一緒の部屋がいい!
一方、テイマーギルド、地下室隠し部屋
3人の魔族がフォーラが入っていた牢屋に転送される。
「こ、ここは?」
「牢屋のようだな」
「まさかぁ、ヤタガラスぅ?」
そこにどこからか声がした。
「こ、ここはゴートのテイマーギルドで、です」
きょろきょろと探すと牢の外の壁から少しだけ覗いている顔が見え、それを確認すると、その人は「ひっ」と言って引っ込んでしまった。
「サラは俺とは話せるのに何であの若者たちはダメなんだ」
そう言いながら出て来たのは獣人の男。
「だ、だ、だ、だってあなたは人には見えないけど彼らは完全にひ、人み、見える、か、から」
「俺をモンスター扱いするなと言いたいが、そのおかげで話せるからなぁ」
刺客の三人は武器を構え、リーダーの女がフォーラに叫ぶ。
「なぜ人間と魔族が仲良くしてる!!」
そんな、警戒する3人にフォーラは言う。
「俺はヤタガラスから保護されてここに居る、魔国の諜報部隊の隊長だったが魔国でヤタガラスを調査中につかまってね、ヤタガラスには魔族もかかわっているんだよ」
リーダーの女は目を見開く。
「うそだ!!!」
「本当の事だ、とりあえずここでお前達を害す者はいない、ヤタガラスと人間の教会を調査するのを手伝ってもらう」
フォーラの言葉に鬼人の子が反応する。
「教会はヤタガラスと関係あるのぉ?」
フォーラは頷き、牢を開けて入って行く、刺客たちは固まって警戒する。
「ふぉ、フォーラさん」
女の研究員はフォーラに魔晶石と、お茶とコップを載せたお盆を渡す、そしてまた研究員は影に隠れ、様子を見ている。
そしてフォーラは刺客たちに近づき、警戒する刺客たちに魔晶石を見せる、それは浩一の魔力のこもった魔晶石で刺客たちはその心地いい魔力に少し警戒が緩む。
「まずは茶でも飲んで落ち着け、これからの事を話そう」
そうして刺客たちはそれぞれゆっくり座ってコップを手に持ったのだった。
そして浩一達は襲撃後は特に何もなく順調に馬車を走らせ、1週間後の夜、メンヒルに到着した。
メンヒルは田舎で、のどかで平和な、空気の澄んだ綺麗な村だった。
そこに質素だが大きく品のある屋敷に馬車は入って行く。
「「おかえりなさいませアリッサ様、ダニエル様、お待ちしておりました、勇者御一行様」」
綺麗に整えられた髭がカッコイイ家令とにっこり笑顔のかわいいメイドが迎え入れてくれた。
アリッサは嬉しそうに二人を紹介してくれる。
「この二人は信用できますよ!家令のレイブンとメイドのメライヤですわ、2人はハンベルン家に忠誠を誓ってくださっていますの」
アリッサの言葉にレイブンとメライヤは優しい笑顔で言う。
「我らはハンベルン家に救われた身」
「ハンベルン家にこの身を費やすのは当然ですわ」
本当にこの家に仕える事が心から幸せだという顔をしている。
そんな二人を見てマーサが不思議そうに言う。
「使用人が2人なのですか?」
その言葉にダニエルが答える。
「アリッサは狙われている、私が見て信頼できると思った人間を置いてもらっています、醜い心の人間は我慢なりませんからね」
そう言ってダニエルはエルフの証しの長い耳を見せる。
そんなダニエルの耳を見てマーサは目を見開き、そして、ん?と首をひねり、ダニエルをよーく見て大きな声を出す。
「あ、貴方は英雄国宝のダニエル・カミール様じゃないですか!?なんでこんなところに!?人間嫌いだったのでは!?」
驚くマーサを見て、浩一はダニエルさんがそんなに有名だったのかと驚く。
「ダニエルさん本当にすごい人なんですね」
浩一がそう言うとマーサが興奮して言う。
「すごいなんてものじゃありません!戦闘狂の魔王と魔王の聖獣エアドラゴンを下し、平和を取り戻してくださった最初の勇者様ですよ!」
「あー人間国ではそう伝わっていますか」
「へ?」
「いえなにも」
マーサの『初代勇者に会えた』という興奮をサラッと流し、意味ありげな笑顔をしているダニエル。
確か魔王に認められて国交を樹立させたという話、それまで人間は魔王に苦しめられていたのだろうか?でも今の魔王も戦闘狂らしいが襲撃の原因ではないようだし……ダニエルさんは魔王を倒したわけではないようだし……もう頭がこんがらがってしまう!
「浩一様、大丈夫ですか?」
優しいアリッサが浩一をのぞき込み、心配そうに話しかける。
《にいちゃん大丈夫?》
自分を心配してくれた優しい弟の姿に重ねて、何だか癒された。
「いえ、少し考え事をしてて、大丈夫ですよ」
浩一がアリッサに安心させるように言えばアリッサはまだ心配しながらも、何も聞かないでくれた。
「ダニエル、浩一と私の部屋は一緒にしてくれ」
今、落ち着いたというのに、ミッシェルの爆弾発言。
「ミッシェルさぁん!?」「やっぱり破廉恥シスターか!!」
「なんだ?」
浩一とマーサの声に何でもないようにミッシェルが振り向くものだから浩一は自分がおかしいのかと思ってしまうがマーサも声をあげたし……
マーサがミッシェルに声をあげる。
「若き男子の浩一さんと女性の貴方が一緒の部屋なんておかしいでしょう!」
「いいじゃないか、仲間なんだし、別に厭らしい事をするわけでもないというのに、まさか、マーサ僧侶は破廉恥なことでも考えたのかい?」
「違います!!!」
顔を真っ赤にして否定するマーサは怒りなのか恥なのか。
「ミッシェル様は浩一様と一緒になれる理由がおありで羨ましいですわ、私は婚約しなければ一緒におれませんもの」
「アリッサさん!?」
そしてアリッサはいい事を思いついたとでも言うように手を叩く、
「そうだわ!浩一様!お父様にお願いして婚約しましょう!」
「「なんだって!?」」
それにミッシェルがブスッとした顔をする。
「アリッサずるいぞ、私が先に浩一に目を付けたのに」
「会うのが早かっただけではございませんか!」
「そう!だから浩一は私の浩一だ♪」
「ずるいですー!」
「アリッサ嬢!婚約はすぐにはできませんよ!」
マーサは見当違いな事を言うものだから、浩一は頭を抱える
「みんな何言ってるんだよぉ」
疲れ切った浩一はそう言えばと、ロトとダニエルを見る。ロトとダニエルは観劇を見るように見ている。
「モテモテで羨ましいぜ浩一」
「貴方も邪心を捨てればほどほどにモテますよ」
「邪心は欲求だ、欲求は力だ、俺はこのスケベ心を絶対に捨てない」
「そうですか、それはそれで真っすぐで好ましい心ですよ」
自分達には関係ないと言うようにジュース片手に見ているロトとダニエルが恨めしい。
「もう!わかりましたわ!こうしましょう、私の部屋の隣に浩一さん、浩一さんの隣の部屋にミッシェル様にいたしましょう!それならいいでしょう!」
「それはあの部屋か?」
「あの部屋です」
「なら許す」
何とか話はまとまったようだ
「隣の部屋くらいならいいでしょう」
納得するマーサを見て、胸を撫でおろしているとロトに足をぽんぽんされ、ダニエルに肩をポンと叩かれる。
「「モテる人は大変だ」」
「どういうこと?」
ぽんぽんとそれぞれに、まるでこれからの苦労を労わるように叩かれ、ダニエルはマーサとロトを部屋に案内し、浩一とミッシェルはアリッサに部屋へ案内された。




