★158 ハクビ
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8月20日
アメリアたんから毎月の占いの結果が結菜あて送られてきた。
「ちょっと、いつもと違うわよ!」
「へえー、どんな内容なの?」
「秋分の日前後に、魔物たちの真ん中で何かが生まれるからそれを手に入れなさいだって。」
「魔物たちの真ん中って、ダンジョンかしら、魔物の湧き点のことかしら?」
「占いの結果はさっきのとおりだけど、アメリアはダンジョンではない感じですって言っているわ。」
「じゃあ、湧き点に行ってみよう。だけど、どうしよう?
1案は、今までどおり5日間だけ行く。
2案は、5日間を2回続けて行く。
3案は、10日間行く。どれがいいかな?」
「神は努力しない人に微笑まないわ。1案はなしね、うふふ。」
グレイスが答えると、ロロランも続いた。
「2回往復するのが面倒だな、3案でいいだろ。」
9月23日。
これまで7日間、魔物を退治しながらあてもなくさまよっていたけれど、何もなかった。
っていうか、何を、どこを探せばいいんだ?
夕方が近くなり、入道雲が発生していたので、いつもより早くキャンプの準備をした。
俺たちポラリスの6人で来るつもりだったのだが、マニフォが一緒に行くと言い張ったため、
シリウスも来ていた。
フリッツたちに見張りを任し、俺と結菜、愛海とダリヤ、
ロロランとグレイスのコンビで、先にテントで休んでいた。
少しすると土砂降りの雨が振り出し、雷が鳴り出した。
どんどん雷鳴が近づいてくる、怖っ!
「結菜、雷がこの辺りに落ちないようにできない?晴明は雨を呼んだんだろ?」
結菜は俺のお願いを聞いていなかった。
「何かが呼んでいるわ・・・」
「・・・雨音と雷鳴しか聞こえないけど?」
ドカーン、バリバリ!
近くにデカい奴が落ちた!怖っ!
結菜がテントを飛び出し、土砂降りの中、雷が落ちた方へ走って行く!
その辺りにさっきまではなかった反応がある!
っていうか、周辺に何千もの反応が急に現れ、雷が落ちた方へ動き出している!
俺もテントを飛び出し、フリッツに喚いた。
「みんなを俺たちについて来させろ!急げ!魔物がたくさん湧いたぞ!」
雷が落ちた場所だろうか、1本の大木がくすぶっていた。
結菜は脇目も振らず、そこへ向かって全力で走っている。
大木の近くで何かが空中で舞っているようだ!鳥じゃない!
あれか、アメリアたんが言っていた奴は!
結菜が一番にたどり着きそうだが、辺りを見るとたくさんのゴブリンも走って来ていた。
少し後ろには妻たちも走って来ている。
結菜がたどり着き、躊躇なくそのものに手を伸ばした。
そいつは結菜の手に載り、腕の上を走り、首を回った!
リスみたいだけど、もっと胴が長いな。
鼻面が白い。ハクビシンか!雷獣だな!
この雷獣が目当てなのか、ゴブリンが四方から1000匹ずつの大群で近づいていたが、
結菜と雷獣は交歓を続けている。
俺の後ろの敵はフリッツたちシリウスが迎撃していた。
俺の右の敵に愛海が魔法を放ちロロランが突っ込んで行った。
左の敵にはダリヤが矢を放って倒し、グレイスが立ち塞がっていた。
結菜に近づいて来た奴は俺が殺していたが、一番の大群が向かいからやって来た!
ようやく結菜が俺を見て、ニッコリとした。
「後は私たちに任せて!」
こんな場合でも見惚れてしまう。
「軽く行くよ~千客万雷!」
雷獣と動きを合わし、結菜が雷魔法を放った。
これまでの倍以上の威力の雷が次々と落とされ、
1000匹のゴブリンがたったの一度の魔法で殲滅されていた!
威力も範囲も5倍になっている!
もう、怖い!
俺たちがゴブリンを退治したときには嵐は過ぎ去っていた。
「雷獣ね!魔物じゃなくって精霊みたい。」
愛海が、結菜と遊んでいる奴を鑑定していた。
「精霊って、火、水、風、土だけデスヨ!」
ダリヤが言うが、俺は当然、愛海の鑑定を信頼する。
雷獣は、体長が50センチくらいで太いしっぽがその半分くらいある。
黒っぽい茶のすべすべの毛を持っていて、体は丸みを帯びていた。
可愛い!
だけど、空を事由自在に動くなんて・・・
「貴方の名前はハクビね!」
結菜が笑顔で雷獣に告げていた。
安直だが、優秀だしピッタリな名前だな。
「結菜、ハクビをちょっと抱かせてくれないか?」
俺もさわり、抱いてみたいぞ!
「ハクビ、ヒロトの腕の中へ行って。」
結菜が頼むと躊躇しつつも俺の腕の中に来た。
モフモフだ!ぬくぬくだ!あんまり重くない!可愛い!
思わず頬ずりしようとしたら、ビリビリって来た!
「痛いよ!」
ハクビが俺に敵意を向けている!
結菜を俺と取り合うつもりか、てめー!
「ハイ、ケンカしない!」
結菜が仲裁したので停戦することになった。
可愛くない仲間が加わった。
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