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滝沢茜の事件簿  作者: 安西邦彦
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6/15

福屋探偵事務所

滝田茜の事件簿

6.

渋谷区にある福屋探偵事務所ーー

PM5: 35

珍しくスーツ姿の福屋所長の膝の上に、あの片目がブルーの真っ白い猫が、気持ちよさそうにまどろんでいる。手のひらでかるく首スジを撫でた。

今日は依頼客があって、とある場所に出掛けていたのだった。先ほど帰ってきたところなのだ。

チリン。電話のベルの音は、かなり小さくしてある。

彼は、すぐに電話に出た。休暇中の滝田茜からだった。彼女なりに行方不明の恋人について調査をすすめているらしい。

福屋は、相づちを打って聴いていたが、ひとこと分かりましたと言って、電話を切った。言葉を惜しんでる訳ではなく、要点だけを押さえておく彼のスタイルなのである。

隅のテーブルにあるサイフォンから、コーヒーをカップに注ぐと、猫を抱いたまま窓辺に行く。コーヒーを一口飲む。外には、黄昏時のビル群があった。美しい時間。

そして、白い猫が、彼の腕からサッといなくなったのである。

(つづく)


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