第17話:地下迷宮の異変
ご覧いただきありがとうございます。「迷宮の底、復讐の血脈はモンスターを屠る」第17話です。
王都の地下水路で遭遇した亜人の大群、そしてそれを率いる「主」の気配。ガルドと共に戦うルインの新たな激闘の幕開けをぜひお楽しみください!
錆びた鉄の剣が石畳を叩き、獣人鬼の巨体が濁った汚水の中へ音を立てて沈んだ。
返り血を拭うこともせず、ルインは冷徹な眼差しで周囲の暗がりを見据える。一匹や二匹の群れではない。この排水区画の奥からは、絶え間なく這いずるような足音と、人間を嘲笑うかのような低い唸り声が響いていた。
(……ただの迷宮の魔物じゃない)
ルインの脳裏に、かつて王都のギルドで聞いた噂がよぎる。
王宮の貴族や裏社会の人間たちが恐れていた「王都の足元に潜む脅威」。それは、ただ本能のままに暴れる魔獣ではなく、知性を持った何者かに統率された軍勢の気配だった。
「ルイン! 無茶をするな、囲まれるぞ!」
少し離れた通路の曲がり角から、戦斧を構えたガルドが息を切らして駆けつけてきた。
彼の表情には、歴戦の戦士であっても隠しきれない焦りの色が滲んでいる。
「遅い、ガルド」
ルインは短く吐き捨て、血に濡れた短剣を軽々と回した。
「遅いって、お前が勝手に一人で突っ込むからだろ! ……おい、この状況を見ろ。上の連中はまだ気づいてねぇが、この地下水路、完全に奴らに乗っ取られてやがる」
ガルドの言葉通り、周囲の暗がりから無数の赤い目がギラギラと闇を照らし始めた。
現れたのは、先ほどの獣人鬼だけではない。より強靭な外皮を持つオークの戦士階級や、闇夜に紛れて毒の吹き矢を構えるトカゲ型の亜人たち――数にして優に数十を超える異形の軍勢だった。
「群れを率いる主がいる」
ルインの瞳が、獲物を見据える獣のように鋭く光った。
恐怖心など、あの日の胃袋に置いてきた。あるのはただ、目の前を塞ぐすべての異形を根絶やしにするという冷徹な殺意だけだ。
「……やれやれ、相変わらず人の話を聞きやしない」ガルドは大きく息を吐き出し、戦斧をしっかりと握り締めた。
「だが、ここで背中を見せるほど落ちちゃいねぇよ。行くぞ、ルイン!」
「ああ、全員まとめて叩き潰す」
王都の真下で、人と亜人の軍勢による激しい死闘が幕を開けた。
第17話「地下迷宮の異変」最後までお読みいただきありがとうございました!
ただの魔物狩りから、知性を持った軍勢との戦いへとスケールアップしていく第2章。ルインの圧倒的な殺意と、相棒として背中を預けるガルドのコンビネーションが光る回となりました。
果たして地下水路の奥に潜む「主」の正体とは――?




