトリエの小言は続く。
「セイちゃん、神徒である貴女じゃないと祭壇を封じることはできないの。貴女の身の安全が何より大事なのよ?貴女さえ生きていれば希望はあるんだから、その辺も考えなきゃ」
「大丈夫だって、敵の姿だって無いんだから…」
周囲に敵影も無いこの状況、セイはペトリエの小言を避けるように大柄なスーマグレオの陰に隠れる。
まだ戦闘はまだ起きそうにない。
なのでセイは、スーマグレオの過去について謝っておくことにする。
「ねえスーマ」
「どうした、セイ」
「ごめんなさい、実は…貴女の昔の話を聞いちゃったの。貴女が幼かったときに、昨日泊まったあの村に住んでて、そこでご両親を…」
「ああ…」
「もしかして、貴女があたしの護衛を引き受けてくれたのも、ご両親の事が関係していたり…?」
「…」
顔を隠しているスーマグレオの表情は分からない。
彼女の声色からも、その感情は伺い知れない。
セイはちょっと緊張する。
しかし、スーマグレオの反応はセイの予想と違っていた。
「…良くある事だ」
「えっ」
「“機甲”や“乾坤”の攻略で神徒とともに戦い、命を落とした紅蓮隊員だって過去に大勢いる。“冥府”や“星神”の領域に向かって帰ってこなかった探索師とかもな。別に珍しい事じゃない」
「そ、そうなんだ…」
「むしろセイが知らないとは思わなかった。てっきり知っていたか選ばれたのだと」
しかし言葉とは裏腹に、セイはスーマグレオの雰囲気を変だと感じた。
“スーマは何かを言おうとしてやめた”…セイは何となくそう思う。
(何か…言葉を濁された、ような?まあそうだよね。顔を隠さなければいけない程の傷が残ったというなら、きっとつらい思いをして来たんだろうし)
やはり簡単に踏み入る話題では無かった…セイはちょっとだけ、この話題を振った事を後悔する。
その後、セイもスーマグレオも黙ったまま進んだ。
空気を呼んでか、ミカハチもペトリエも静かにしていた。
そんな中だった。
ずっと狙撃武器を構えていたペトリエが、何かに気付く。
「見えたわ、都市防壁が」
セイ達の進行方向、遥か彼方にうっすらとした影が見える。
流石によく見えないセイは、ミカハチの頭部に飛び乗って望遠鏡のような魔動機を構える。確かに彼方にはすっと続く城壁があり、ちょうど正面辺りに砦のような建物が見える。機兵の姿は見えず、目立った物は…アンテナのようなものが立っているだけだ。
壁のむこう…遥か彼方に、都市らしき建築群が見える。
スーマグレオも、ここに来て声が興奮気味だ。
「ヴォンダーン領はな、中央の首都を囲うように都市防壁があって、その外側に機兵の少ない過疎地域、そのもっと外…昨日進軍したあたりが機兵の散在する危険地帯があるんだ。ついにここまで来たか…!」
「それがアレなんだ。でも敵の姿が見えないね」
「うーん、建物の中に居るんでしょう。過去の記録によれば、ここに機兵が大量にいるはずなんだけどねぇ」
ペトリエも狙撃武器を覗いたまま、静かに呟く。
『現状況の危険度は中、当機からあまり離れないで下さい』
「敵の姿も無いのに?流石に大丈夫でしょ」
ミカハチも騒ぎ出すが、セイはあまり気にしない。ミカハチの頭部からひらりと降りて、どう戦うかを少し考える。
(こんなの、ミカハチの大砲で攻撃しちゃえば良いんじゃないの?ゾンビの群れを吹き飛ばしたあの火砲、建物だって何とかなりそう)
セイは、ミカハチが唯一持つ武器の事を思い、ロボのボディをちらりと見る。
この時、セイは前を見ていなかった。
顔を覆うスーマグレオにも遠くはよく見えていなかった。
ペトリエは城壁外に機兵の姿を探し、警戒をしていた。
その瞬間、砦のアンテナがセイの方を向いたのに誰も気付かなかったのだ。
一瞬だった。
砦のアンテナから放たれた雷撃は、閃光と共にセイに着弾した。
仰向けに倒れるセイ。
『警告:自律駆動に移行します』
一瞬遅れて、ミカハチの魔障壁。
「おいセイ!大丈夫か!?」
セイに走り寄るスーマグレオ。
セイから煙が上がっている。
「ちょっと何なのあの兵器、あんなの聞いたこと無いわよ!?」
ペトリエも焦り声。
セイを襲ったそれは、過去の記録に無い雷撃の兵器だったのだ。
「セイ!ああクソ、油断した!」
セイを抱き起すスーマグレオ。
セイは目を開けない。
その時、ペトリエが叫ぶ!
「ミカハチちゃん、スーマちゃん!砦から機兵が!」
「何だって!?」
砦の鉄扉が開き、大量の機兵団がセイ達にまっすぐ向かって来る。
その時、セイが眼を見開く。
セイは無傷だった。
彼女から上がっていた煙は服の端からで、彼女自身の白い毛皮は綺麗なままだった。セイは立ち上がるが、一瞬よろけたのでスーマグレオがそれを支える。
「おいセイ、お前平気なのか!?」
「うう…まあ何とか…」
(自分の力で防いだ…気がする。何をどうやったかは分かんないけど)
セイは“今自分が何をしたのか”を、自分でも理解できていない。
しかし、直感で“今自分に何ができるのか”は分かった。
「セイちゃん敵が来るわよ!あの雷撃もまた来るかも!」
「…」
セイは黙って、両の手を前に突き出す。
そして…真紅の左目に迸る、強大な力を解き放つ。
次の瞬間。
セイの両手から、彼女が受けたのと同じ雷撃が放たれる。
雷撃が機兵団を襲い、彼等は煙を上げて機能を停止する。
これを読んで下さる方々に感謝を。
異世界に転生したからには、何か一つくらいは良いことが無いとね。




