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家族を奪った怪物たちを根絶やしにするまで。〜絶望の底で芽吹いた復讐の血脈〜  作者: 凪塩 未来


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第5話:狂気の手応え

ご覧いただきありがとうございます。「迷宮の底、復讐の血脈はモンスターを屠る」第5話です。


絶望のトラウマに呑まれかけながらも、それを狂気と殺意でねじ伏せてオークの群れに立ち向かうルインの姿を描きました。ベテランのガルドをも戦慄させる少年の変貌を、ぜひお楽しみください!

「ガキが……!」


ガルドの怒鳴り声が、薄暗い地下空間の壁に反響した。

僕が放り出した一匹目のオークは、足の腱を断たれ、黒い血をドクドクと流しながら地面に這いつくばっている。だが、周囲の闇からはさらに三匹、四匹と、巨体を揺らしながら飢えたオークたちが姿を現していた。


「退くって言ったはずだ! お前を死なせたら、あのギルドの受付嬢に顔向けできねぇんだよ!」


ガルドが舌打ちをしながら僕の横へと跳び出し、愛用の戦斧を力任せに振り抜いた。

重金属が肉を断つ鈍い音が響き、最前線にいたオークの胴体が文字通り両断される。さすがは場数を踏んだベテランの戦士だ。一撃の威力は圧倒的だった。


しかし、数ではこちらが不利だ。狭い地下通路の閉塞感が、ジリジリと僕たちの退路を狭めていく。


(――囲まれる)


脳裏に蘇るのは、あの暗闇だ。逃げ場のない胃袋の中で、四方八方から圧迫されていく恐怖。

あの時と同じだ。何もできずに飲み込まれるだけの絶望が、再び喉元まで這い上がってくる。


全身の毛穴から冷たい汗が噴き出した。膝が震え、足の裏が地面に張り付いたように動かなくなる。


(動け……動けよ!)


心の中で自分を罵倒する。

あの日の無力な自分を殺したはずだ。ここで足を止めたら、僕は一生、あの巨獣の胃袋の中から抜け出せない。


「――っ!」


歯を食いしばり、痛むほどに奥歯を噛み締める。

恐怖の感情を無理やりねじ伏せ、喉の奥から這い上がる嗚咽を殺意へと変換した。動かない足に力を込め、僕は地面を蹴る。


目の前に迫ったオークが、分厚い腕で持った骨のこん棒を振り下ろしてきた。

避けない。逃げない。


風圧が前髪を揺らす。こん棒が直撃する寸前、僕は身を低くしてその懐へと滑り込んだ。

狙うのは咽頭(いんとう)、そして心臓の真下だ。


「死ねよ、クソが……!」


吐き捨てるような低い声とともに、右手に握った短剣をオークの脇腹から心臓の裏側へと深く突き入れた。

ぶすり、と泥をかき混ぜるような嫌な感触が手に伝わる。オークの目が驚愕に見開き、巨体がガクリと崩れ落ちた。


鮮血が僕の顔全体を熱く濡らす。

生温い血の匂いが鼻腔を満たし、不思議と頭の芯がクリアに研ぎ澄まされていく。


「おまっ……頭がおかしいのかよ!」


ガルドが振り返り、僕の異様な戦い方を見て息を呑んだ。

恐怖に震えながらも、敵の懐へ飛び込んで急所を抉り取る姿は、狂気に満ちた獣のそれに見えたに違いない。だが、もうそんなことはどうでもよかった。


目の前にいるすべてのモンスターを殺し尽くす。

それだけが、今の僕を動かす唯一の原動力だった。


息を荒げながら、僕は次の獲物へと冷酷な視線を向けた。

第5話「狂気の手応え」最後までお読みいただきありがとうございました!


恐怖を恐れるのではなく、恐怖を怒りと殺意に変えて最前線へ飛び込んでいくルイン。その戦い方は泥臭く、決してスマートではありませんが、彼が背負っているものの重さを物語っています。ガルドとの関係性も少しずつ変化していく中、地下迷宮の奥底で彼らを待ち受けるものとは……?


続きが気になると思っていただけましたら、ぜひ【ブックマーク】や【評価(☆☆☆☆☆)】で応援していただけると非常に励みになります!

それでは、次回の第6話でお会いしましょう。

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