★143 パニック
よろしくお願いします。
俺の胸騒ぎを2度経験している妻たちは一緒に
いてくれようとしていたが、今、すべきことは何もない。
結菜とダリヤには仮眠してもらった。
夜空には雨雲はすっかりなくなっていた。
新月なのでいつもより暗く、星がより一層輝いていた。
愛海、ロロラン、グレイスと色んな話をした。
24時が過ぎ、見張りを代わろうと、仮眠中の4人を起こした。
付近にぽつぽつと反応が出てきた。
「何かが出てきたぞ!100はあるな!」
「ふふん、私の新技をみんなに見せるために出てきたみたいね!」
俺の声に千家がニヤリと不敵に笑った。
200くらい出てきて、ゆっくりこちらに向かってきた!
統制はとれていないようだ。
千家が剣を抜いて、正眼に構えた。
「さあ、どーんと来~い!」
ぷーんと何かイヤな臭いがしてきた!
全員の戦闘準備が整うと、結菜が正面へのスポットライトを、
愛海が周辺を照らす照明魔法を唱えた。
見えた!
敵はゾンビだ!
その中央には首のない馬に騎乗する首のない騎士だ!
デュラハンだ!
よく見ると、デュラハンもゾンビも肉が腐って崩れかけていた。
動くたびにピュッと臭い肉汁が吹き出ている!
余りの気持ち悪さと物凄い悪臭に妻たちから余裕が全くなくなった!
「いや~!」
愛海が悲鳴を上げながら範囲魔法を放ったが、
ゾンビの群れの一番端の1匹を倒しただけだ!
どこを中心に狙っているのよ!
ダリヤも矢を放とうとしているが、手がブルブルと震え、
放つ前に矢がポロポロと落ちてしまい、全く放てなかった。
「雷剣!」
キリッとしている結菜が威力マックスの魔法を放ったが、
倒れたのは先頭のゾンビ1匹だけだった。
コイツは100回復活するのか?いや、しないだろ!
ゾンビキングなのか?狙うべきはデュラハンだろ!
結菜、愛海、ダリヤがポンコツになってしまった!
ヤバい!
「お、おい、千家、新技の出番だ!全部やっつけてくれよ!」
あせった俺は、何故か正眼の構えのまま全く動かない千家に声をかけた。
千家がそれでも動かないので、マーズレッドがやさしく肩に手を置いた。
「優姫ちゃん?」
「きゃー、キャー、キャー、きゃー・・・」
千家は目を大きく見開き、
剣を構えたまま、固まったまま、悲鳴を上げ続けた。
だめだ、こりゃ~
青ざめているグレイスが聖魔法を唱えた!
「土へ帰れ!」
200近くのゾンビは全て崩れなくなったが、
デュラハンの脅威は全く小さくなっていない!
でも、グレイスさん、流石です!充分です!
悪臭も8割方減りました!
ありがとうございます!
歩いていた首のない馬にデュラハンが手綱で合図を送ると、
スピードを上げて全速力でこちらに向かって来た!
俺は充分に引きつけてから、馬の前足に向けて鉄球を投げた!
当たった!右前足がもげた!
だけど、3本足でスピードは変わらず向かってくる!
どうなってんだ?
馬とぶつかる寸前、辛うじて右に躱しながら馬の左前足を切った。
馬は両前足がなくなると、流石に前に倒れ、デュラハンは投げ出された!
無様に地面に転がったが、何事もなかったかのように立ち上がった!
そして転がっていた首を拾う。
デュラハンが右手の長剣を振り上げ襲い掛かって来た!
俺と、悪臭に顔をしかめながらもロロランが呼吸を合わせて立ち向かう。
ロロランさん、流石です!
いつもありがとうございます!
剣技もパワーも凄いけど、2人なら勝てそうだって思っていたら、
デュラハンは左手に持っていた首を投げつけてきた!
さっと避けると後ろに落ちて転がった!
結菜、愛海、ダリヤ、千家が悲鳴を上げ、パニックになった!
結菜はすっとんで逃げだして、大木をギュッと抱きしめて泣きだした!
愛海とダリヤは腰が抜けてへたり込み、抱き合って悲鳴を上げながらブルブル震えている!
珍しく仲良しだ!
千家は悲鳴を上げ続けながら、迷走しながら、剣をむやみやたらに振り回していた。
滅茶苦茶危ないので、マーズレッドが必死に結菜、愛海とダリヤを守ってくれた。
デュラハンの首は転がっただけで、攻撃とかは全くなかったけど・・・
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