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凄腕ガンマンと優秀なアーチャー

杉の木のいい匂いがして目が覚めると元の世界に帰ったのではないかと錯覚する天井を見た。

でも部屋が広い、自分の部屋は物置だ、周りを見るとマーサ、ロト、ビリー、ガイア、今までの楽しい、けど、重い責任の乗った旅が夢だったのだろうかと思った。

でも、夢じゃなかった。弟の事を考えると喜んでいいのか悪いのか、もし、もし“弟もこちらに来られるなら”


「おはよう浩一、ずいぶん暗い顔じゃないか」


小さな声で周りを起こさないようにロトが言う。


「あぁ、ロト、そんなに暗い顔してたかな?」


「まぁな」


「はは、夢見が悪くてさー」


笑う浩一にロトは優しく笑う。


「弟か?」


「え、」


「あの話は聞いていた。仲良かったんだな、お前は家政婦みたいに働かされて可哀想だって、母さんが言っていたが、弟からは愛をもらってたと聞いて少し安心したんだ」


「そう…なんだ…」


浩一はただ、窓の外を見た。だいぶ白けてきてもうすぐ朝日が出てくるだろう。


「浩一の母親がしていたことは確かに恨まれて仕方ないだろう、でも浩一を召使いのように使っていい理由にはならないぞ」


「母さんは俺を産んで死んだ、俺を恨んで当たり前さ」


「賢哉の母親は家事もしないでブランド自慢して高級レストランや喫茶店にエステにマッサージと贅沢三昧だったがな、それが正しいと?」


「家事は俺の仕事だったから」


「お前、それで本当に賢哉が愛されてたと思うか?」


浩一の顔が固くなる。


「魔王は古代魔法を使えるらしい」


ロトの言葉に浩一はロトを見る。


「古代魔法に特定の人物を呼ぶ召喚陣が無いか聞いてみよう」


「!……うん!」


賢哉を呼び寄せたい、それが賢哉にとって幸せかはわからない、でもあの家に賢哉を置いてきたことが浩一にとって心残りだったから………


浩一とロトの静かな約束の後みんな起きて、揃って朝食をとる、その後、冒険者ギルドに向かった。


ギルドに入る前にミッシェルが言う。


「浩一はだいぶレベルも上がっているはずだ、ついでにランクアップ試験も受けるといいんじゃないか?」


「そうですね、ランク上がるかなぁ」


ギルドの扉を開けて入ると、冒険者がミッシェルとアイリッシュを見て口笛を吹き、ロトを見てへにゃっと顔を崩す。


「いらっしゃいませー、外国の方がたですね、依頼ですか?クエストですか?」


アリッサが前に出る。


「冒険者登録とランク上げ試験お願いします」


「は~い!では、登録どうぞー、ランク上げの方はカードをお願いします」


アリッサが触れて登録完了。そしてビリーが触れる。

浩一は受付の人にカードを渡す


「なるほどなるほど、うーん」


受付の人はビリーをよーく観察している。

そこに一人の女性が現れる。


「おや、今どき珍しいアーチャーか」


色黒で赤いドラゴンメイルを着ているその人はビリーをよーく見る。


「ん???アーチャーにしては力が弱そうだな?」


女はビリーの体に触れて、筋肉を確認しながら言う。


「う、う、うえ、えっと、えっと」


ガイアが女の手を握る


「やめてやってくれ、鍛えたりはしているんだが、まだ10歳でな、弓も弱い」


女ははがされながらもそれでもビリーをよく見る。


「でも目はよさそうだね、周囲の人の配置を瞬時にみていただろ」


「あ、周囲確認は癖で……」


「ふーん……ステータス見せな」


「え!」


女は受付からステータスを受け取る。

それにマーサが怒る。


「ギルド職員でもない人が勝手に見るなんて失礼ですよ!!」


「私はギルマスだ」


「「「え!?」」」


「ふーん、なるほどね」


女はサッと受付にステータスを返す、


「いいだろう、お前達の相手は私がしよう」


「相手?モンスターじゃないんですか?」


浩一の問いに女はニヒルに笑う。


「赤ん坊、珍しい服、英雄マーサ………刺激的なシスターね、ディアから聞いてるよ、勇者パーティーだろ、ゴートはモンスターを多く収容しているからね、モンスターで試験をするが、地方はAランク以上の冒険者と試合をして、その冒険者の判定でランクが決まるんだよ」


へーと浩一は女を見る。

女は拳銃をくるくると回して構える。


「自己紹介がまだだったな、古舘 華弥子(こだち かやこ)、竜馬の鱗下《りんか》州冒険者ギルドマスターのガンマンだ」


そして、試験会場にアイリッシュとビリーと浩一と華弥子が入る、会場の客席真ん中手前に審判席があるようだ。


「さて、面倒だ、3人でかかってきな、お前達は武器も魔法も自由だよ、私は得意の拳銃を封印して剣で相手をしてやろう」


華弥子が剣を構えると、アイリッシュは笑う、


「私たちの事甘く見過ぎじゃないですか?」


「いいから来いよ」


ニヤッと笑う華弥子にアイリッシュも挑戦的に言う。


「ビリーできるよね、浩一、前衛任せたよ!行くよ!」


「お、おう!」


「う、うん!」


ビリーが弓を構え、アイリッシュが杖を向ける。

浩一が華弥子に走っていく。


「うおおおおおお」


ネギを振り上げる浩一、サッと華弥子は浩一を避け、浩一は崩れた体勢をすぐに立て直すと、そこに華弥子の剣が来るが、浩一はそれを受けた。


「お、受けるか」


「グレイシアショット!!」


後方からアイリッシュの氷魔法の氷のつぶてが飛ぶ、それとビリーの弓が飛んでくる、

華弥子はどちらも避けた、つもりだった。

弓はあり得ない軌道で曲がった、そして華弥子の頬を傷つけた。


「へぇ、魔法で追跡させたのか」


ビリーは弓を二本一気に放つ。二本は華弥子を追いかける。


それを邪魔しないように浩一も華弥子に切り込んでいくが、華弥子は軽くよける。弓は3分ほどしか操作できないようで、2本放って落ちたら2本放つ、アイリッシュは浩一に強化魔法をかけながらグレイシアショットを放った。だけのように見えたが。

べシャっと華弥子の足元の土が沼になる。


「やるね!落とし穴か!」


「今よ!浩一!」


浩一がネギで華弥子に切りかかろうとした時だ。


「遅いよ」


華弥子はすでに浩一の後ろにいて、浩一を投げ飛ばした。


「浩一!」


「よそ見できるのかい?」


アイリッシュが声の方を見ようとすると膝を崩され崩れ落ちる。


「アイリッシュさん!」


ビリーが矢を持って華弥子の肩を狙う


「近接になったら矢をナイフのように使うか!いいじゃん!」


そう言いながら、華弥子は姿勢を低くしてその体勢のままビリーの足を薙ぎ払いこけさせた。


「そこまで!」


審判の声で終わりを告げられる。


「いやぁ、いい動きするなぁお前ら、うんうん、だがまぁ、浩一はBランク暫定、アイリッシュとビリーはAランクだな」


その審査にアイリッシュがビリーの手を取って飛び跳ねて喜んでいる、ビリーは喜びと恥ずかしさで目を回しているようだ、


「暫定かぁ」


「ん?浩一お前テイマーじゃないか、なんでモンスター使わなかった」


「え、俺の実力だけなのかなって」


「テイマーは従魔との相性も冒険者のランクに影響がでる、もう一回、従魔と一緒にかかってきな」


そう言って華弥子はまた構える。

浩一はライフボックスを開くとオノケが出て来る。


「へー、オノケのテイムって本当だったのか、戦闘はそいつらとだけか?」


「はい、他の子は非戦闘モンスターで」「ぴぴ!」


「へ?」


浩一が足元を見るとカナが居る。


「ちょ!カナ!危ないから戻ろうね!」


「ぴぴぴいいいいい!!」


「え?一緒に戦いたいの?」


「ぴぴ!!」


僕に任せろと言うようにカナは、翼を胸にあてる。


「もーわがまま言わないの!帰りなさい!」


「ぴっぴ!!!!」


嫌だとカナはライフボックスの淵につかまる。


「はっはっは!いいじゃないか、出しといてやりなさい、危なそうならすぐに眠らせてやるさ!」


華弥子が笑ってそういうので、手に持っているカナを見ると、敬礼のように翼を動かすカナ、意地でも戻らないし、仕方なくカナを隣に置いた。


「いいか、カナ、絶対に俺から離れるなよ!いいか!」


「ぴっぴ!」


喜ぶカナを仕方なく浩一はポシェットを出してそれに入れる。

そして、構える華弥子の前でオノケと共に構える。


「それじゃ、行きますよ!」


「こい!」


「はああああ」「「「きき!!」」」






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