爆破
滝田茜の事件簿
11.
AM 13:05 六本木ヒルズ
普段なら穏やかな六本木ヒルズ界隈は、時ならぬ物々しい警官隊ーー特殊部隊と思われるーーやパトカー緊急車両が、集まっていた。あたりには、痛々しいほどの緊迫感が、張りつめている。
爆弾を仕掛けたと通報があり、警視庁より派遣されたのは、額賀正毅SAT部隊長だ。
テロ誘拐人質事件を職掌とする精鋭を束ねる。過去の実績により額賀は抜擢された。人命を最優先するが、時には犯人を射殺する権限を与えられている。
自衛隊の爆弾処理班も、急遽呼ばれて任務に当たることになったのである。
命を懸けた危険な任務に当たる彼らは、普段から血の出るような訓練を重ねていて、彼らには無論恋人もいない。
それは、暗黙のルールとして、彼らの胸の内にある。国のためいつでも殉職する覚悟をしてるからだ。
金属探知機。警察犬も広大なフロアを必死に探している。
犯行予告の時間を、犯人は教えてはくれない。いつ爆発してもおかしくない。
世界に蔓延するテロ事件。欧米では有力な階級の子女の誘拐が頻発しており、近年は多国籍化する傾向にある。
犯罪組織とテロ組織はつながりがある。
闇の世界で暗躍しているのだ。
14:05だった。六本木ヒルズの上部階から、衝撃があった。爆弾が、爆発して窓ガラスが吹き飛んだ!さながら航空機が突き刺さったアメリカ同時多発テロのように、超近代的ビルからは、もうもうと黒い煙が舌なめずりしていた。悪夢のようだ。集まった人々が悲鳴を上げる。泣いている女性もいた。結果的には、死傷者は数百人となった。大惨事である。その中には任務に当たっていた警察官、自衛官も含まれている。福屋が言ったように、これは大事件となったのである。
(つづく)




