弱気なアーチャーとおじさん剣士
「ま、悩んでも仕方ないさ、浩一、マーサには浄化の力は秘密にしな」
ミッシェルがそう言って浩一の頭を撫でる。
「浩一様の頭に触れるんじゃありませんわ!小娘!」
そしてアイリッシュがねぎまを無視して話す
「もし目の前で使うことがあれば、アリッサ様が制作したアーティファクトという事にしましょう、それならアーティファクトに浄化の力があって浩一にあるわけじゃないと言えるわ」
「問題はルーミヤに行った時だねぇ」
ミッシェルの言う通りだ、
「浄化の力の鑑定は神殿か教会か神聖国家ルーミヤであるエルフの国でしかできませんし、調べるならルーミヤではありますが、マーサさんに知られないようにどうやって鑑定するかですね」
「ま、とりあえず竜馬からドワーフ国のドルーンに行こう、そこからルーミヤだ、とりあえずゴートを抜けないとね」
「そうですね」
ミッシェルとアイリッシュで話はまとまり、キャンプ地に帰ることに、
キャンプ地に着くとこっちはこっちでマーサとロトで戦闘訓練しているようだ、
「お!おかえりー浩一、ミッシェルさん、アイリッシュたん!」
ふわふわ浮きながら余裕そうに飛んでくるロトと違ってマーサさんはへとへとだ。
「あー、おかえりなさい、浩一さんもボロボロですねぇ」
あはは、と笑いながら浩一はバブスライム用のテントを出す。
それを見ながらミッシェルが言う。
「マーサが先にテントに入るといい、ロトは手加減してないようだからね」
「マーサは強いからな!」
エッヘンと胸を張るロトにマーサは感動する。
「ロト様に強いと言っていただけるなんて嬉しい限りです!なら遠慮せず先にバブスライムを使わせていただきますね!」
マーサはバブスライムの清を浩一から預かりテントに入って行った。
その瞬間ロトは浩一達の所に行って防音結界を張る。
「さて今日はどんな話をしたんだ?」
ロトの質問にミッシェルが答える。
「ヤタガラスは一か所では無いようだ、」
「なぜそんな事になる?」
「保護した狂化魔族達がA支部やB支部などと言う言葉を聞いていたらしい、こちらも問題だが浩一に問題が出てな」
ミッシェルの言葉にロトは浩一を見る。
「何をしたんだ?浩一」
それにアイリッシュが答える。
「浩一に浄化の力があるみたいなの」
「な、なんだってえええ!?!?」
浩一はアリッサに貰った剣のアーティファクトからチョロチョロと浄化の力をだしてみる。
ロトは魔力の塊を指先に作りあてると、浄化された。
「ほ、本当だぁ、は!浩一もうやめろ!」
浩一は浄化をやめてサッと隠す。
「これは問題だな、浩一を詳細鑑定した方がよさそうだ」
「あぁ、だからエルフの国、ルーミヤに行こうと思うんだよ」
「そうだな、鑑定の間は俺がマーサの気を引こう」
「ロト君よろしくね」
「おう!さ、結界を解除するぞ」
結界は解除され、あたりの森の音が聞こえる。
浩一はオノケと、他のスライム、モズラ達をだす。
「ほらみんな、遊んでいいよ」
「「「きき!」」」「「ぴー!」」
オノケはそれぞれ鍛錬して、モズラ達は花を探している。
そこにテントからマーサが出て来る。
「やはりバブスライムは気持ちいいですねぇ、お次は誰が入りますか?」
「じゃあ俺が」「「「ききーーーーーー」」」
浩一がテントに入ろうとしたら、オノケ達の叫び声が聞こえる。浩一達は慌ててオノケ達が行った方に行くとダイが大男と戦っていて、ケンとユウが耳を隠す大きな帽子とマスクを身につける少年の弓を避けている。
浩一は慌てて駆け寄る。
「待ってください!その子達は俺の従魔なんです!」
「はぁ?」「え?」
大男と少年が驚いている。
「ユウ!ケン!ダイ!来い!」
浩一が叫ぶとオノケ達は浩一の方に行き浩一の背に隠れる。
「本当にオノケがテイムされているのか」
「オノケってテイムできないんじゃなかった?」
少年と大男は珍しそうに浩一とオノケを見る。
「ははは、オノケはテイム、難しいみたいですねぇ」
そこにロトが前に出る。
「人の従魔を攻撃したのに、言うことはないのか?」
ロトを見た二人にキュンッという音が聞こえたのは聞き間違いだろうか。
「なんて愛くるしい赤ちゃんでしょう」
「可愛いねぇ、偉いねぇ、兄ちゃんの従魔襲っちゃってわりいなぁ」
ロトを撫でる大男にゴチンと拳骨を落とす少年。
「こら!謝る時はちゃんとしないと!」
「いてて!すまんすまん」
大男と少年は並んで頭を下げる。
「兄ちゃんの従魔を襲って申し訳なかった」「お兄さんの従魔を襲ってごめんなさい」
浩一はケンを撫でながら言う。
「いえ、オノケを見たら仕方ないですよね、僕も遠くに行かせ過ぎました、ごめんなさい」
浩一がそう言うと大男と少年は慌てる。
「いや、襲われたわけでもないのにオノケを襲った俺達も悪い、オノケは中立モンスターだからな」
「からかってはきますが殺されることは無いので、襲われない限り攻撃しないのがルールなのですよ」
その言葉にアイリッシュが怒ったように言う。
「それがわかっているのに何で襲ったのよ」
「それが……」
少年はジト目で隣の大男を見る。
大男は頭を掻きながら言う。
「それがな、休憩で寝ている間に食料を全部魔物に食われてしまってな」
マーサが難しい顔をする。
「交代で寝なかったんですか?」
「ガイアのやつ、居眠りしたんですよ」
「「「「「あー」」」」」
全員が大男を見る。
大男は頭をかきながら言う。
「それで食事も無く、目に付いたのが………」
「オノケだったと」
ん?
浩一は慌てて聞く。
「オノケを食べるんですか!?猿を!?」
ロトがなんとなしに言う。
「肉は少ないが食えないわけじゃないぞ」
浩一は慌ててオノケ達を背に隠し、後ずさる。
「こ、こここここの子達はダメです!!!!」
「あぁ!テイムされているモンスターは食わんさ!今日の晩飯が無くなったがな!」
はっはっはなんて笑う大男にジャンプして拳を落とす少年。
「本当に大切な従魔を申し訳ありませんでした」
激しく頭を下げる少年だった。




