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四天王幼女



治療から一週間、患者達に異常もなく、浩一たちは次の四天王の治めるプラッシュにいく事にした。

ダリアは一緒にいくと言っていたが、ミッシェルに無理やり飛ばされていた。


「いやぁ、可愛いお嬢さんだったなぁ」


ロトの言葉にミッシェルが不敵に微笑む。


「やらんぞ」


「そ、そういう意味で言ったわけでは……」


ロトは浩一の陰に隠れて萎縮していた。


「まぁいいじゃねぇかミッシェル!かわいい子は褒めたいもんだ!な!ロト!」


「そうだぞ!俺はセクシーオネェサンの方が趣味だぞ!」


ロトの言葉にフレイアがへらへら笑って言う。


「ダリアちゅんだってセクシーお姉さんになれるぞー!ミッシェルたんの妹だからな!」


ロトが難しい顔をする。


「それは俺が爺になってからじゃないか?」


フレイアはにっこりと笑って何も言わず、ミッシェルを見る。


「四天王のシピー・レフに会いに行くのかい?」


「おう、無視か」


ロトのツッコミなど聞こえないようにミッシェルは返事をする。


「えぇ、すぐに飛んでも問題ないとは思いますが、道を辿ったほうがいいかと思いまして」


(問題ないんだ…)と浩一は思いながらも、マーサを思い出す、マーサはきっと今、必死に教皇の元で修行しているだろう。だがそこにもし、教皇の毒牙がかかってしまったら……

【最終決戦にてゴールデンボールが必要になる】……リリベルの話が脳裏によぎる。


「マーサさん、何もありませんように」


浩一の言葉は誰も聞こえていないのだった。


レフトから走ってプラッシュに向かった。

普通の人が馬で走って3か月の距離を6人は風の様に走り三日でプラッシュ端の領地に入った。


衛兵は人間と魔人が一緒に仲良くしていて、ここでも思うが、魔族はまだわかるが、人間が仲良くしているのは意外だった。


そう思って眺めていると。


「なーに不思議そうに見ちゃってんのよ!魔族と人間だって仲良くできんのよ!小童(こわっぱ)!」


その声の方を見ると、青い髪の幼女が尊大な態度で立っている。


周りがその子の存在に気が付くと、魔族がそそくさと逃げて行き、人間達がにこやかに話しかける。


「シピー様、また遊び相手探しですか?」


「シピー様、ウォレックは昨日5回死んだからきついと言ってましたよ、生き返らせられるとは言え今日はウォレックはやめてあげてくださいね」


そんな人間にシピーは頬を膨らませる。


「みんな、軟弱すぎてすぐ死ぬんだもん!ちゃんと遊んで欲しいわ!」


「ははは」と笑う人間達を見て、浩一は(毒されている)と思った。

引き攣った笑い方をしていたら、シピーは浩一を見る。


「ダリア様に認められたからって、私は簡単に認めないんだからね!!神田浩一!」


シピーが浩一を指さす。


「は、はい!」


「あんたたちみーんな試練なんだから!シピーと遊んでもらうのよ!」


ふふんとポーズを決めて満足そうな幼女。だが、魔族は見た目では年齢が分からない。きっと浩一より年上だ。そんな子の試練、遊び、そして国民である人間の不穏な言葉――「昨日5回死んだからきついと言ってましたよ、生き返らせられるとは言え」――その言葉が浩一の不安を募らせた。




返事をする暇もなく、浩一たちはシピーの魔法で転送させられた。

グワンと少しめまいのような感覚がした後、目を開けると、


コロシアム型の会場だが、フィールドは青と白と水色の大変メルヘンな世界で、障害物として大きなぬいぐるみや可愛い家、モンスターのオブジェが置かれている。

その真ん中で大きなハンマーを持つシピーが立っている。


「さぁ!遊ぶんだから!」


フィールドにいるのは、浩一、ガイア、アイリッシュ、ビリーだ。周りをよく見ると観客席にミッシェルと人型になっているロキがロトを膝にのせて座っている。


そこに、キーーーーーーンとマイクがスピーカーに近づきすぎたような高い音が響いた。


「さぁ始まりました!四天王爆炎の青龍の称号を持つシピー・レフの遊びの時間!デス&ラン!今日のゲームはぁ!!!」


振り返ると司会が居て、その言葉に呼び寄せられて、続々と人が入って来る。


「モズラ叩き!地面から頭を出すモズラを叩くように、挑戦者たちを潰して潰して!潰しまくります!!」


司会の言葉にガイアが顔を引きつらせる。


「なんつー遊びだよ」


司会が興奮冷めやらぬ様子で言う。


「今回の挑戦者は勇者パーティー!四天王に挑み、魔王様への道を切り開け!もちろん反撃もあり!60分!逃げきれ!ReadyGO!!」


司会のその声でシピーが消えた。

すぐに地面の影に気が付き、上からの攻撃だと察した浩一たちは飛びのいた。


その場にズドーーーンとハンマーが落ち地面にひびが入る。避けなければあの下でぺちゃんこだっただろう。

本当に死ぬか生きるかのゲームなのだと浩一は冷や汗をかく。


「へっへっへぇだーれーかーらー、つぶそーかなぁ」


シピーは指をさしながら誰かを選ぼうとしている。浩一は叫ぶ。


「俺からだ!!」


その言葉にシピーはペロッと唇をなめる。


「いいじゃん、楽しんじゃうんだから!!」


シピーが浩一に飛んでくる。浩一はその大きなハンマーを、ねぎまで受けた。

手が下敷きにならないように手を広げていたので、ねぎまがダイレクトにハンマーを受け止めている。


「うおおおおおお、浩一様ぁんを守るのですわぁん!」


ねぎまがミシミシと、とても野菜とは思えない音を出しながらハンマーを受け止めている。

浩一はねぎまを支えていた手でねぎまを握り、ハンマーを押し返し弾き飛ばす。

司会が叫ぶ。


「おーーーーと!シピー様が押し返されているぅ!すごい!すごいぞ勇者浩一!ただのおせわがかりじゃなーーーい!!」


ドーンとシピーが着地する。


「たのしぃぃぃぃぃ!!いいじゃんいいじゃん!もっと遊んで―!!」


浩一はみんなが逃げているのを確認して、青いケーキのような建物の陰に隠れる。


シピーを見ると、次はガイアに飛んで行った。ガイアは軽々とハンマーを押し返していた。

次はアイリッシュだ、アイリッシュは盾の魔法で防ぎ、逃げる。

だがシピーはもう一度アイリッシュを狙おうとした、そこに矢が飛んで来てシピーはハンマーでそれを砕く。

続けて2本3本4本5本と魔法の矢が飛んでくる。


「うわーん!うざーい!!うざんだから!!」


シピーはハンマーを傍らに立てて置き、その可愛らしい口から青い炎を吐き出し、ぐるっと周りを火の海にする。

それをアイリッシュがウォーターボールで包む。


「おーーと!勇者パーティーの優秀なウィッチがシピー様を水攻めだぁ!!」


シピーは水の中で苦しそうにするでもなくスイーとハンマーを持ってウォーターボールの中を泳いでいる。

そして、中でハンマーを振り回し、その勢いでウォーターボール内が渦を巻き、そして大きな竜巻になり、ぱっと霧散しシピーは空中で目をギラギラと輝かせ、眼下のフィールドを見て楽しそうにしている。


ハンマーを上に掲げると、ハンマーが10個に増える。


「そんなのありか!?」


浩一は逃げられる体勢をとる。

ハンマーがそれぞれを追跡する。走って逃げるも追尾式のハンマーは止まらない。

浩一はハンマーを切り伏せた。それを見たガイアも切り伏せ、2人は目を合わせ、頷き、さっと走った。浩一はアイリッシュに、ガイアはビリーに、そして、それぞれを追いかけていたハンマーを切り伏せた。


空を見ると、シピーは口が裂けるのではないかと思うほど口角を上げている。


「ここからが本番だな」


浩一は生唾を飲み込む。


シピーは笑いながら次々とハンマーを出して投げつけ始めた。


浩一とガイアはハンマーを切りつけ、ビリーは俊敏に避け、弓で出した巨大な矢で撃ち落とし、アイリッシュはファイアーボールで撃ち落としている。


ハンマーの雨、全てをそれぞれが破壊し、消し去るのを見て、シピーはさらに高笑いをして、次は浩一に飛びつき、ハンマーを振り下ろす。そのハンマーだけは叩きつけても壊れない、そして何度も浩一を叩き潰そうと振り下ろしてくるが、浩一も潰されまいとねぎまではじき返す。その凄まじい勢いで風が轟々となる。


そこに一つの矢がシピーめがけて飛んできて、シピーはそれにハンマーを向けて消し去る。そして矢が飛んできた方を見れば、ビリーが居る。


シピーは唇を舐め、地面を踏み鳴らす。ドゥン、と音を立てて、ビリーの方に向かう。あと一歩ビリーの所に着くという時に、ビリーの足元が光り、そこにはガイアが立っていた。


それに動じることなく、シピーはハンマーを振りかぶる、そんなシピーとハンマーをガイアは打ち返そうと振りかぶり、2人のハンマーとグラディウスが、があああんと激しい音をさせて、フィールドを揺らした。


ぎぎぎぎぎぎと激しい音が響く、力が拮抗している。

そこに浩一とアイリッシュの支援魔法が重なり、ガイアの力が勝り、シピーとハンマーが飛んでいき、フィールドの壁に轟音を立てながらぶつかる。


浩一たちはそれが見える位置に集まる。


ガラガラと瓦礫が落ちる。シピーの顔に影が落ちていて、表情がわからない。


ガラガラと落ちる瓦礫と一緒にシピーとハンマーが落ちる。

どおおんと音が響く。

ゆっくりとシピーが立ち上がる。


「へへへへ」


シピーの可愛らしい笑い声が聞こえる。


「へへへへ!!たっのしぃぃぃ!!!!」


その声は轟音となって会場を揺らした。


そして、シピーは飛び上がり、ハンマーが巨大化する。


「これは…」


浩一が冷や汗を流す。


「無理だろぉ」


ガイアも顔を引きつらせ呆れて笑う。


フィールド全体を覆うほどの巨大なハンマーが降って来る。


浩一が叫ぶ。


「アイリッシュさん!」


「わかってる!!パワーブースト!!」


浩一とガイアの力が増す。


浩一とガイアは何とか受け止める。


だが、重すぎる!



「踏ん張ってよ男達!」


「浩一さんガイア頑張って!」


アイリッシュとビリーがしゃがみこんで応援する。


「わかってるけど!……」


「こりゃ……圧が……」


徐々にハンマーに押され、小さくなる勇者メンバー。

そこに救いの声が響いた。


「おーーーと!!ここで1時間だ!!!勇者パーティー誰も欠けずにフィニッーーーーーーシュ!!」


ぽん!と音を立ててハンマーが元のサイズに戻った。

そして、浩一たちめがけて落ちて来るので急いで避けると、浩一たちの真ん中にシピーが着地した。

そしてほくほく顔で言った。


「あんたたちやるじゃん!認めちゃうんだから!」


そうして、浩一たちは試練を乗り越えた。


試練の後、プラッシュの城に泊まり、急いでサイフォンに旅立とうとした時だ。


「やーーーーだーーーー!もっと遊ぶ―の―――――!!!」


浩一の腰にしがみついてシピーがわんわん泣いている。


使用人たちがあわあわと慌てながら泣きそうにシピーをなだめている。


「シピー様、離してさしあげないと」


「ミッシェル様たちはお忙しくて……」


「いーーーやーーーだーーーーー」


わんわん泣くシピーにみんな困り果てている。


浩一は1つため息をついて、しゃがみこみ、シピーの頭を撫でる。


「ごめんね、もう行かなきゃいけないんだ、でもまた遊びに来るから」


「ほんとか?」


「あぁ、全部終わったらもっとたくさん遊ぼうよ」


「もっと遊んでくれるのか?」


「あぁ、僕じゃ物足りないかもしれないけど」


「そんなことないもん、遊びたい!」


浩一はにっこり笑う。


「じゃあ、約束だ、全部終わったらいっぱい遊ぼう」


浩一が小指を出す。

シピーは乱暴に涙を拭って小指を掴む。


「うん!約束なんだから!」


浩一と約束してシピーは大きく手を振って浩一たちを見送った。


ロトが飛びながら言う。


「流石勇者パーティーのおかんだな!」


「やめろよ!」


浩一が顔を赤くして言うと、ガイアががははと笑う。


「子供をあやすのが上手いじゃないか浩一」


浩一は弟の賢哉を思い出す。

自分のために泣いてくれていた弟、


「弟を慰めていたので」


アイリッシュが思い出しながら言う。


「それだけかしら?元々の気質じゃない?」


ビリーがおずおず言う。


「浩一さんは優しいからお母さんを思い出します」


浩一はどんな反応をすればいいのか複雑な顔になる。


そんな話をしながら驚異的なスピードで走る6人はあっという間にサイフォンに到着する。


門を通ると、そこはヨーロピアンな街並みに花が綺麗に咲き誇った家々が並んでいる。


門番が言う。


「ようこそ美麗の国サイフォンに」

















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