1.コールドスリープ
時の旅人の皆様、出発のお時間となりました。
コールドスリープを開始します。
宇宙船カムトゥルー9にご乗船いただき、誠にありがとうございます。
当宇宙船は惑星オプティマル行きです。事前の説明の通り、超高速移動時には多大な負荷がかかりますので皆様にはコールドスリープしていただきます。
……ふふっ、皆様不安が拭えないというような顔ですね。
きっとお気になされていることは「本当に目覚めるのか」ということでしょう。
ご安心ください。搭載された最新システムで皆様の安全を保障いたします。
それでも不安だと言うのであれば、3248回の実証実験の結果を1からお聞かせしましょうか。
……それは勘弁してくれという顔ですね。
大丈夫です。私も面倒なことはしたくないですから。
ちなみに、3248回の実証実験は全て正常な動作をしました。
まもなく皆様の意識は眠りに落ちます。
ですがここで、皆様に伝えなければならないことがございます。
皆様が住んでいた惑星──地球、60年後に崩壊します。
人類の存続のために新たな惑星を見つける旅、それが今皆様が参加している旅行でございます。
当宇宙船は宇宙を旅し、人間が住むことができる惑星、すなわち“オプティマル”の候補を探します。
……ふふっ、そう暗い顔をしないでください。
カムトゥルー9に搭載された私が、皆様の安全を保証することには変わりありませんから。
皆様は“時の旅人”──言うなれば人類の希望です。
心配することはありません。
乗船条件をクリアしていますから。
……あぁ、クリアしてない方も乗船してましたね。
失念しておりました。
ですが些細なことです。
お気になさらず。
そろそろ眠りに落ちる頃でしょう。
それでは皆様、──良い旅を。
アナウンスが脳に響く中、私のまぶたは徐々に落ちる。
窮屈なポットの中、不安と疑念を抱えたまま意識は途切れる──。




