外伝5(最終話):血塗られた軌道の先
ご覧いただきありがとうございます。「迷宮の底、復讐の血脈はモンスターを屠る」外伝最終話――血塗られた軌道の先の物語です。
ルインの旅路に再び寄り添うガルドとのやり取り、そして終わりなき復讐の道を歩み続ける少年の姿を描いた完結エピソードです。ぜひ最後までお楽しみください!
王都から数日離れた、険しい山岳地帯のふもと。
荒れ果てた渓谷の底にぽっかりと口を開けた新たな迷宮の入り口で、ルインは一人、冷たい風に吹かれながら佇んでいた。
装備した布の服はあちこちがほつれ、幾重もの血痕が黒ずんで染みついている。だが、その足取りに迷いは一切ない。奈落の迷宮を踏破し、数々の強敵をその手で葬ってきた彼は、もはやただの少年ではなく、冒険者たちが恐れを込めて呼ぶ「死神」そのものになっていた。
「……おい、ルイン」
背後から、低く重みのある声が響いた。
振り返ると、愛用の戦斧を担いだガルドが、やれやれといった表情で歩み寄ってくるところだった。ここまで来るはずのない場所だ。
「なぜ来た」
ルインが冷ややかに問うと、ガルドは苦笑しながら肩をすくめた。
「決まってらぁ。お前みたいな狂ったガキを一人で放置してたら、いつの間にか世界中の魔物を一人で全滅させちまいそうだからな。それに、見送ったところでどうせお前は止まらねぇよ」
ガルドの言葉に、ルインは小さく鼻で笑い、それ以上詮索しようとはしなかった。
二人が並んで立つその目の前には、さらなる深淵へと続く暗い階段が果てしなく続いている。
「行くぞ」
短く告げると、ルインは迷うことなくその暗闇の中へと踏み出した。
ガルドもまた、重い足音を響かせながらその背中を追う。
あの日の悪夢から始まった少年の復讐の旅は、終わりを知らない。
すべてのモンスターが地上から消え去るまで、あるいは自分の身体が完全にすり切れるまで、血に染まった刃が止まることはない。
漆黒の闇の奥へと進む二人の背中は、やがて完全に見えなくなり、ただ冷たい風の音だけが渓谷にこだましていた。
外伝第5話(最終話)「血塗られた軌道の先」最後までお読みいただき本当にありがとうございました!
本編から外伝へと続いたルインの復讐と戦いの物語、いかがでしたでしょうか。救いのない闇の中を、自らの狂気と殺意を燃料にして進み続ける少年の姿と、それを不器用に見守り続けるガルドの関係性を描き切ることができました。
ここまで共に歩んでくださり、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。




