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家族を奪った怪物たちを根絶やしにするまで。〜絶望の底で芽吹いた復讐の血脈〜  作者: 凪塩 未来


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第21話:地下水路の最深層

ご覧いただきありがとうございます。

「迷宮の底、復讐の血脈はモンスターを屠る」第21話です。

地下水路のさらに奥、古代遺構の最深部でルインとガルドを待ち受けていたのは、人間の生命力を喰らう言葉を話す異形の魔傀儡でした。第2章の真の敵との遭遇戦を描く緊迫の展開をお楽しみください!

逃げ遅れた数匹の亜人たちが残した足跡は、王都の排水区画を越え、さらに古びた歴史の忘れ形見のような古代の煉瓦積みのトンネルへと続いていた。

空気の質が変わる。先ほどまでの生臭い汚水の匂いは消え失せ、代わりに鼻を突くのは、何世紀もの間放置された古びた土と、鼻腔を焼くような強烈な魔力の澱みだった。


「おい、ルイン……待てよ。この先は確か、王都が築かれるよりもさらに昔、古代の地下遺構じゃなかったか?」


ガルドは重い戦斧を構え直しながら、警戒の色を隠さずに周囲の壁を見回した。

壁面に刻まれた文様は、人間のものではない。歪んだ触手や無数の目を象ったおぞましい意匠が、松明の光を嫌うように闇のなかに浮かび上がっている。


「知ったことじゃない」


ルインは足を緩めない。

血に染まった短剣を握り締めたまま、冷徹な足取りで暗闇の奥へと進んでいく。シャーマンが使っていた呪術の気配。そして、軍勢を統率していた背後にある何者かの波動。それらすべての根源が、この古代遺構のさらに底から這い出そうとしているのを、ルインの身体に刻まれた傷痕が敏感に察知していた。


「あいつらを操っていた主の正体が、この奥にいる。それだけだ」


「やれやれ、相変わらず話の早い男だぜ」


ガルドはため息をつきつつも、その背中を預かるようにしっかりと歩調を合わせた。

二人がさらに数十歩ほど進むと、前方の視界が急激に開けた。


そこにあったのは、人工的にくり抜かれた巨大な地下空洞だった。

中央にはかつて何かの祭壇だったのだろうか、崩れかけた巨大な石柱が林立し、その周囲を取り囲むように、おぞましい光景が広がっていた。


「……なんだ、これわ……!」


ガルドが思わず息を呑み、足元で小さく声を漏らす。

祭壇の周囲には、王都の地下水路で消えたと言われていた警備兵や、迷宮に入り込んだ冒険者たちの姿が無残に転がっていた。


だが、彼らはただ殺されているわけではない。その肉体はからからに干からび、まるで生きたまますべての魔力と生命力を吸い取られたかのような、異様なミイラと化していたのだ。


空間の中央、その異様な死体の山の上に、ゆっくりと巨大な影が立ち上がった。


蜘蛛のような無数の脚を持ちながら、上半身は禍々しいヒトのそれに似た、おぞましい合成獣(キメラ)――『深層の魔傀儡(まかいらい)』だった。その複眼が不気味な青白い光を放ち、侵入者であるルインたちをねっとりと見据える。


「人間……か。我が目覚めの糧となる、愚かな生贄どもめ」


頭に直接響くような、不気味な思念波が空間を揺らした。

言葉を喋る魔物。それは、これまでの野良の魔獣とは一線を画する、高位の呪詛が生み出した人造の厄災だった。


ルインは恐怖するどころか、その唇に冷酷な笑みを浮かべた。

「ようやく姿を現したか。……その醜い肉体を、今すぐズタズタに引き裂いてやる」

第21話「地下水路の最深層」最後までお読みいただきありがとうございました!


ついに姿を現した第2章の強敵・深層の魔傀儡。喋る魔物というこれまでにない厄災を前にしても、ルインの闘志は一切揺らぐことなく、むしろ復讐の炎をさらに燃え上がらせます。

果たしてこの魔傀儡の正体と、王都の地下に隠された秘密の結末とは――?

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