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2.目覚め

「……って、どういうこと〜!」


私の叫びに答えるよう、船内にポーンと機械音が響く。

続けて抑揚のあまりない、男性とも女性ともとれるような声が響く。


《冬芽様、落ち着いてください。先生が説明している通りでございます》


コールドスリープから目覚めてから少し後のことである。

無事目覚めたことに安堵したのも束の間、眠る直前に落とされた言葉(バクダン)を思い出したのだ。

その後説明が行われるとのことで中央ホールに来た。

前方に現れたディスプレイには“先生”と呼ばれる白衣を着た男性が映っており、現在の状況を説明してもらったのだが。

この場に集まった二人。

私と同年代の青年──夏木。

案の定、混乱している。


それもそうだ。

オプティマルという惑星へ宇宙旅行できると聞いて参加したのに、いつの間にか私たちが地球崩壊を防ぐことになっていた。

しかも地球が崩壊することは確定事項らしい。


……なんでこんなことに。


指先がちょっぴり震えるのだった。


「ってか本当にお前は誰なんだよ」


『だから何度も言っているだろう、夏木君。私は今君たちが乗っている宇宙船の管理責任者だ。地球から君たちに通信している』


「地球に残ってて大丈夫なの?崩壊するんでしょ?」


『君たちが防ぐのだから、心配はいらない』


その言葉に思わず呆れる私たち。


……どこからその自信が?


私たちが初めて沈黙したとき、ここぞとばかりに先生は強引に話を進める。


『状況は追々理解できるさ。これから君たちには、惑星オプティマルを探す手伝いをしてもらう。といってもその候補はある程度こちらで見繕っている。だから君たちはその惑星に降り立ちサンプルを回収するだけだ。簡単だろう?』


「いやどうやって」


『安心したまえ。君たちの安全は保証する。……おっと、一つ目の候補が見えてきたね。それでは君たち、──良い旅を』


ディスプレイは勝手気ままに消えた。

代わりに、左手側にあったバーの隣にあるエレベーターが開く音が聞こえた。

それを差す矢印が現れる。


《皆様、操舵室へお越し下さい》


AIもそれだけ言うと静かになる。


「ちょっと……」


「ちゃんと説明しろよ!説明責任があるだろ!」


夏木は先ほどまでディスプレイがあった場所を見ながら声を張り上げる。

あの説明で不安が解消されることなどなく、不満は溜まっていく一方である。

だがしかし、私たちがいくら叫ぼうとも状況は変わらない。


《今行動しないで後悔するのは、皆様でございます。ご協力お願いします》


それも一理あると納得してしまったからか、しぶしぶ案内に従うことにする私たちであった。




機械音が響く狭いエレベーターに二人で乗り、とある部屋に着く。

そしてその部屋ごと浮き、昇りきったと共に広がる宇宙の暗闇と恒星の輝き。

半球状のそこはほとんどがガラスのような透明な素材で壁や天井が張られており、まるで宇宙空間に放り出されたかのようだ。


部屋の中央には丸いテーブルがあり、航海図のように周辺の星とこの宇宙船の進むルートが示されている。

そして目の前に再びディスプレイが現れ、とある惑星を映し出した。

地球のように大地があるようだがいつもの青い海はなく、黄緑色の何かがある。


「これが目的地……?」


「みたいだな」


そう言っている内にだんだんと周りの景色が上がっていって、下からロッカーのようなものが二つ上がってくる。

微振動が体に伝わる。


《ただいま下降中でございます。揺れることがありますが問題はありませんので、ご承知を。そして皆様、宇宙服を用意しましたので、ご着用お願いします》


私と夏木は無言で互いを見る。

微妙な顔をしている。

お互い思っていることは同じだ。

心臓の鼓動が大きくなっているのを感じながら、慎重に歩み出した。

ロッカーを開けて宇宙服を取り出し、ガイドに沿って着用していく。


……これで合ってるかな。


そのとき私の不安を察知したかのようにアナウンスが入る。


《皆様のご着用を確認いたしました。下降が完了次第、エアロックを開きます》


いつの間にか黄緑色の惑星が下に大きく見えるようになっている。


「こんなの着てエアロックがある部屋まで行くってことか?」


「じゃあここで着る必要はなかったんじゃ……」


私のイライラをぶつけるように呟いたところ、ポーンと軽い音が鳴ってAIが答える。


《ふふっ、そう言わないでください。着陸が完了しました。エアロックを開きます》


いつの間にか周りは宇宙の暗闇ではなく、明るい光が全面から差してくる。

そして驚くことにエアロックを開くと言われた直後、この部屋のまぶたのような半球上の天井が開いた。


「「え」」



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