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家族を奪った怪物たちを根絶やしにするまで。〜絶望の底で芽吹いた復讐の血脈〜  作者: 凪塩 未来


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第8話:地下水路の悪臭

ご覧いただきありがとうございます。「迷宮の底、復讐の血脈はモンスターを屠る」第8話です。


Bランクの難敵「大蛇(オロチ)」が潜む地下水路での新たな戦いを描きました。毒気渦巻く過酷な環境の中、一切怯むことなく突撃していくルインの狂気と凄まじい戦闘の行方をぜひお楽しみください!

王都の華やかな表通りのすぐ裏手、その足元にはおよそ光の届かない巨大な汚水ネットワークが広がっている。

石造りのアーチがどこまでも続く地下水路は、常に湿った冷気と、腐敗した有機物の耐え難い悪臭に満ちていた。松明の黄色い光が、水面に不気味に揺らめいている。


「おい、ルイン。本当にここなのか? Bランクの『大蛇(オロチ)』の棲家ってのは」


ガルドは鼻を片手で押さえながら、愛用の戦斧の柄をぎゅっと握り締めた。歴戦の戦士である彼ですら、この空間の澱んだ気配に顔を顰めている。

僕たちは、王都の地下深くに位置する古い排水路の最奥へと足を踏み入れていた。


「依頼書にそう書いてあった」


僕は短く返し、腰の短剣を抜いて手の内に構える。

地上ではあんなにも賑やかな王都の直下に、こんなにも深く暗い死の世界が広がっていること自体が、どこか皮肉に思えた。


人間がどれだけ繁栄を築こうとも、その足元には必ず魔物や死臭が這い回る暗闇が存在する。それはあの日の村の記憶と重なっていた。どれだけ平穏を装っても、世界の本質はいつだって残酷な弱肉強食の泥沼なのだ。


「シュー……ッ」


不意に、水面を滑るような乾いた音が響いた。

それはただの水の波音ではない。何かが、この泥水の中を高速で這いずり回っている気配だった。


「来るぞ!」


ガルドが叫んだ瞬間、濁った水面が激しく爆発した。

飛び出してきたのは、漆黒の鱗に覆われた巨大な体躯を持つ大蛇(オロチ)だった。その頭部は二つに分かれ、それぞれが血走った黄色い目をギラつかせながら、大きく開いた牙から紫色の猛毒の霧を撒き散らしている。


「っ……毒だ! 息を吸うな!」


ガルドが反射的に後ろへ跳び退き、毒霧を避ける。

だが、僕の足は一歩も引かなかった。あの日の巨獣の胃袋に比べれば、こんな毒の霧など生ぬるい。胸の奥で、冷たい殺意が黒々と渦を巻く。


「逃げない……殺す」


独り言のように呟きながら、僕は毒霧の中へと踏み込んだ。

視界が紫色の靄に歪み、皮膚がピリピリと焼けるような痛みを訴える。だが、その痛みが逆に神経を研ぎ澄ませ、大蛇の巨体の動きを完全にスローモーションへと変えていく。


二つに分かれた大蛇の頭の一方が、唸りを上げて僕へと噛みついてきた。

避けない。僕はその開かれた巨大な口の隙間めがけて、全身の力を込めて短剣を突き出した。

第8話「地下水路の悪臭」最後までお読みいただきありがとうございました!


王都の地下という身近でありながらも絶望に満ちた空間で、Bランクの魔獣・オロチとの激闘が幕を開けました。毒を纏う強敵を前にしても、ルインの復讐心と殺意は少しも揺らぎません。むしろその過酷さが増すほどに、彼の刃は研ぎ澄まされていきます。

次回の激しい攻防と、オロチを討伐した先に何が待っているのか、ぜひご期待ください!

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