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魔族の真相

起き上がる獣人にみんな緊張して慎重にその動向を見守る。

状況には付いていけていないが、暴れる様子はない。


「に、人間!」


獣人は警戒する。だが、さっきのようにただ暴れているだけで、意思がない感じではない。


「安心してください、私達はあなたに何もしません。あなたに薬を食べさせた人の話を聞かせて欲しいんです」


警戒する獣人にピューレは慎重に話しかける。

獣人は警戒しながら周りを見る。


「ここはヤタガラスじゃないのか」


周りを見て獣人は少し警戒を解く。


「ヤタガラスとは?」


ピューレがそれを聞くと、獣人はまだ少し警戒しながらピューレを見る。


「そんな事よりここはどこだ」


警戒する獣人にピューレはゆっくり話す。


「ここはゴート王国のテイマーギルド支部地下室です。貴方はズーピアの村を襲っているところを保護され、ここに収容されていました。薬の効果であなたは意識が無く、ただ薬を求めて暴れていました。リリーという名前の団子を食べさせられたのでは?」


ピューレの言葉で獣人は顔をゆがませる。


「ヤタガラスは魔国のカジノ企業だ。魔国にいくつもあるカジノ施設をまとめている。そこで調査をして捕まり、捕虜となり、その場所ではまずい飯しか出されなかった。

だがリリーという団子だけは美味しくて食べた後に多幸感を感じて1日3回リリーを食べるだけが救いだった。


だが突然ある日、ある森に放り出され、逃げようとしたがリリーが欲しくてたまらなくなって体が痛みに叫んで頭を打ち付けるような頭痛を感じたらそこから記憶がない」


「やはり……団子……それで凶暴化を」


ピューレは険しい顔をして考え込む。


浩一は獣人のそばに来て聞いた。


「あなたはなんでヤタガラスを調査したんですか?」


浩一がそばに来て、獣人は何かを感じ取り、顔が柔らかくなる。


「俺は魔王軍の諜報部隊団長、フォーラだ……魔国の……国民神隠し……の真相を探るために……イグゼル大臣から…得た……情報で……」


「浩一さんちょっと離れてください」


ピューレに言われ浩一が少し離れると、獣人は浩一の魔力に当てられていたことで、ふわふわした頭がハッキリしたようで、訝しんで浩一を見る。


「お前は……なんだ?」


驚いた顔のフォーラにピューレは真剣に言う。


「彼のことは後でお教えします。今は続きをいいでしょうか」


ピューレに言われフォーラは浩一を気にしながら続きを話し始めた。



「魔国で問題となっている国民神隠し、それが人間のせいではないかと魔王様の命令で調べている時に、イグゼル軍務大臣の領地にヤタガラスというカジノができてから行方不明者が増えたと情報をもらい、俺は下調べでそのカジノに行ったんだ」


フォーラは顔をしかめ悔しそうにしている。


「そこで怪しい3人組を見つけ、後を付けた。3人はカジノの奥の部屋に入って行った。そこで気がつけばよかった。カジノの奥にすんなり尾行で入れるはずないのだが、何の疑問も持たず尾行していた。

そしたらある部屋に入った。」


思い出すようにフォーラは上を見る。


「3人が地下に行くのを見たのでその部屋に入ったら、入った瞬間に部屋のすべての扉が閉まり、魔法陣が浮かんで、周りには魔国だというのに、人間が並んで魔法を詠唱していた。


俺は逃げ出そうとしたが力が入らず、魔力を魔法陣に吸われ、魔力切れで気を失った。そして次に目が覚めた時は牢屋だった。


魔力を吸われ、力も出ず、魔法も使えないようにされて、そこで団子を作る作業を来る日も来る日もさせられて、奴隷として使われた。周りには奴隷にされた魔国の者と、それを見張る人間、そして人間側の魔族がいた。そして後は……さっき言ったとおりだ、」


その場に居た者全員が顔をしかめた。

つまり、人間は魔国の者を捕らえて奴隷にし、薬を作らせているということ、そしてその薬を人間の国の重鎮の名前で呼んで、それを奴隷たちに与え、禁断症状が出るほどに与えたら人間の村に放ち、暴れるのを待つと、だがそれには魔国側にも協力者が居るようだ。


「これ、魔王は知ってるのかな」


その言葉にロトは難しい顔をする。


「魔王は全面しぇんしょうなんて考えていないか?」

(魔王は全面戦争なんて考えてないか?)


その質問にフォーラは冷たい目を向ける。


「この問題がもし本当に人間の問題ならば、全面戦争もやむを得ないな。今は侵略してくる国のみ制圧しているがな。」


「それは困りますねぇ、ますますあなたを魔国に返すわけにはいかなくなりました」


ピューレの言葉にフォーラは睨む。


「どういうことだ」


ピューレは真面目な顔で言う。


「現在ギルドは問題になっている魔族たちの魔国からの侵略問題を調査しています。

その過程で、今、教会に秘密があるのでは無いかと考えています。

急に襲って来たはずの魔物に聖騎士は対応が早い、冒険者達も侵略者の討伐に動きますが、とどめは聖騎士が刺しています。

今回はたまたま私が居てあなたを仮死状態にすることで保護する事ができました。

つまり、イグゼルという方にはあなたは死んだと知らされているはずです。」


「つまり、死んだはずの俺が戻ればイグゼル大臣から教会に伝わり、ギルドが疑われ捜査ができなくなるというわけか」


「そういう事です。ギルドの調査は今のギルドマスターが就任されてからの調査、ここ50年ほどの調査結果しかありません」


真剣な顔で話すピューレに少し緊張を解き改めて周りを見てフォーラはロト達を見て目を見開く。


「あ、ん、たは……」


そのフォーラの言葉に、ロトは胸を張る。


「よく気がついたな!おえがゆうちゃだ!」

(よく気がついたな!俺が勇者だ!)


そんなロトに、ミッシェルが笑う。ロトの発言で笑うのは珍しいなと浩一は思った。


「あーつまり勇者パーティーか?」


フォーラの言葉にミッシェルがにっこりと言った。


「あぁそうさ、私はシスターミッシェル、勇者パーティーに所属している」


フォーラは難しい顔をしながら言う、


「赤子が勇者とは、我が魔王様は馬鹿にされているのか?」


敵意を向けるフォーラに浩一は驚く。


「魔族には魅了効かないの?」


それにピューレが言う、


「いえ、きっと精神攻撃耐性SSSを持っているんでしょう」


「あぁ、諜報部隊は精神攻撃SSSを持つのが条件だ、諜報部は影の部隊、魅了などに惑わされては仕事にならない。」


なるほどそれもそうだと浩一が納得しているとピューレが真剣な顔で言う、


「フォーラさん、私どもの調査に協力していただけませんか?」


フォーラはピューレを見た後、ロト達の方を見て何か考え、頷いてからピューレの方を向く。


「教会と大臣が手を組んでいるのなら我らも手を組む方がいいだろう、俺は変身術も使える、人間に混ざって活動もできるし多種族の調査もできるだろう、だがこれをそこの勇者は見過ごしていいのか?赤子だからわからんか?」


ロトは目を閉じて、いつもと違う冷たい声で言う。


「おえは、100年前の魔王を倒した勇者だ」


フォーラの顔が険しくなる。

そのフォーラにロトは冷たく言う。


「あの時は王の為、民のため、教会の教理をちんじ、魔王をたおちた。だが魔王を前にした時、少し言葉を交わした時、魔王は悲しそうだった。」

(あの時は王の為、民の為、教会の教理を信じ、魔王を倒した。だが魔王を前にした時、少し言葉を交わした時、魔王は悲しそうだった。)


100年前



魔王城


「人間を滅ぼさんとする魔王!どうして人間を廃そうとするのか!」


魔王は悠然と立ち、重い声で言う。


「我はそんな事を望んだことなどない」


勇者は顔を歪める。


「とぼけるか!お前の送った軍でいくつの国がめちゃくちゃにされたか!」


「何を言っても無駄か」


魔王はため息をつき剣をかまえる。


「こい、狭量で愚かな人間よ、お前の正義を果たすといい」


「卑劣な魔王めぇぇぇ!!」


激しい戦いの末、5人の勇者パーティーと1人の魔王。その勝敗は、魔王の負けだった。


「魔王、言い残すことはあるか」


勇者の問いに魔王は静かに言う。


「私が悪いというなら、国民に手を出すな、そしてもっと目を開け、お前達と違うものを、その小さな世界から出て、別の者たちを見て見ろ」


「説教か」


「老人のアドバイスだよ……見れば……わか……る……さ……」


魔王はその言葉だけ残して息を引き取った。


勇者はその言葉に後ろ髪を引かれながら祖国に帰って勝利の凱旋をした。勇者として、もてはやされ、しばらくいい待遇をされた。満たされた日々だった。だがある日、ふと、勇者は魔王の言葉を思い出す。

そして何となく勇者は王の居なくなった魔国に向かった。


王がいない国、荒れ果てた国だろうと思った。


だがこっそり入国した勇者が見たのは、暖かく穏やかな国だった。

魔王が倒された後、10歳の娘が国王となり、見事な手腕で国政を回しているのだとか。

魔族は低俗で粗暴で野蛮だと聞いていた。勇者としてこの国に来た時、民達が隠れていて、静かな村だった。

ローブで顔を隠し、年老いて見た目も変わったとはいえ、人間の自分を魔国の人達は暖かく受け入れてくれた。

教会の言っていることは間違っていた。


「こい、狭量で愚かな人間よ、お前の正義を果たすといい」


魔王の言う通り自分は狭量で愚かだ、なら、なぜ魔人や亜人の侵略があるのかと考えていた時だ。

背中に何かがぶつかり、その部分に熱を感じて血の匂いがした。


「魔王様を殺したくせによく来れたな勇者!」


大量の血を流し、意識が遠のく中見たのは、怒りに顔を歪める若い兵士だった。

兵士は、また自分を刺そうとしたが、他の魔国の者が止める、「もう死ぬ!やめろ!」泣いて暴れる兵士を抑える人達、助けることはないが、哀れんだ目で見てくる者達、穏やかな人達、彼らに愛される魔王が悪い奴なはずがない、

もっと

魔国の事を知りたかった……

そう思いながら勇者は命を引き取った。


「おえは後悔ちた。そちて教会をいぶかちんだ、だかりゃ教会に浩一が毒しゃれる前に旅に出た」

(俺は後悔した。そして教会を訝しんだ、だから教会に浩一が毒される前に旅に出た)


「え?俺?」


ロトは真面目な顔で言う


「このちょうかんでおえがまきこまえたのはたまたまだ、本当のゆうちゃは、お前だ、浩一」

(この召喚で俺が巻き込まれたのはたまたまだ、本当の勇者は、お前だ、浩一)


「は?はあああああ???」




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