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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない(その後の小話集)  作者: 宇和マチカ
魅了された者達の事件

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苦手分野も有るものなのねえ

お読み頂き有難う御座います。

長らくお待たせして申し訳なく。



「ご夫人であるお花ちゃんの前で言うのもなんだけれど。

 わたくし、積極的にユール公爵と関わり合いになる気はなかったのよね。だから、ご招待はお断りさせて頂ける?」

「まあ……。そうでしたのね、では何方に致しましょう」

「うふふ、アッサリね。お話が早いわ」


 取り敢えず、何処かでお話しようとウチにでも……と思ったのだけれど。

 レトナ様に我が家への招待を拒否されてしまったの。

 ユール公爵邸がお嫌らしいわ。


「うふふ、そうねえ。ではコレッデモンの大使館にしましょうか」

「さ、サルカニの合戦館ッスか」

「ひええ……私、ご遠慮しても良いでしょうか、レトナ様……。特売が私を呼んでますの……。二つ向こうの通りで……クジラ芋が安いんですのよ」


 さっきからずっと抜き足差し足忍び足なドートリッシュは居心地悪そうね……。しかし、クジラ芋とはどんなお芋なのかしら……。地味に気になるわ、大きいのかなぁ。


「姉さんズリーぞ!」

「相変わらず変な理由で歪み合う姉弟だな。僕は何方でもいいぞ」

「此処はドゥッカーノなのだから、わたくしに言われてもねえ。小熊ちゃんはお花ちゃんに許可を取れば宜しいんじゃなくて?」

「え、いやった……いえ、わ、えーと! 義妹姫様! い、いかが、で御座いまするのですかしら!?」

「え、私? 予定が有るなら行かれては如何かしら……」


 ちょ、ちょっとテンパったドートリッシュが鬼気迫っていて吃驚したけれどね。

 取り敢えず、ルディ様の護衛ということでサジュ様はご一緒することになったわ。ドートリッシュは特売セールに行っちゃった。あまりにも怯えていたしね……。

 レトナ様はお美しくて良い方だけれど、人間関係だもの。仕方ないわ。

 義兄さまが苦手なのかあ……。そりゃそうか。


 矢鱈親しくもないのに関わり合いになりたい人ばかりよく集まってくるから忘れていたけれど、基本義兄さまは凶暴で凶悪だものね……。関わり合いになる方が確かにデメリット……。

 つくづく義兄さまって、なんてひとなのかしら。困ったひとねえ。


「魅了に耐性なんて、普通はないもの。わたくしは水属性だから多少毒の回復は出来るけれど」

「そうなのですね。私は不可能ですわ」


 回復呪文出来そうかしら? とかのファンタジーへの憧れは子供の頃に消し飛んだわね。そもそも、義兄さまのお世話で滅茶苦茶忙しかったし……。


「うふふ、お花ちゃんには、魅了無効なんて異能が有るじゃない。他の能力にとって代われるものではなくてよ」

「異能……異能ですわね。確かに」


 あまりにも大して恩恵が無いから忘れていたわ。

 確かに魅了無効はレアスキルなのよね。顔面動かないデメリットが常に伸し掛かってるけど。偶には心の中と同じように大笑いしてみたいものね……。まあ、どうしようもないけれど。


「言い方が悪いかしら、御免なさいね」

「いえ、そうではなく。私、他の能力が極めて人より劣っているものですから。他の能力を異能に持っていかれたのかなと考えておりました」


 でも義兄さまは無差別魅了なんてチート……異能があるのに、性格以外はなんでもかんでも優秀だわ。腹立つな。

 ……まあ、性格が曲がるような幼少期だったからなあ……。カバーはしたけれど、どうなのかしら。もっと暴君に……なっていたかもね。有ったかどうかも分からないけれど。


「貴女のそのお話し方もマナーも、全く劣っていなくてよ。ご安心なさいな」

「レトナ様……。嬉しいですわ、有難う御座います」


 お世辞でも嬉しい。密かに頑張った甲斐が有ったわ! まあ、家でマナー本と格闘しつつ練習しただけだけれど!


「……レトナ様に怖気付かずフツーに喋れるってだけで、異能だぜ。義妹殿」

「何か言って? 溢し屋ちゃん」

「ひっ、何でもないですスンマセン。話続けてください」


 サジュ様のビビリ方が半端ないわね……。ひとは見かけによらないから、そんなに厳しい方なのかしら。


「確かにユール公爵は美しいし魅力的だけれど、魅了ばかりは恐ろしいわ」

「自我を乗っ取られるのですものね」

「麻痺やら毒は気合で何とかなるけれど」

「そうっすよね」

「ならんぞ」


 ……ルディ様のご意見からして普通では何とかならなさそうね。私は一般人より更に弱っちいから気をつけましょう。

 このおふたりが特殊なんだわ。


「普通の火属性は幻惑なのよね」

「土属性の石化もヤベーっすけどね。使う奴とあんま会わねえし」

「石化まで仕える使い手はそう居ないわ。せいぜい行動制限くらいよね」


 フォーナが石化してたわね。そう言えば。

 なんか……思ってたのと違う石化だったけれど、助かって良かったわ。


「状態異常付与の使い手自体が希少だもの。わたくしは使えないわ」

「えっ、そうなのですか。ですが、あの水柱ですもの。凄いですわ」

「うふふ、有難う」


 それにしても、本当にレトナ様は街娘ルックでもお美しいわねえ。サジュ様とルディ様の素敵なご容姿と相まってその辺が光って見えそうよ。通行人が何度も振り返っているもの。三度見はしてそう。この御三方、本当に一般人オーラが皆無だわ。


 ルディ様の金の御髪にサジュ様の青い御髪も素敵だけれど、細かいカールの金に少し緑がかった青の瞳の組み合わせって、滅茶苦茶映えるのねえ。

 私の髪はノペッとした艶は多少有るけれど、輝きがゼロだし……。何より灰がかった黄色と根暗そうな青の目滅茶苦茶違いすぎる……。

 色相環は近そうなのに、雲泥だわ。モブオーラから逃れられないのね。


「うふふ、着いたわね」

「相変わらず何かこう……迫力が有るッスね」

「ふむ。異国風ではあるが、迫力か? 独特な感性だな、サジュ」


 うっ、どうしてもお庭のオブジェ? のおにぎり型の石に吹き出しそうになるわ……。吹き出さないけれど。

 それにしても、サルカニ合戦におにぎり有ったかしら。柿では無いのかしら。昔話では有りがちだから、おにぎり食べてたのかしら。そもそもこの世界に柿みたいなフルーツが有るのか不明よね。


「うふふ。さあ、お入りになって。取り敢えず我がコレッデモンとドゥッカーノの国境についてお話しましょう」

「助かりますわ、ご教授有難う御座います」

「サジュ、目が死んでいるぞ」

「はは……えーと、頑張るッス……」


 使用人さんが扉を開けてくださったのだけれど。

 中に見えるお部屋は普通なのよね。転生者に不審者の烙印を捺されそうなのは庭だけなのよ。あ、名前もか。


 それにしても。

 確かに国境についてはよく知らないわ。ウチの領地は……えーと、国境より少し手前よね。いつの間にか義兄さまに勝手に連れて行かれてるから、距離感が薄すぎるのよ。問題よね。偶には時間掛けて行くべきだわ。


「うふふ、そう言えば女性の骨ばかりと言ったけれど

 何故ルディちゃんは若い女の骨ばかりと分かったの?」

「どうもこうも。若い女の手が見えたからな」

「……手、で御座いますか」


 そういや、ルディ様って視えるひとなんだったかしら。ネクロマンサー的な方なんだっけ。こんなにキラキラした光の王子様なのにネクロマンサー……。意外よね。

 最早、皆様意外性の塊だらけだから、驚きが薄くなってきたかもしれないわ。


「どんな人間でも、首と手は年齢が出るだろう。

 よく動く部位だ。使う年月が多ければ、何でも古びていくんだぞ」

「うふふ。御婦人への悪口にも使われるものねえ」

「古代闇魔術を常に纏って皮膚を保ったものも居たそうだが、ウロウロする闇のモヤが魔物にしか見えず怪しすぎて討伐されたらしいからな」

「そ、そんな使い途が有るんですのね」


 闇のヴェールを纏ったミステリアス褐色美女、とかじゃなくて怨霊的な見た目になるのね……。確かに怪しいしシンプルに怖いわ。

 それにしても……あんまり知らないけれど、古代魔術ってがっかりエピソードだらけじゃないかしら。派手で凄そうだと期待した、私のファンタジーへの憧れを返して欲しいわ。


「古代魔術って、がっかり話多いッスよね。光と闇は特に」

「うふふ。

 ルディちゃんは、崖の女性の骨が闇魔術に関係していると思うのかしら?」

「僕は闇魔術に全く適性がないから、その辺りは知らんぞ」


 単なる雑談でいらしたのね……。でも勉強になるわ。役立つかどうかは分からないし、闇魔術使えないけれど。


「では、何処で手を見たの?」

「レトナに絡んでいた中年男に絡みついていたんだぞ」

「あのオッサンにッスか」


 えっ、あのレトナ様に絡んでいた人が!?

 女の人の手が絡んでたとか、滅茶苦茶怖いわね。全然見えなかったし、私ってやっぱり霊感ゼロなのね……。


「と言うことは……ドートリッシュに抱きついて来そうになった方も、可能性が……」

「オバケ付きの奴に絡まれたとなったら、姉さんビビるだろうな……」

「サジュの姉君なら普通に叩きのめしそうだが」

「流石に生身以外はちょっと無理ッスよ……」

「うふふ、可哀想だから小熊ちゃんには黙っていましょうか」

「え、ええ。分かりましたわ」


 確かにドートリッシュに心労は掛けたくないものね。それにしても、ドートリッシュは生身相手なら大体何とかなると考えてらっしゃるのね……。信頼なのかしら。


「義妹殿は全く動じてねーな」

「アローディエンヌは大体の物事は怖がらんからな」

「畏れながらルディ様、そんなことは御座いませんわ」


 顔に出ないからなあ……。その点は得なのかしら、どうなのかしら。


「うふふ、ユール公爵に胆力を鍛えられているのかしら」

「喧しいアレキ曰く、アローディエンヌはずっとこうらしいぞ」

「落ち着きが有るよな、義妹殿」

「至らないことばかりですのに、お褒め頂き有難う御座います」

「うふふ、ルディちゃんは褒めていなくてよ」

「い、いえ。私などのことよりも、崖の事に戻りませんか」

「ふむ。崖から出た女の大量の骨、なあ。

 拐かしか、女しか葬られない墓地でも有ったか、そもそも本当に女だけなのか」

「うふふ、今のところ見つかったのは女性ばかりね。見に来るかしら」


 気になるし、行ってみたくは有るけれど……関係者じゃないのに、ご遺体を見ても良いのかしら。冒涜にならないかしら。そして何より役に立たなさそうなのに。

 それに、外出かぁ。義兄さまが煩そうね……。


古代闇魔術は美容にも使えました。闇魔術で体をコーティングするとあら不思議。誰でも常にプルプルお肌になれます。

ですが、使ったビジュアルは良いところ怨霊で、闇を剥がすと即お肌が干物か液状化します。討伐対象にもなります。

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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。
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