ねぎまの理解者
「なら私はドルーン国王とルーミヤ首相と話しておこう」
ミッシェルが言う言葉にガイアが驚く。
「ミッシェルはドワーフ王とエルフ代表と話せるのか?」
「ちょっと伝手があってな」
そう言ってミッシェルは手を目の前で丸い物を撫でるようにくるくると回すと2匹の鳥が生まれ、飛んで行った。
美しい鳥たちを見てマーサが言う。
「伝令鳥ですか」
「おや?知っているのか」
マーサはミッシェルを見て怪訝な顔をする。
「教皇猊下が使っていました。とても難しい魔法だと言っていたのにあなたは簡単に使いますね。」
怪訝な顔のマーサにミッシェルは何でもないように言う。
「ゴーシュ僧侶が死んでから魔法の腕を磨いてね、私は鍛錬が好きだし、ゴーシュ僧侶は魔法を使えない自分を悔しがっていた。だからこそ私は魔法、格闘ともに高めたんだ」
マーサは珍しくミッシェルにキラキラした目を向ける。
「貴方はただの破廉恥シスターでは無いのですね!素晴らしいです!師の為に高みを目指すなんていい心がけです!」
ミッシェルはニヒルに笑う。
「外面だけで人は判断できないものだよ、さて、進もうじゃないか、次の町にあの人攫い達を引き渡してドルーンにすぐに行かなきゃね」
「はい!」とみんな返事をして、浩一のライフボックスに、人攫い達とマーサとロトとアイリッシュが入り、オノケ達とカードゲームしながら人攫い達の見張りをするようだ。
決してミッシェルの爆走荷車から逃げたかったわけじゃないぞ、決してだ。という言葉など聞こえてはいないはずだ。
「よし、みんな乗ったな!舌噛むなよ!おりゃ!」
ドゥン!という音と共に荷馬車に乗った勇者一行とドワーフ、エルフカップルはミッシェルの爆走荷馬車で次の町に行った。
爆走荷馬車は町の見える小高い森の出口で止まる。
「すっげぇ!!ミッシェル、こんなに乗せてよく走れるな!」
「こんなに早い馬車初めてだわ!!」
キャッキャと騒ぐライオットとリラ。
「そうだろう!すごいだろ!」
「すごかったよなぁ!」
「僕はやっぱり怖かったです」
ビリーは怖がっている割には平気そうだ。
今回も少し気持ち悪そうな浩一、まぁ前よりはましなようだ、訓練が実を結んでいるのだろう。
「浩一様ぁぁぁ!お気を確かにぃいいい!!小娘もっと王族を乗せるように走りなさぁぁぁい!」
「うお、そのネギしゃべるのか!」
「お顔があると思ってましたけど喋られるのですね、かわいい」
ライオットが驚き、リラがちょっと嬉しそうにそう言うものだからみんな固まる。
「エルフの小娘はわかってるじゃなぁいん、リラちゃんって呼んであげるわん」
「ありがとう、貴方に名前はあるの?」
「ふふふ、この高貴な名前にひれ伏しなさい!ね・ぎ・ま!様よ!!」
「かわいい!素敵な名前ね」
「なんたって浩一様の聖剣ですからねぇん!」
「すごーい」
ねぎまがいつの間にかリラの手にあり二人で楽しそうに話している。他の面々はちょっと離れたところでコソコソする。
「ライオット君、リラさんの美的感覚って」
浩一の言葉にライオットは考えながら言う。
「そういや、旅のとちゅう、服を選ばせるとフリルゴテゴテドレスとかモンスター植物柄とか選んでいたような……」
そのライオットの言葉でミッシェルが可哀想な物を見る目でリラを見る。
「踊りにセンス極振りしてしまったか」
ガイアがライオットに聞く。
「今着てる服はセンスよさそうじゃないか?」
「俺が選んだからな」
あー、と全員がねぎまと楽しそうに会話するリラを見るのだった。
そして、浩一は楽しそうに話すリラにねぎまを預け、みんなで歩いて外壁にある門に向かう。
「次のかたー」
衛兵に呼ばれミッシェルが言う、
「町に入る前に罪人の預かりをしてくれないかな」
「罪人ん?」
訝しむ衛兵の前で浩一がライフボックスを開けている。
そこにマーサとオノケ達がポイポイと人攫い達を投げ出した。
「お、おぉ、ライフボックス持ちか、珍しいな」
「こいつらは何をしたんだ?」
衛兵の言葉にロトが答える。
「人攫いなんだぞ!」
そんなロトに周りの人は。
「「「か、可愛いいい!!」」」
メロメロだ、
「こいつらは人攫いなんだねぇ、なら確認するねぇ待っててねぇ」
「俺は連行するねぇ」
「俺は検閲所に戻るねぇ」
そんなメロメロで大丈夫かと、思っていたら、人攫い達の目の前にくると、怖い顔になり、連行していった。
検閲の人もてきぱきと厳しい顔で検閲している。流石プロである。
確認していた衛兵が帰って来る。
「あぁ、君らお手柄だ、指名手配中の人攫い達だったよ、特に亜人を狙ってるやつらでな、国際問題になっていたんだ、ありがとな。ほい、賞金」
衛兵はミッシェルに賞金を渡す。
「ん。ありがとさん、ところで、諸事情で街を通らずにドルーンに行きたいんだが最近のここらへんの森はどうだい?」
「諸事情?」
ミッシェルの言葉に衛兵はメンバーをよく見る。
「あー、貴重なテイマーの少年と赤ちゃんの勇者パーティーか、ギルドから話は聞いている、なるほどな、森は比較的静かではあるが、ローズウィップが居るから気を付けろよ」
「ローズウィップ?」
浩一が疑問を口にすれば衛兵が何でもないように言う。
「そうか、お前は異世界人か、ローズウィップってのは植物の魔物でな、綺麗な大きな薔薇なんだが、大きなつたで攻撃してきて生き血をすすられるんだ、まぁ腕に自信があれば倒してもいいぞ!でかい魔石もとれるしAランクモンスターが居なくなればこっちも助かるからな!」
がははと笑う衛兵にミッシェルはニヤッと笑う。
「そのローズウィップは何年物だい?」
「100年物だな、あんた噂のSランクシスターか、倒してくれたら助かるよ!」
「あぁ見かけたら倒してみるさ、みんな行くぞ」
ミッシェルがそう言うとマーサが叫ぶ。
「貴方が仕切るんじゃありません!」
そんなマーサを置いてみんなさっさと行くものだから、マーサはロトを抱いたままぷんぷんおこりながら、みんなを追いかけ、ロトが背伸びをしてマーサの頭をぽんぽんと撫でて、落ち着かせるのだった。




