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滝沢茜の事件簿  作者: 安西邦彦
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9/15

盗聴

滝田茜の事件簿

9.

3日目AM6:05


「あなたねぇ!約束ごとは、きっちり守らないと!……*$¢☆!」


駐車場で一夜を明かした茜を、叩き起こす迫力で、耳にあの女の不機嫌そうな声が聞こえてきた。盗聴器!

昨夜会った時、健太には悪いが、彼の胸ポケットに盗聴器を仕掛けたのだった。

無線機のスピーカーから聴こえてきた女の声は、最後の方は雑音で遮られた。

(健太……、どこかにぶつかったの?)


しばらく1分ほど盗聴器からの音声が途切れた。

「……分かったわよ。それじゃ、例のところで、……今夜8時に。」携帯電話で話していたらしい。エレベーターで動いていた?

今の音声は録音してある。カメラ、盗聴器、録音機は、探偵の必需品である。秋葉原で買い揃えたものだ。


しかし、横柄な声音を聞いて、一遍で嫌になってきたわ。演技は上品で好きだったのに。裏切れたような気分である。

とにかく今夜8時に誰かと待合せしてることは、間違いない。プライバシーの侵害は、この際やむを得なかった。

ある意味、最愛の人を窮地に陥れた関係者なのだから……。

茜は、一度事務所に戻ろうと思った。所長に相談してみよう。

近くの自動販売機から缶コーヒーでも買って、頭をすっきりさせようと、彼女は車を発進させた。

(つづく)


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