赤ちゃん勇者一行!!
勇者一行は当面のお金として金1000枚という巨額のお金を受け取り、まず召喚された国のゴーㇳ王国の王都の民宿に泊まることにした。
そんな3人の宿泊部屋での事。
「いやぁまさか自分が勇者一行の僧侶ができるなんて感激です」
のほほんと嬉しそうに言う僧侶に、ロトはふふんと自慢げに言う。
「しょうだお!おえはかっこいい勇者だかあな!後悔しゃしぇないじょ!」
(そうだろ!俺はカッコイイ勇者だからな!後悔させないぞ!)
「そうでしゅねぇ、ロト様はかっこいい勇者ですもんねぇ!魔王なんて簡単ですよぉ!」
ワイワイ盛り上がる3歳児と大人についていけない青年一人。
何だか光り輝くネギを持ち、途方に暮れている。
「浮かない顔ですね、浩一さん」
マーサの言葉に浩一は辟易とした顔で言う
「ロトはこちらの記憶があるからすんなり受け入れられるんでしょうけど、俺は向こうで普通の学生をしていた子供で魔法とか魔王とか言われてもよくわからないのに武器が・・・・・」
3人は浩一の手にあるネギを見る。
そしてマーサとロトが噴き出す。
「ま、まぁ素晴らしいじゃなですか聖なる武器ですよ、ね、ネギで、ですが!ぶっ!」
「ひひ!ね、ネギ!ひゃはははは」
笑う二人に浩一は怒鳴る。
「笑い事じゃねぇ!!ネギで魔王討伐に向かわせる国の頭どうなってんだ!3歳児に勇者させるのも問題だろうがぁ!!!!」
そんな浩一にマーサは真顔で言う。
「いや、ネギは聖剣になりましたし、ロト様は勇者の生まれ変わりですから」
「でも3歳児でしょうが!!!」
「それが?」「そえが?」
「そ、それが?」
あまりにもどこがおかしいのかわからない顔をする二人、浩一はロトだけならまだしもマーサまでにそのような顔をされ、自分がおかしいのか?と苛立ちと困惑で頭を抱える。
「それよりマーしゃ、おえはおなかがしゅいたじょ」
(それよりマーサ、俺はお腹がすいたぞ)
ロトの言葉にマーサはニコニコと返事をする。
「では食事にしましょう、この宿屋の酒場はおいしくて有名です」
「いいな!じゃあ行こー!」
ロトがそう言って部屋をでる
「あ!おい!勝手に出歩くな!」
「ロト様―お待ちくださーい」
浩一は慌てて追いかける。マーサも嬉しそうに追いかけて行くのだった。
酒場に青年、赤ちゃん、僧侶が現れ、一瞬いぶかしんだ冒険者たちはロトを見ると目をキュルキュルとさせてトキメク。
「「「「「か、かわいいいいいいいい」」」」」
筋肉ムキムキの強面冒険者や悪人顔の商人までトキメキで目をキュルキュルとさせていて少し気持ち悪い視線にさらされながら3人は席に着く、少し背の高い椅子にくまさん着ぐるみの赤ちゃんが一生懸命乗ろうとしていてそれが可愛くてトキメキはさらに高揚する、マーサが助けようとするとロトは叫ぶ
「やー!!おえはゆうしゃあぞ!ひといでのいこえうんだ!」
(やー!!俺は勇者だぞ!一人で乗り越えるんだ!)
きゅーーーーんと周りから聞こえるのに浩一は辟易する、確かに可愛いがなんで皆この3歳児のいう事を聞くのか、
一生懸命登ろうとする姿に皆、頑張れ頑張れ、もうちょっとだよーと応援する声が聞こえる。
浩一が手を出そうとするとマーサに厳しい目で止められ、仕方なく頑張るロトを見ることにする。
一生懸命椅子に上ってロトは満足げに椅子の上に立ち誇らしげに両腕を上げる、それに周りは「よかったねぇ!」「頑張ったねぇ!」と褒めたたえ、目を潤ませている者もいるので浩一はこの場の異常さに引いてしまう、確かに可愛いが、そこまで感動することでも無い、なぜ全員が感動しているのか、まったく理解できない状況だ。
「ほら、もう満足だろ、椅子の上に立つと危ないから、座りなさい」
「うむ、しょれもしょうだな」
(うむ、それもそうだな)
きちんと座るロトに皆「いい子でしゅねぇ」なんて言ってデレデレしている一方でロトを注意する浩一に厳しい目線を送るのもだから、当り前のことを言っただけなのになんで視線で責められているのか、浩一はどっと疲れる。
どうしてみんなこの赤ん坊に甘いのか、確かに可愛いだろうがどう考えてもいろいろとおかしすぎるだろうに、
何が周りを惑わせるのか、疲れて椅子に座ると、小さいお婆さんがちょこちょこやってくる。
「可愛い旅人さん方、ご注文メニューはこれですよ、すぐ決まるかしら」
優しい優しい笑顔でお婆さんは言う、このお婆さんは浩一に悪い目線は送らず朗らかに見守ってくれている。
「あ、ありがとうございます、えーっと、お?」
文字がわからないはずなのに読める、転移特典とでもいう物だろうか、助かるなぁと思うのもつかの間メニューの内容がわからない。
******メニュー*******
レッドボア煮込み
ツバメ龍の巣スープ
ベーコンラプンクッペ
ベアパッドステーキ
エントアップルコンポート
フライスライム
ブルースライムジュレ
*****************
どうもモンスターを食べているようだが、何かはわからない、
だが、ロトとマーサはさっさと頼む。
「私は紅茶とレッドボア煮込みで」
「おえはミウクとベーコンあプンクッペ食べたいな」
(俺はミルクとベーコンラプンクッペ食べたいな)
お婆さんははいはいと言いながらメモをとっている。
冒険者たちはロトの一挙手一投足に盛り上がっているのにお婆さんは冷静だ。
「お兄ちゃんはどうするかね?」
「あ、俺は・・・おすすめって何ですか?」
「そうだねぇベアパッドがいいの入ってるからステーキかねぇ」
「あ、じゃぁそれとオランジジュースで、・・・・お婆さんはロトにときめかないんですね」
浩一の言葉にお婆さんは笑う。
「ふふふ、精神攻撃耐性SSSだからねぇ、貴方もそうでしょう?」
「はぁ・・・・」
意味が分からずお婆さんを見ていれば、お婆さんは「ほほほ」と笑いながらキッチンに消えて行った。
そういえばスキルチェックする時そんなものがあったような。
浩一がスキルを開こうとする。五芒星を書いてスキるプレートと言えば開く。
「えーと、五芒星を書いてスキ「お待ちください」
それをマーサが止める。
「え、なんでですか?」
マーサは首を振る。
「スキルプレートは他の人にも見えます、スキルプレートは個人情報、このように人が多いところで開くものではありません」
なるほど、確かに自分の個人情報は知られたくない、ここで見るのはやめようと、思っていると、飲み物が運ばれてくる。
ロトにはお店で一番小さいコップなのだろうが……ロトには大きく頑張って飲むロトを周りは固唾をのんで見守る。
プハッと口を離し机にコップを置くロト。
「ここのみうくは美味しいなぁ」
(ここのミルクは美味しいなぁ)
そう言えば「よかったねぇ」なんてデレデレする周りの冒険者達に辟易としていれば次々料理が運ばれてくる、
浩一は自分に出されたステーキを一口食べると、肉と言うにはプルッとしていてけれど旨味が染み出てとてもおいしい、
「これなんの肉なんだろう」
浩一が言うとマーサが言う
「ジャイアントベアの肉球ですよ」
「じゃジャイアントベアの肉球・・・・・」
つまりはクマの肉球という事で間違いないだろうか、まさかクマの肉球を食べることになる人生だとは思っていなかった。
「ジャイアントベアは初めてかい?青年」
そこになまめかしい格好のシスターが声をかけて来た。
「え、あ、はい」
「おう!ないしゅバディーなおねぇさん!!」
(おう!ナイスバディーなお姉さん!!)
3歳児がエロおやじみたいなことを言うのを少し嫌な気持ちになっていれば顎を持たれ、シスターの方を向かされ、その顔はとても近い。
「あまり見ない顔つき、その不思議な服、噂の勇者パーティーかな?本当に赤ん坊が勇者なの?」
美しいピンクの髪に新緑のような緑の瞳、透き通るような肌、魅惑的で艶めかしいシスター服のそのおねぇさんは、色気がものすごく、恋愛ごとに疎く思春期の男の子には刺激が強すぎる。
「はい、そうですけど・・・・顔、近くないっすか・・・」
少し顔を染めながら言う浩一にシスターは微笑んで言う。
「やはり、精神攻撃耐性SSSくらい持ってそうだね」
そう言ってシスターは浩一から離れる。
「え?それはどういう事ですか?」
浩一の質問に答えず、シスターは立ち直して言う。
「私はシスター、ミッシェル、私を勇者パーティーに入れてくれない?」
ロトは目を輝かせて喜び、マーサは訝しみ、浩一だけが混乱しているのだった。




