意外にも、オバケがお嫌いらしいわ
お読み頂き有難う御座います。間が空き、お待たせして申し訳御座いません……。
漸くコレッデモンですね。
あの後……。
滅茶苦茶時間を掛けて色々有ったわね。
一日だけお出かけ出来ることになったわ。
五時になったら義兄さまが迎えに来るという……条件付きで。
……まあ、面倒だけれど強引に連れ帰りに来るよりいいのかしら。
まあ何時もの事だけれど、義兄さまの常識に対する期待値が低いわよね……。
偶にはいいところも有るには有るのだけれど、パッと思いつかないな……。あ、部下には優しいわよね。子供達……とは何か張り合ってて大人げないわね。
……いいところ……ううむ……。
「今日は! アロンさん!」
「あら、フォーナ」
集合場所はコレッデモン大使館だったのだけれど、ルディ様とサジュ様の他に、フォーナが居たわ。
うーむ、あんなに飛び跳ねて手を振るだなんて、相変わらず元気な可愛らしいヒロインよね。
私がやると、足を捻るか裾を踏みそうだわ……。最近、出来そうな範囲で体幹を鍛えているけれどなあ……。焼け石に水ではありそうだけれど、しないよりはマシよね。
「ふっえええええ!?」
「おっ、大丈夫か?」
だけれど、フォーナもコケかけてサジュ様に救われているわ……。そうだったわ。運動神経いい割にドジっ娘だったわね。
「よ、良かったわ、フォーナ!」
「す、すみませえええん!」
「来たか、アローディエンヌ」
「ルディ様。私が一番最後でしたのね、お待たせして申し訳ありません」
「時間前だし構わんぞ。どうせアレキに邪魔されたのだろう」
うっ、バレているわ……。
そうなのよね。滅茶苦茶邪魔されたのよね……。
「ふええ、アロンさん今日は。サジュさん有難う御座います」
「いーっていーって。気にすんな。義妹殿も昨日ぶりだな」
「ええ、いいお日和で。
サジュ様、レトナ様はどちらにお出でで?」
今日も大使館にお泊りではなかったのかしら。まさか、お先に出られたとか……?
お知り合いになって間もないけれど、キャラ的に先行為さりそうでは無いわよね……。まさか、有事が有ったりしたのかしら?
んん?
あの……おにぎりのような……というかそのものな石のオブジェ……。
あんなにお花咲いてて、優雅に絡んでたかしら? 這わせる棚も無いのに、細かい白いお花が垂れ下がっていて、まるでお花のカーテンね。
美しいわ。
……ええと、おにぎりのオブジェが無きゃ、もっとファンタジーなんだけれど。
「んもぉ! 私はぁ、馬車じゃなぁいのよぉ!」
「ご苦労、ミニア」
「うおっ、ミーリヤ様」
華やかなお花のカーテンを優雅に払って出てこられたのは、なんとミーリヤ様!
え、何。こんなメルヘンな感じで現れられるの?
凄ーい! 美女がお花のカーテンを潜って現れるなんて素敵! 感動しちゃったわ。
とっても乙女ゲームみたい!
私もこういうメルヘンな魔術、使えたら良いのに!
でもまあ、顔面偏差値が違うからな……。後、属性も違うし……。
そもそも水属性でメルヘン魔術……思いつかないわね。
「ミーリヤ様、お美しいですわ。お伽噺のよう!」
「はわあ、綺麗ですね! お花の天幕ですか! こんな素敵な魔術初めて見ました!」
「まぁ可愛い子達ぃ! ありがとぉ!
ほらぁ! ルディちゃぁん! 聞いてるぅ?
こういう反応がぁ欲しいのぉよぉ!」
「そういうのを僕に期待しないで欲しいんだぞ。
アローディエンヌとフォーナの称賛で充分だろう」
「つべこべ言わず、褒めなさいよ!」
ああ、夫婦喧嘩が始まってしまいそう。困ったわね。それにしても、可愛らしい理由でモメておられるからちょっと止めにくいわ。
「ミーリヤ様、僭越ながら……。そのお美しさはルディ様も重々ご存知ですわ。
だって、ずっとミーリヤ様を見つめておられますし」
「そぉかしらぁ……」
「まあ、眼前にいるから目には入るんだぞ」
「いや、ルディ様! 其処でそーゆーの、多分マズイっすよ!」
「そもそも、ミニアこそ僕の見目を気に入っているから結婚したのだろう? 好みが合致したのだから良いではないか」
「なっ……んもぉ!」
あら、風向きが変わったかしら。ちょっとじゃれ合い的なオーラが溢れてきたような……。
……と言うと、さっきまで殺伐系の夫婦喧嘩だったのかしら。あ、よく見たらサジュ様の額に滅茶苦茶汗が光っているわ。爽やか……いえ、私ったら空気読めてなかったのね。
「……義妹殿、良い補助だったぜ。オレ、ミーリヤ様止めんの無理だかんなあ」
「いえ、サジュ様こそ……お口添え有難う御座います」
「はわわ……。何と言いますか、王子様とお姫様が喧嘩されるって感じですねえ……。
とっても綺麗で迫力が違います……」
滅茶苦茶判るわ。とても頷いちゃった。
「ふむ、フォーナも皇女だろうに」
「ふええっ!?
わ、私はお父さんの養女ではありますが、皇女は抜けてますから!」
フォーナもヒロインでプリンセスなのに、色々と有ったらしいものねえ……。色々も有ったし。
ゲームの4では、皇女ルート有ったりしたのかしら。
でも、悪役令嬢がブライトニアだものねえ……。
良さげなラストになる気がしないわ……。
「それで、レトナには先行させている。者共、この垂れた草を潜るが良いぞ。許す」
「草じゃなくてぇ花よぉ!」
「……何でそんな冒険小説みてーなんスか?」
へえ、この垂れ下がった花を潜って冒険へ行くお話が有るのね。素敵そうだわ。読んでみたいわね、どんな本かしら。
「レルミッドが好きらしいから最近読んだんだぞ。中々面白いな」
「ちょっとぉ!それでぇこんな魔術にさせたのぉ!?」
「別に乗り気だっただろう、ミニア」
「はわわ……」
「兎に角ぅ、入ってよねぇ」
あ、しまった。ミーリヤ様をお待たせしていたわ。
それにしても、美しいわねえ。向こう側がキラキラと煌めいているわ。
何処へ繋がっているのかしら……。
「……此処は? 崖ですか……」
……凄い。大使館だったのに……。お花をくぐると、滅茶苦茶崖だったわ。ちょっと、先端が欠けているかしら。私の背丈の……適当に見て、10人分位あるかしら。何の変哲もない、崖……。
サスペンスが隠れているようには見えないわ。
少し、冷たくて空気が乾燥しているかしら。後ろ側を見ても、道しかないわ……。此処が、コレッデモン王国ロッチ辺境伯領……。
凄い魔術ねえ……。何がどういうシステムなのかさっぱり分からないけれど。
「じゃあぁ、帰るわねぇ。レトナちゃんもぉその内着く筈よぉ」
「え、ミーリヤ様も参加しないんスか?」
「私ぃ、死霊とかオバケとかってぇ苦手なのよねぇ」
「まあ、そうなのですか。意外ですわね」
しかし、少しむくれたご様子も美しいわよねえ。
「生きてると大抵斬れるじゃなぁい? 斬れないととどうしてもぉねぇ」
「確かにそっスね」
「まあぁ、サジュちゃんはぁ、ルディちゃんのお守りをお願ぁいねぇ」
「う、ウス……」
「まあ達者でな、夕方まで」
「言い方有るでしょうが!」
あ、帰られてしまったわ。
意外ねえ。ミーリヤ様って、苦手なものが無いかと……。まあ、得手不得手は誰しも有るわよね。そりゃそうか。
しかし、物理も霊的にも何も出来ない私は野次馬しに来ただけ……よね。
何だかよく分からない昼間の幻覚? 夢? 位しか……それもいつ発動するやら分からないし。
「そ、そう言えば。フォーナはどうして此処に?」
「アレキの差し金だ」
「……え? アレッキオが?」
何でまた……。まさか、ひとの良いフォーナに、義兄さまったら難題を押し付けたのかしら。
「義兄さまが……。何故フォーナをこき使ってしまったのかしら。御免なさいね、脅されたの?」
「ふええ? あ、お頼みされただけですよ?
オバケさんからアロンさんをお守りしますからね!」
「ほう、神官は死骸に対抗手段でも有るのか?」
あ、そうか。フォーナって神官だったわね。オカルト分野に強かったなんて……。
「いえ、私はオバケにも人にも攻撃も何も出来ないですよ! でも、お怪我治療なら任せてください! レルミッドさんに鍛えられましたから!」
「先輩って回復魔術使えたっけ? スゲーな」
「に、苦手ですが……。私に教えてくださるので、理論はバッチリです!」
「まあ、苦手なのに愛する相手の為に……。愛なのね」
「はわっ!?」
「義妹殿、本人には言うなよ。先輩、照れてブチギレるから」
「言わんだろう、アローディエンヌは。
アレキが嫌がらせの種にせんといいがな」
うっ、確かに。
義兄さま、聞いてないわよね?
変な所で変な情報拾ってるからなあ。盗聴……はされていないと思うけれど、位置把握はされてそうな気がするわ。まあ、知られた所で何ともないけれど。
あ、崖の向こう側から馬車が見える。
レトナ様がいらっしゃったのね。
レルミッド以外にもオバケ嫌いはまあまあ居ますね。
滅茶苦茶騒ぐのはレルミッドとドリーです。




