2人の事情
「俺の名前はガイア・クルーセル、剣士だ、こいつはビリー・ウィリアム」
「狩人です」
「あれ?冒険者じゃないんですか?」
浩一の質問にガイアは苦々しい顔をする。
「あぁ、旅しながらモンスターやら野草を狩って根無し草で移動してるんだよ」
「旅をするなら冒険者ギルドに登録すればいいんじゃないのか?」
ロトの言葉にガイアとビリーは目を合わせる。
「あー、冒険者ギルドはビリーが冒険者を怖がって、入れなくてな、俺だけ入って素材や薬草の買い取りをしてもらっているんだ」
「冒険者の人達って怖くって」
あー、とみんな冒険者ギルドを思い出す。
アイリッシュだけ冒険者ギルドを知らない。
「ビリーは弱虫なのね、私、竜馬に入ったら冒険者登録するし一緒に登録しましょ、私が守ってあげる」
「え、え、えっと、あの、えっと」
慌てるビリー、難しく考えるガイア。そこでミッシェルが何かに気が付き、ビリーを呼ぶ。
「ちょっとビリーこっちにおいで」
「え、あの」
そこでマーサがいぶかしむ。
「破廉恥シスターは何をするつもりなのです」
そこで浩一も気が付く、耳を隠す大きな帽子、顔半分を隠すマスク、まさか?
「マーサさん俺も付いて行くので」
「まぁ浩一さんが付いて行くのならば」
マーサは納得したが、
「待ってくれ、ビリーは一人にできない」
ガイアの発言にミッシェルは頷く。
「ならお前も来い、ロト、残りのメンバーで寝床の準備でもしておけ」
「うむ!了解した!」
「貴方が指示するんじゃありません!」
マーサが怒るのでロトがマーサの方に乗って頭をぽんぽん叩く、
「そうだなぁ、もどろなぁマーサー、俺はもう眠いからなー、赤ちゃんは眠いぞー」
「は!眠いのですかロト様!ならば急がねば!」
マーサは急いで元の野営地の方へ走って行く。マーサとロトが離れると、アイリッシュは目くらましの結界を張る。
「さ、お話ししましょう」
「おや、お前も聞くのかい?」
「もちろん!それで?誰が魔族で誰が人間なのかしら」
アイリッシュがそう言った。
その瞬間ビリーが固まり、ガイアがビリーの前に出る。
「あら、襲う気なんてないわ、警戒しないで」
アイリッシュの言葉にミッシェルはニヤニヤとする。
「おや、その言葉だと私もバレてるのかな?」
ミッシェルの言葉にビリーとガイアは驚きミッシェルを見る。
ミッシェルはパチンと指を鳴らすと角が出て耳が三角になる。
「え!あ、貴方もミックスですか!?」
「レベル300の人なんてほとんどいませんし、貴方は強すぎです、長く生きているって言われたら納得します」
アイリッシュは胸を張って言って、ビリーの驚きにミッシェルはにやりと笑う。
「残念、私は魔族だ、やっぱりお前はミックスか」
ミッシェルの言葉にビリーは帽子とマスクをとる。
ウサギのように長い耳、兎の様な鼻、鋭い牙がビリーを人じゃないと教える。
「兎の獣人のミックスか」
野兎のような見た目のビリーは可愛く、アイリッシュはビリーに近づく。
「ねぇビリー、耳触っていい??」
「え、う、うん」
ビリーは照れながら頷く。
「失礼しまーす、うわぁ!毛並みも兎だぁ!モフモフふわふわぁ!」
撫で続けるアイリッシュにビリーは照れて、顔を真っ赤にしている。
嬉しそうなアイリッシュにつられてミッシェルも触る。
「ふむ、確かにいい毛並だな、耳もごまかせそうか」
ミッシェルの言葉にビリーは、照れながら尋ねる。
「ぼ、僕の見た目も人間みたいにできますか?」
ビリーの問いに、ミッシェルは笑いかける。
「あぁ、簡単だ教えてやろう」
「はい!」
ミッシェルとビリーはそのまま訓練をする。
「あの人、話の感じだと冒険者登録してるんだよな」
ガイアの言葉に浩一は、そうか、普通は知らないかと、なんとなしに言う。
「実は冒険者協会の総帥は魔族なんですよ」
「そうなのか!?」
「そうなんだ」
アイリッシュもそういうので浩一は驚く。
「あれ!?アイリッシュ知らないの!?」
「うん、知らない」
「ビリー君に冒険者ギルドの登録薦めてたのに……」
「冒険者をしている半魔とか魔族の人が村に来てアリッサ様に浄化されてたのよ、皆、冒険者登録で人として活動してるって言ってたから、冒険者ギルドが魔族保護をしてるのは知ってたんだ」
「なるほど」
浩一が納得しているとガイアが笑う。
「はははは、なんだよそれ!それって、冒険者ギルドに行っていたらビリーは今みたいに人間に擬態する方法も知れて、隠れ住むことも無かったって?ははは、なんだ、なんだよ、そんな事知っていたらビリーをもっと自由に生活させてやれたのになぁ」
「できた!できたよ!ガイア!」
ミッシェルに見せてもらっている鏡で完璧に人間に擬態したビリーが嬉しそうに言った。
そしたら、ポンと耳が出て来る。
「あ、み、耳が」
「なんだお前、まだまだじゃねぇか」
ガイアに笑われてビリーは耳を抑える。
ミッシェルが優しく言う。
「変身魔法は感情に左右されやすい、お前は耳が出やすいみたいだから帽子は今まで通りかぶってなさい、牙は気を付けるんだよ、ガイア」
「なんすか、おねえさん」
ガイアはミッシェルに軽く言う。
「そうだね、年齢的に言えばそうだろうけど見た目で見るとおかしいから人前ではミッシェルで頼むよ、それでね、ガイア、私達と来る気は無いか?私達は勇者パーティーだ」
「え、坊主お前勇者なのか!?弱そうなのに」
ガイアの真っすぐな言葉に浩一は傷つくがアイリッシュの「本当のことじゃん」と言う言葉にさらに傷つく。
「いや、皆が勇者と言うのは赤ん坊のことだよ」
「あの赤ちゃんか!確かに何か頼れる力を感じたな」
「赤ちゃんよりも弱くみられる僕って」
崩れ落ちる浩一にビリーがよしよしと撫でている。
「浩一様は魅力的ですわぁ!」
「うわ、そのネギしゃべるのか!?」
驚くガイアに浩一は恥ずかしそうに言う。
「一応聖剣です」
「聖、剣?」
ビリーとガイアはねぎまを凝視する。
「文句ありますのぉん!?!?!?」
「「あ、いえ、別に」」
何となく引いて行くガイアとビリーだった。
「まぁ、私達は竜馬に行くし、お前達もどこに行くか目的も無いんだろ?なら一緒に竜馬に行き、ビリー達の冒険者登録をして、そのまま冒険もいいんじゃないか?お前達は腕もいいみたいだからな、ぜひ仲間に入って欲しい、ビリーの擬態も気になるしな」
ミッシェルの言葉にガイアは考え込む、
「もう少し、考えさせてくれ」
「あぁ、先は長い、じっくり考えてくれ、そろそろ戻ろう、マーサが勘ぐるかもしれない」
「そうですね。戻りましょう、ほら、浩一、シャッキッとしなさいよ心まで軟弱なんだから」
「アイリッシュひどい」
浩一はそう言いながら立ち、先に行くミッシェルとアイリッシュを追いかける。
そんな三人にガイアとビリーもついて行く。
「僕はあの人達、好きだな」
「あぁ、いい奴らだ、でもな、」
ガイアはミッシェルを見る。
「魔族だもんなぁ」
ガイアは困ったように頭を掻く。




