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家族を奪った怪物たちを根絶やしにするまで。〜絶望の底で芽吹いた復讐の血脈〜  作者: 凪塩 未来


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第2話:黒き洞窟の洗礼

ご覧いただきありがとうございます。「迷宮の底、復讐の血脈はモンスターを屠る」第2話です。


初めての実戦、そしてトラウマのフラッシュバックを殺意へと変えていくルインの姿を描きました。仲間を奪われた恐怖と、それを超える狂気が彼をどこへ導くのか。ダークファンタジーならではの容容赦ない戦いと少年の変貌を引き続きお楽しみください!

洞窟の湿った空気は、肺の奥まで冷たく突き刺さる。先導するガルドの足音が、規則正しく岩肌に反響していた。僕の足元には、かつて誰かが捨てたのであろう古い松明の燃えかすが転がっている。


「おい、ルイン。止まれ」


ガルドが突然、低く唸るような声を出して右手を挙げた。僕は反射的に腰の短剣に手をかけ、身を低くする。暗闇の向こう側から、湿った肉が擦れ合うような嫌な音と、低い威嚇音が聞こえてきた。


「……ゴブリンか。それも群れだな」


ガルドは表情一つ変えず、愛用の長剣を静かに抜き放つ。闇の中から、青白く光るいやらしい目玉が数対、こちらを覗き込んでいるのが見えた。ゴブリン特有の濁ったうめき声が洞窟内に広がり、悪臭が鼻を突いた。


あの日の記憶が、脳裏でフラッシュバックする。巨獣の胃袋の中、ドロドロとした消化液と、仲間の肉が砕ける音。その恐怖が、瞬間的に僕の四肢を凍りつかせた。動けない。足が、石畳に縫い付けられたように重い。


(――また、動けなくなるのか?)


「邪魔だ、ガキ!」


ガルドの怒号が響いた次の瞬間、彼は凄まじい踏み込みで闇へと突っ込んだ。鈍い肉を断つ音と、ゴブリンの断末魔が重なる。血飛沫が闇を飛び散り、生温い鉄の匂いが一瞬で辺りに充満した。


「ぼさっとしてんじゃねぇ! 殺されるぞ!」


ガルドの一喝に、頭の中の霧が無理やり引き裂かれる。そうだ。僕はあの日から生きているわけじゃない。あの暗闇の中で死んだはずの「生」の残骸だ。ならば、ここで怯えている暇などあるはずがない。


「はっ……!」


短剣を引き抜き、僕はガルドが切り伏せたゴブリンの群れの中へと飛び込んだ。恐怖を怒りへ、絶望を殺意へと変換する。目の前に現れた一匹のゴブリンの醜悪な顔めがけ、迷いなく短剣を突き立てた。


ぐにゃりと肉を貫く感触が、手のひらから伝わってくる。温かい血が僕の顔と服を真っ赤に染め上げた。ゴブリンは絶叫する間もなく、泡を吹いてその場に崩れ落ちる。


「……殺す」


独り言のように呟きながら、僕は次から次へと襲いかかる魔物たちに刃を叩きつけた。恐怖などない。あるのは、すべての生き物を引き裂きたいという渇望だけだ。


数分後、洞窟の一角は静けさを取り戻し、転がるのは無数の魔物の死骸だけになっていた。ガルドは呆れたような、それでいて少し気味の悪いものを見るような目で僕を見つめ、肩をすくめた。


「おいおい……殺し方が尋常じゃねぇな。お前、本当に初めての依頼か?」


僕は血塗れの顔を拭いもせず、冷たい眼差しでガルドを見返す。


「早く進もう。こんなところで立ち止まる気はない」


ガルドは苦笑しながらも、それ以上追及してこなかった。僕たちはさらに深く、闇の底へと歩みを進める。これは、すべてのモンスターを絶滅させるための、ほんの小さな一歩にすぎない。

第2話「黒き洞窟の洗礼」最後までお読みいただきありがとうございました!


ガルドとの初任務で、初めて実戦の洗礼を受けたルイン。恐怖に足がすくみながらも、あの日の胃袋の記憶をバネに容赦なく短剣を突き立てる姿は、まさに復讐鬼の片鱗です。ただの「守られる子供」から「すべてを殺す者」へと変貌していく彼の歩みを、これからも泥臭く描いていければと思っています。

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