第14話:漆黒の死闘
ご覧いただきありがとうございます。「迷宮の底、復讐の血脈はモンスターを屠る」第14話です。
奈落の鬼甲獣との死闘が最高潮に達する回となりました。圧倒的な巨体と暴力の前に満身創痍となりながらも、狂気を武器に立ち上がり続けるルインの執念をぜひお楽しみください!
「ガキィィンッ……!」
金属が激しくぶつかり合うような甲高い音が、地下の広間に響き渡った。
奈落の鬼甲獣が振るった巨大な鎌腕を、僕はあえて正面から受け止めるのではなく、その圧倒的な質量を利用して滑り込むように躱す。だが、風圧だけで頬の皮膚が裂け、生温い血が一筋流れ落ちた。
Aランクの主が持つ破壊力は、これまでの雑魚とは次元が違う。まともに一撃でも貰えば、僕の身体など一瞬で豆腐のように砕け散るだろう。
「ハハッ……!」
喉の奥から、狂気じみた笑い声が漏れ出していた。
怖いのか? いや、違う。もっともっと血が滾る。あの日の暗闇で、ただ震えながら自分の肉が溶かされるのを待っていた無力な僕が、今やこの巨大な化け物の命を狙って牙を剥いている。この悦びこそが、今の僕を繋ぎ止める唯一の絆だった。
鬼甲獣が低く唸り、もう片方の巨大な腕を薙ぎ払うように横殴りで振るってきた。
逃げ場はない。けれど、逃げる気など最初からない。
「死ねよ……!」
僕は跳躍し、振るわれた鎌腕の腕の関節、そのわずかな装甲の継ぎ目めがけて全体重を乗せた短剣を叩き込んだ。
硬質な外皮に阻まれ、刃が容易には通らない。しかし、僕の腕に込められた殺意と執念は、その黒曜石の装甲をミリ単位で削り取っていく。
「シャアアァァッ……!」
鬼甲獣が痛みに狂ったような甲高い絶叫を上げ、巨体を激しく暴れさせた。
その衝撃で吹き飛ばされ、僕の身体は硬い石畳に激しく打ちつけられた。全身の骨が悲鳴を上げ、視界が真っ赤に染まる。内臓が破裂したような鈍痛が全身を駆け巡ったが、それでも僕は這うようにして立ち上がった。
血塗れの顔を上げ、冷酷な瞳でその化け物を睨みつける。
まだだ。まだ、あの日の絶望への復讐は終わっていない。
第14話「漆黒の死闘」最後までお読みいただきありがとうございました!
鬼甲獣の猛攻を受けてボロボロになりながらも、笑みを浮かべて立ち向かうルイン。彼の姿はもはや普通の人間ではなく、復讐そのものと化しています。いよいよ物語はいよいよ次回の最終第15話へと突入します。
果たしてルインの復讐の果てにあるものとは――?




