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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない(その後の小話集)  作者: 宇和マチカ
魅了された者達の事件

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崖での再会は属性過多

お読み頂き有難うございます。

間が空いて申し訳なく……。

「あれ? あっちから蹄の音がしますね」


 え? 馬の蹄の音がする……? かしら。フォーナったら、耳良いわね……。全く分からないのだけれど。いや、微妙に……風の音に混じって聞こえてきたような……? くっ、分からん!


「あ、ありゃレトナ様だな」

「え? あ、え?」


 サジュ様は目が良いわね……。あ、見えてきた気がする。……身体能力凄過ぎて、どうなってんのかしら。馬車は違ったみたい。


「相変わらずよく分からん視力だな。フォーナもよく聞こえたものだ」

「あざす」

「ふえ? えへへ、ちょっとだけ耳が良いんです」


 そういう所はブライトニアと姉妹って感じかしら。全く普通の美少女なのだけれど……ウサギ獣人の血を引いているのだものね。


 しかし、てっきり馬車でいらっしゃるのかと思いきや、従者の方々と馬でいらっしゃるとは。うーむ、ファンタジー映画みたいで恰好良すぎる。

 あ、あっという間に到着なさったわ。


「うふふ、皆様お揃いね。我がロッチ辺境伯領へようこそ」


 うっ、馬から降りられたレトナ様が、本日も爽やかで眩しいわ……。

 いや、私以外の面子が爽やかで眩しかったけれど、爽やかさって相乗効果有るのね。知らなかったわ。


「うむ」

「ちわッいや……こ、今日は、レトナ様……」


 地を這うようなローテンションなサジュ様が気になるけれど……。本当に苦手でらっしゃるのね……。フォロー出来りゃ良いのだけれど。

 あ、それとレトナ様にフォーナを紹介しなきゃ。確か、初対面……よね?


「お招き頂き有難うございます、レトナ様。此方はフォーナ・トドロン嬢ですわ」

「今日は、初めましてレトナさん! 私、フォーナ・トドロンです! 仲良くしてくださると嬉しいです」

「うふふ、お噂はかねがね。

 可愛らしいわ、宜しくね」


 良かった、初対面だった……。失礼に当たらなくて本当に良かったわ。私、何かと忘れっぽすぎるからなぁ……。


 しかし、爽やか美女とボーイッシュ美少女の初対面……麗しいわ。背後の曰く付き崖の存在が無ければ、更に滅茶苦茶映えるのね……。いや、崖を調査? しに来たのだけれど。

 ん? でもフォーナの様子が変ね。顔が曇っているわ。


「はわわ、あの、レトナさん。

 あの、オールちゃん……妹、フィオール・ブライトニアがお世話になってます」

「……フィオール……? 

 ああ、あの破天荒なウサちゃんね。

 貴女、あの子のお姉ちゃんだったの。フォーナちゃんも大変ね」


 ……あ、ブライトニアのこと……。

 そ、そうよね……。身内として色々……。いや、私も飼い主? 撫で係? として色々謝って回らないとならないかしら。

 でも、ガチの身内の前で失礼かしら……。うう、ややこしいわ……。


「別にわたくしはあまり関わっていないもの。マデルとルーニアが色々構っているから、心配なくてよ」

「は、はわわ……本当に申し訳ありませんっ」

「気にせんでも良いのではないのか? 所詮兄弟なんぞ他人の始まりだぞ」


 ルディ様が仰ると闇が深いわあ……。いえ、フォーナの兄弟姉妹も大概だけれど……。


「そ、そうはいきませんよお! ルディさあん!」

「うふふ、ちゃんとしたお嬢さんで何よりだわ。確か、神官さんだものね」

「は、はい。今はレルミッドさん……いえ、アルヴィエ侯爵家で、行儀見習いをさせて頂いてます!」


 ほうほう、婚約者として住んでるってそう自己紹介するものなのね。これから使いそうにないけれど、実に勉強になるわ。

 恋愛小説読んでも、こういうことは結構忘れがちよね。リアルで繰り広げられるから萌えなのよ。


「頼りにしているわね。神への信仰心とかそういう系統、わたくし疎くって」

「確かに、フォーナ以外全員疎いんだぞ」

「そ、そうですわね……」


 ルディ様は、今日も御発言に御遠慮がなくてらっしゃるわね……。確かに、信心深さが低い……と言うか信心が苦手系メンバーではあるわね……。


「はわ、『平らかに分かち合う神』に関しては不勉強ですが、が、頑張ります」


 そんな名前だったのか……。ここの神様……。恋を愛する女神も大概だけれど、失礼ながら何のご加護なのかサッパリ分からんわね。


「へー、スゲーなフォーナ。そんな名前だっけ」

「サジュちゃんは、もともと住んでいた地元の神なんだから。

 名前くらい覚えておいて、損はなくてよ」

「す、スンマセン……」

「な、長いお名前を覚えられるのが不得意なのですし、仕方ないのでは……。私も不勉強ながら覚えていませんでしたわ」

「そ、そーだよな……」


 誰よりも長身のサジュ様が、滅茶苦茶凹まれているわ……。お気の毒過ぎる。私も人様の事を言えないレベルなのに……。


「それにしても……よく、公爵がお花ちゃんをお外に出したわね。しかも天敵のルディちゃんと御一緒に」

「ほう。僕がアローディエンヌを拐かすとでも?」

「ルディ様、ミーリヤ様に怒られますわよ。それに、レトナ様ったらご冗談を……。私如きではルディ様の侍女にもなれませんわ」

「うふふ……貴方がた、変な信頼関係ね」

「ふむ? 単純だぞ?

 アレキの人間関係は、アローディエンヌとアローディエンヌが認めたものと、それ以外だ」


 ど、どういうことかしら。私が認めたもの?

 そんな好き嫌いして……るかしら。私、好き嫌い激しいタイプだったのかしら?


「え!? 私が認めたものですか?

 ど、どういう意味ですの? ルディ様……」

「うふふ、本人が分かってないわよ」

「ふあ、私、分かった気がします!」


 え、フォーナも!?

 やはりヒロインと攻略対象は分かりあえる宿命なのかしら……。

 って、いかんいかん。双方素敵なお相手居るのに、条件反射でゲーム脳が発動してしまった……。


「そもそも、アレキが心底気に食わない相手は殺しているだろう」


 ……否定出来ないのが辛いところね……。人権に配慮して穏便にしようと軌道修整してはいるのよ、これでも……。


「あ、そーゆー意味か。

 つーことはルディ様、ちょっとはアレッキオ卿と分かり合えたりする、とか有るんスか?」

「未来永劫分かり合えたとて、僕に何の得も無いが?」


 ……最早こんがらがりすぎて修復は不可能すぎるのね……。

 いや、諦めてはどうかと思うけれど……。何時か手を取り合う日が……来るといいなぁ。無理寄りなのは分かるけれど……。


「うふふ。まあ、損得で考えるのもどうかと思うけれど。わたくしもユール公爵は苦手だし」

「アレを得意な特異な人間は少ないからな」

「はうう……」


 美男美女からガン見されてしまったわ……。レトナ様のお付きの方からも、生温かい視線が……。


「に、義兄さまのことは兎も角……。崖のことですわよね。私でお役に立てないとは思いますが」

「それもそうね。空気を換えて下さって有難う。

 どうも、ルディちゃんに混ぜ返されるのよね……」

「面白がっているだけだぞ」

「それをご自身で言う、そことそれが駄目なのよ、ルディちゃん」


 おおう、ピリピリした空気が……。サジュ様とフォーナが、声も出ない程ビビっているわ……。


「安心なさって、ユール公爵夫人アローディエンヌ。

 貴女は稀で特殊過ぎると思うわ」

「は……はい……?」


 ……レトナ様にウィンクされつつも真面目に言われてしまった……。しかも初対面の方にフルで名前を呼ばれたの、久々ね。

 嬉しいやらなんやら……複雑ね。


「そして、この者が鑑定師なの」

「ご、ご紹介に預かりまして……。ピネと申します。平民ですので、家名は有りません」


 お付き添いの方の中から、小柄な男性が出てこられたわ。

 ……滅茶苦茶ビビっておられるわね。判るわ。


「うふふ。貴方がた、自覚はお持ちでないけれどまあまあ高位貴族だから。

 あまり怖がらせないであげてね」

「そうか。

 僕も半分平民の血筋を引いているが、普通にするぞ」

「ルディちゃんは、そういう反応に困ることは言わないの」


 わ、私、この場をフォロー出来るかしら……。微妙に心配になってきたわね。


「それであの……ご質問をしても宜しいでしょうか、ピネ様」

「ひっ、ユール公爵夫人様に置かれましてはごごごご機嫌麗しゅう!! なんでもかんでも御下問くださいませっ!」


 ……こ、怖がられてしまったわ……。

 えー、でもそんなに恐れられる立場なの、私……。ちょっとショック。しかし、確かに義兄さまが怖いもんなあ……。虎の威を借る狐のつもりは無いのに……。……いえまあ、嫌な方には偶に使ってるけれど。


「あの、レトナ様。

 ……もしかして、ルディ様と私は黙っていた方が円滑に進みますかしら」

「うふふ、まあ立場的にはそうね……。でも、マトモな質問が出来そうなのはお花ちゃんだけなのよね……」

「あのあの、アロンさんはお優しいですから! 無礼討ちとか無礼焼きとかされないですから!」

「フォーナ、多分ソレ義妹殿が一番やんねーよ」

「フォーナもやりませんわよ……」


 ……いや、他の方々はやるって言ったみたいになっちゃったけれど。

 誰も否定されない……。


「それであの、聞かせてくださるかしら?」

「こ、古代光魔術の中に、血統証明という術が有りましてね。鑑定魔術と少し似ているのですが」

「まあ」

「ですが、考古魔術学的には血統証明が使えた所で……死者には無意味です。

 何故なら我が国には、血統を証明する手立てが無いのです。

 例えば、他国では光魔術で読み取れた羅列を保存し紙や皮、石に書き遺して、照合するのですが」

「成程……」


 つまり、光魔術のパターンをデータベースとして遺してないから、誰がどの家の生まれ、だとかはわからないのね。そりゃそうか……。


「鑑定としては、この骨が土と火の魔術素養を持っていることは分かります」

「多重属性です! はわわ、珍しいですね」


 へー、そうなんだ。骨なのにそんな事も分かるのね。


「ですが、そんな方は珍しくも、それなりにおられますからね……。

 多重属性持ちが顕現したことのある家となると、それこそ星の数程……」

「うふふ、そうでしょうね……」

「そこの紺色の御髪のお嬢様と公爵夫人も、多重属性でいらっしゃいますしね」

「え?」


 紺色の髪は……フォーナよね? それは分かるし納得だわ。ヒロインだもの。色々珍しい能力持ちと相場が決まってるのよ。


「あ、はい。私、土と闇の魔力は持ってます!」

「えっ、そうなの!? 凄いわね!」

「えへへ……。でも、特に闇の魔術は何も出来ないんですけど」


 ……闇のヒロイン属性まで! 何処まで属性過多なのかしら……。


「そもそも、古代もだが現代闇魔術自体扱いが難しいと聞くぞ」

「はい。習うのにお月謝が7万ゼニゼロだと聞いて止めました」

「高えっ! え、何そんなにすんの!? 魔術の稽古だろ!? 五属性ならその辺で習うじゃねーか」


その辺……。そうなのね、習った覚えがないわね。


「いえ、でもお嬢様は賢明です。闇魔術も使えないのに開いてる魔術教室詐欺も多いですからね……」

「我がロッチ領では縛り首にするわ」


 ……お稽古が必要なのは分かるけれど、詐欺の気配もするなんて……。闇の魔術って何なのかしら……。そんなアンダーグランドな感じだから闇なの? 思ってたのと違うわ……。


 でも公爵夫人……って、私?

 この、ちょっと水をグルグル出来て、カップに水を溜める程度の魔力の……私が? 多重属性……。

 義兄様の仕業かしら……。

 でも、温かい水とか出せそうにないわよね。

 闇ヒロインフォーナがビックリしすぎて、私の属性とかどうでもいいわ。大したことないし。




古代闇魔術はワケアリ収納系です。

現代闇魔術は魔術バフ系ですが、他の属性で事足りるのでそんなに使われない悲劇の属性でもあります。

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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。
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