第13章-2
◆ 中原との打ち合わせ —— 久々の“希望”
後日、加藤は倉田部長と
SolidWorksのセットアップ業務の説明をする約束をしていた。
CADを知らない倉田にも分かるように資料作成。
(これでようやく、会社がまともな方向に動くかもしれない)
そんな期待すらあった。
◆ しかし、現れたのは倉田ではなかった
打ち合わせ当日。
加藤が資料を揃えて会議室で待っていると——
入ってきたのは倉田ではなく、中原 だった。
「倉田部長は……?」
「今日は来られないそうです。私が代わりに伺いました」
(……ん…~ん??)
加藤は落胆した。
中原の第一印象は、
少し頼りなさげな外見。 しかし、話し始めてすぐに分かった。
この人は優秀だ。
加藤が資料を説明し始めると、
中原は驚くほど早く理解した。
「資料は……必要ありませんね。
話を聞けば十二分分かります」
(……この人、本物だ)
加藤は久しぶりに“希望”を感じた。
◆ 中原の驚き ——「これを全部一人で?」
加藤が説明を続けると、中原の表情が変わった。
「ちょっと待ってください。
これ……全部、加藤さん一人で?」
「はい」 中原は目を見開いた。
•冷却機仕様のSolidWorksセットアップ
•3Dモデルと図面の保存ルール作成
•共通部品の共有ルール
•制御盤を旧機種の半分にした設計改善
•I DEAXの地獄データを整理しながらの作業
どう見ても 5人分の仕事 を派遣の加藤が一人でやっていた。
「信じられません……
私も以前 I DEAX 設計をやっていましたが、
これは普通の人間にできる量じゃないですよ」
その言葉に、加藤は胸が熱くなった。
(やっと……分かってくれる人が現れた)
◆ 加藤の胸に芽生えた“期待”
中原の反応を見て、加藤は思った。
(この話が広まれば……高評価に変わるかもしれない
ひょっとしたら正社員の話は……)
もし正社員になれたら——
•派遣だとバカにしている連中を見返せる
•手書き勤怠表のサインを吉口・入先からもらう屈辱から解放される
•正社員になればネットワーク権限も広がり、作業効率もグンと上がる
•加藤の活躍が表に出れば、会社も良くなる
(やっと……報われるかもしれない)
加藤は、久しぶりに未来を思い描いた。




