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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない(その後の小話集)  作者: 宇和マチカ
魅了された者達の事件

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出掛けるにも色々有るのよね……

お読み頂き有難う御座います。

アローディエンヌは自宅に帰ってきましたね。

「奥方様、お手をどうぞ」

「有難う」


 はあ、家に着いた。

 と言うか、徒歩で出かけた筈なのに何故馬車が出迎えに来ていたのかしら……。


 雨の器が生い茂る白い壁の館……だったけれど、何時の間にか、壁の色がクリーム色が薄いグレーに塗り替えられているわ。何時塗ってたのかしら……。サッパリ気付かなかったわ。


 此処は東地区に建つユール公爵邸。ユール公爵とその妻子が住まうタウンハウス……。

 まあつまり、魔王城とか言われてもいるけれど、ウチで自宅よ。

 長く住んでる住人の筈なのに、未だに全ての機能を知らないけれどね。変な仕掛けも多そうで、どうなってんのかしら。


 まあ、いいわ。取り敢えず、コレッデモン行き……。どうやって義兄さまを出し抜く……のは無理だから、説得しようかしら。まあ、大体好きにさせてはくれるけれど……。


 取り敢えず、部屋で子供達の顔を見てから考えましょう……。


「お帰りいアローディエンヌう!」

「げっ、義兄さま……」


 腕を広げて待っていたのは……燃えるような赤い髪の耽美な美形。

 慣れてはいるけれど、ぎょっと二度見するようなお顔よねえ。

 まあ、この邸の主なんだけれど。

 でも、何でいるのよ。帰る時間では無かったのに……!


「何で嫌そうなの酷おい! 只今、愛するアレッキオ! もう二度と離れないですわ! でしょお!」

「私が言ってもない、変なモノマネは止めてくださいな!」

「アローディエンヌう、愛する僕への愛を込めた挨拶は基本でしょお!!」

「……失礼致しました、アレッキオ。只今戻りました」

「うんうん、ショーンと打ち出の悪魔に絡まれて災難だったねえ!」


 いや、何故知ってるのよ。しかも言い方が酷いし! 顔が近いわ!


「ぐえっ、離してくださいな!」

「んもお、お帰りの抱擁だよお!」

「結構です!」

「えー、アローディエンヌはあ、隣国の死骸だらけの崖を見に行きたいんだよね」

「ですから言い方……! そうですけれど!」


 はあ。何で毎度毎度居て欲しくないタイミングで居るのかしら。

 もう、いっそのこと出てくる前に専用BGMとか流れないかしら。そしたら心構え出来るのに。ゲーム脳は未だ衰えないわね……。


「崖に物見遊山って、アローディエンヌったらあ、個性的だよね」

「ま、まあ。そう、ですけれど」


 確かに崖目当てオンリーで見物って……あんまり無いわね。崖なら風光明媚な風景がセットだものね。


「もしかして、この前の本に影響されたあ?」

「え、この前の本? 何か有りましたかしら」

「読みたいって言ってたじゃなあい。崖で犯人が罪の告白して飛び降りる中身の本」


 そんな某サスペンスでスリルな劇場みたいな本、異世界にも有るの!? 求められている物は異世界でも変わらないのね……。


「そんな本が有るんですか!? というか、結末をネタバレしないでください!」

「警備騎士サスペンスなんて、殆ど古典みたいな本だからなぁ。突き落としたい奴がいるなら国内で良くなあい?」


 良くないわよ。しかも古典なの? どうなってんのよ異世界の流行。


「突き落としたい方なんておりません!

 大体義兄さま、何で今お帰りなんですのよ。お戻りはもう少し後では」

「僕、有能だからねえ。何時でも好きな時に帰るんだあ」

「皆様にご迷惑かつ、勝手な行動はされてないでしょうね?」

「してないしてなあい! アローディエンヌったらあ、疑うなんて酷おい!」


 ホントかよ、サボってんじゃないの……?

 とも言えないのがなあ。チートだからなあ、このひと。

 しかし何処から連絡を……いや、ステルス的に付いてる侍女とかよね。しかし、見えたり見えなかったり、どうなってんのよ。私の動体視力がおかしいの?


「死骸関連ならショーンだけで良いだろうに、打ち出の悪魔も何考えてるんだかねえ……」


 全ての内容まで知ってるのが、また何度聞いても腹立つわね。もう少し遜って欲しいものだけれど。


「他国の辺境伯様を悪魔呼ばわりは止めてくださいな、義兄さま」

「ホントのことじゃなあい。

 アローディエンヌの可愛さにやられたなら、遠慮なく仕留めるけどお」

「よく其処まで曲解出来ますわね。レトナ様には、素敵な旦那様が居られますのよ」

「伴侶が居ようと無かろうと、人材確保って手があるよお?」

「うっ、それはそうですが……。私なんぞ何のお役にも立てませんわよ」

「それならどうして誘うのお? 可愛いアローディエンヌを何の意味もなくあんな田舎へ勧誘?

 おかしくなあい?」


 ぐっ、痛いところを突くわよねえ……。ニンマリ笑いがまた腹立つわあ。


「……連れてって欲しい顔でもしてましたかしら」

「へえ。

 アローディエンヌの顔色を伺えるなら、益々燃やさなきゃね」


 また火花を飛ばしてるし!! 要らんことを言ってしまった!


「いや、暑い! 冗談です! 単なる言葉の綾ですってば!」

「だよねえ!

 アローディエンヌの顔色は、僕以外分からないよねえ」


 だよねえ! じゃないってのよ。ああ、迂闊だったわ。まだ空気がブスブス鳴ってる。布類は焦げてないでしょうね!? ああ良かった焦げてない……。


「あの悪魔共が、何もないのに誘わないよお。

それに、レトナ様とアローディエンヌってえ、接点ないでしょお?」

「な、無いですけれど……」


 確かに、マデル様とミーリヤ様とは接点多いけれど……。レトナ様とルーニア様はニアミスしかして無いわ。殆どお会いしたこと無いかも。


「それにい、アローディエンヌって怨念とか、そういう過去のゴミみたいな輩の残置物。

 何にも感知しないでしょお?」

「え……」


 手酷すぎる言い方も気になるけれど、怨念の感知?

 た、確かにしたことない……。つまり、私の霊感がゼロってこと?

 た、確かに……全くオバケとかそういうのに出会った例無いわ。地味にそうかなーとか思っていたけれど!

 

「魅了無効のせいかなあ。

 良かったねえ。未練たらしい残置物だらけの部屋で、具合悪くする奴も居るらしいし」


 心霊スポットを、その辺のゴミ置き場みたいに言うわね……。しかし魅了無効って、そんなに万能な気がしないわね。他に何か有るんじゃないかしら。

 いや、逆に何も無いから感じないのかしら……。そっちが濃厚ね。


「でも、本当にですか? 私が家からあまり外出していないからでは?」

「最近なら、王都が結構焼けたの忘れたあ? 王城にいた屑貴族も結構くたばってるよ?」

「ですから言い方……」


 確かに、ついこの間過ぎるわ。王城にはフレッシュな怨念が溜まってそう……。いや、フレッシュな怨念って何よ。嫌過ぎるわよ。

 でも、過去から色々有りそうだものね……。知ってるだけでも悲しい出来事が沢山あった訳だし。

 それなのにちょこちょこ王城へ行っているけれど……全く何も感じなかったわね。悲しい程にオカルトモブ適性が無いんだわ。良いのか悪いのか。


「その火事に関わってそうな義兄さまが仰る謂れは無いですが」

「えー、僕知らないもん!」


 しれっとしてて腹立つわね。

 でも、オカルトの方なら……神殿関係はどうかしら。全く何の自覚も無いけれど、一応お祖父様から退魔的な能力継いで……る気がしないわね。

 あ、神殿なら親戚筋でルーロ君ならカッコよく祓えるかしら。出来そう! シゴデキだものね!


「ルーロ君はどうなのでしょう。悪意ある亡くなった方の無念をパパっと晴らせるとか」

「そんな能力はルーロには無いねえ。生き死に関係ない呪いなら解けるけど」

「……そっちの方が凄いですわね」


 大元を断つのも大事だけれど、呪い解呪(何でもアリ)とかチートが過ぎるわ。私何にも出来ないし。


「義兄さまに、そういう亡くなった方の怨念は感じることは出来ますの?」

「無いこともないけどお、部屋のホコリ程度にしか感じないねえ」

「……だから言い方……。でも、何も感じない私がお邪魔して良いのかしら。

 って、義兄さまのせいで不安になったじゃありませんか」

「あっ、そお!? なら責任を取って僕とずうっとベタベタしてよおかあ。何からも守ってあげるう!」

「結構です! 気が変わりました! 何が何でも行きますから!」

「んもお、つれなあい!」


 つれないじゃないのよ!

 でも、義兄さまは何かご存知なのかしら。諦めが早いってことは、危険はないってことでしょうしね……。いやでも単なる気まぐれかも……。


「義兄さまは、ロッチ辺境伯様の所領の崖のことをご存じなんですの?」

「死骸が崖から山程出たって話でしょお? 国境沿いなんて古今東西小競り合いの宝庫なんだから、死骸の百や二千、珍しくもないねえ」


 いや、そもそも崖から多数のご遺体出ないでしょって前提で、珍しいのよ……。


「そうだとしても、レトナ様が態々訪ねてお出でですから、希少な事柄でしょう?」

「まあ、死骸で崖造ってる時点でおかしくは有るけどねえ」

「えっ……!?」


 崖からご遺体が見つかったのではなくて、崖全体がご遺体だったの!? 

 どういうことなのよ。聞いただけでも怖すぎるでしょ!!


「何かの人柱の一種じゃなあい? 河川工事とか、戦勝祈願とか、呪いの儀式とか」

「いや最後。どれもどうかと思いますけれど、最後は本当にどうなんですのよ」

「死骸をその辺に転がしただけで、呪いって掛けられないのにねえ。手順踏まなきゃ」

「義兄さま、まさか悪用されてませんわよね?」

「有効活用しかしてなあい」


 ……呪いの有効活用って何なのかしら。悪事としか思えないわ。


「呪いはねえ。崩れないように形作るものだからねえ」


 へえー、パズルみたいなものかしら。物騒だけれど気になるな。


「では、ご遺体を崩れないように組み合わせて、崖の形にしていたのでは?」

「そういう事も出来なくはないねえ。

 土木工事の短縮かな」

「……考えただけで気持ち悪いですわね、それは」


 自分で思いついたのに、かなり胸糞だわ。そもそもそんな短縮って意味有るの?


「そおだよねえ。死骸を砕いて土にして崖にすりゃいいのに、態々形を残すんだもん」

「言い方……。

 それに、何故若い女性だけなのかしら……。大体、工事を請け負う方って殿方ですわよね?」


 あんまり詳しくは無いけれど、そういうイメージよね。前世なら兎も角。


「古代だと知らないけど、最近は木属性や土属性の女性も建築現場に多いね」

「へえ、そうなんですか」


 商店街だと女性が働いているけれど、建築関係も女性進出かあ。中々先進的ね。

 ……ん? 待てよ。

 女性も建築や土木に関わる……技術の有る方なら、崖って作れるのかしら。まさか……。


「え、まさか。

 沢山の女性が自主的に命を絶って、崖になった……?」

「あんまりない事象だねえ、それ。

 斬新だし、それでいいんじゃなあい?」

「突飛さを求めている訳では無いんですが……。

 大体、命を絶つなら崖から飛び降りる方が多そうですわね」

「まあ、きな臭くは有るねえ……。

 でも要するに謎解きしたいんでしょ、アローディエンヌ」

「うっ……。ですが、お話をお聞きした訳ですし少しでもお役に立てたらと思いますのよ」


 別に暇つぶしではなく、困ってらしたから……。いや、ミーハー心が無いとは言えないけれど!


「謎解きなら、アローディエンヌ専用で実物を用意しよおか?」

「しなくて結構です!」


 チートが作る謎解きなんて、一生解けないじゃないの!





相変わらず筒抜けです。

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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。
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