仲間のために
次の日、組んだ3人とゴブリンの討伐依頼に森へでかけていた。ゴブリンは人の子供と同じくらいの大きさで個体の脅威度は低いが集団になるとベテランのギルド員でも手こずることもあった。とはいうもののそれはコロニーを作られる場合にしか起きない。
討伐は順調に達成し、あとは受付に報告しに行くだけとなった。少し気を緩め、他のやつに話しかけようとしたが、複数の気配に気づいた。
(いるな。おそらく10人ほど囲まれているな。)
少し時間が経つと、一人の男が姿を表した。
「気配の察知はできるのね。少しはやるじゃ無い。でも、もう遅い。囲まれては逃げ場はなくってよ。」
「ビリー・マッケンジーだろ?懸賞金が金貨3枚らしいな」
「あら、私も有名になったかしら?でも、最近は隠れてやってるし、手配書作られたの前の話でしょ?もしかしてばれてたのか。」
ビリーはケインたちを睨んだ。
「別にケインが教えてくれたわけでもないさ。ただ話しかけられたタイミングが怪しくて少し手配書調べたんだよ。確実なことは無いんだ。別に警戒して無駄に終わればそれでいい話だ。ああ、それと逃げ場が無いって言ったよな。それはそのまんまお返しするぜ。逃げられてお仲間のギルドの受付にバレたら逃げられるからな。」
「アハハハハ。面白いこと言うじゃない。ギルドにも通じていることもわかってることから、あなたはとても優秀なのはわかった。なんでわかったのかしら。それに手配書をたまたま見つけるにしては出来過ぎてるわ。」
「受付に関しては記入欄が多くはない登録用紙をわざわざ一旦別の所で書かせるのは効率悪いし、最初は後ろに並んでる者への配慮かと思ったが2回目の時にギルドについての話がとても長いからおかしいと思った。手配書については、これに関しては手配されていない可能性もあったから推測に過ぎなかったさ。ただ、集団的犯行を行ったモノ、事件を起こしたのが最近のことではないこと、近くの場所で事件を起こしたこと、それに当てはまるのがあんただけだった。」
「ふん、まあいい。わかっててノコノコ来たのは関心しないわね。そこまで言うなら死になさい。あなた達行きなさい!」
「戦力を予測して、負けないとわかったから来たまでさ。足手まといが人質になる前に終わらせるか。」
そしてアドルフは14つの魔法陣を展開し、そして魔法を発動させた。囲んでいた男14人に向かって【火球】が放たれた。それに反応し避けようとする前に【火球】があたり、爆発し男たちは死んでいった。
(なっ、何!?一瞬で倒すなんて。しかも魔法を使うなんて。クソ、こんな事になるんなんて。いや、あれだけの魔法を使ったんだ。魔力がそう持たないわ。おそらく、腰の剣は魔法使いを隠すブラフだったのか。接近戦だったら勝機があるわ。)
「はぁぁぁぁぁぁぁ。」
ビリーが叫びながら襲いかかってきた。そして、アドルフの懐に潜り込んだ。
(よし、いける!)
そう思った瞬間、ビリーの頭は体から切り離されていた。切られたことも気づかないくらいの速さだったためかビリーの表情は変わらずに死んでいった。
「襲いかかるなら黙って襲いなよ。」
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ケインたちは信じられなかった。目の前で起きている出来事が。ケインたちはいや、正確に言うとケインとベティは故郷の村から一緒に出てきたもう一人の仲間がいた。その仲間がビリーたち盗賊に捕まり、こうして新人を誘い込む役をさせられてきた。リースについては仲間が捕らわれた後に仲間になり、すぐに実行すると怪しまれることもあり、だったら2、3人まとめて実行した方が効率がよく、何回も同じことが起きると怪しまれる。
(すごい、僕達より少し年下の子が全員やっつけるなんて。そうだ、ロンを探さないと!)
「アドルフくん、ごめんなさい。僕達の仲間が人質に取られて言いなりになってたんだ。騙してた僕らの頼みなんて聞いてもらえないと思うけど、仲間を助けるのに力を貸してもらえないかな?」
「ああ、その人質なんだけど多分もう死んでる。俺がこいつらだったらそうするよ。人質なんてものは足手まといになるしね。それにこれが終われば口封じに君たちを殺してただろうさ。そうだろ、リース。調査員のあんただったら、わかるだろう?」
今まで黙ってたリースの口が開いた。
「やはり気づいてたか。何故わかった?」
「最初はビルの仲間と警戒してたが、依頼に出た時、丁寧に周りを警戒してた。そこで、俺以外にもこの件について気づいてる人物がいると思ったんだ。大方、ギルドの内部調査を行っている人物だろうと。まあ、そこは勘だけど。」
「そんなことはどうでもいい!なんでロンが死んでると言うんだ!」
ケインは大声で怒鳴った。
「考えてみろ。内部調査員のリースがいるんだ。事前に調べるだろ。それで人質がいるとわかったら、まず救出しようとするが、それをしていない。つまり、救出の可能性が無い。それと、救出済みの場合だとビリーは今回のことを起こさなかっただろう。まあ、俺にはお気の毒にとしか言えない。」
ケインは膝から崩れ落ち、涙を流した。ケインの嗚咽は森の中に消えていった。




