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家族を奪った怪物たちを根絶やしにするまで。〜絶望の底で芽吹いた復讐の血脈〜  作者: 凪塩 未来


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第11話:奈落への門

ご覧いただきありがとうございます。「迷宮の底、復讐の血脈はモンスターを屠る」第11話です。


ついにAランク迷宮「奈落の迷宮」の入り口に立ったルインと、ここまで同行してきたガルドとの別れを描きました。いよいよ物語は真の死地である深層へと突入します。ぜひお楽しみください!

「おい、ルイン……本気か?」


王都の片隅、普段は誰も寄り付かない荒れ果てた広場。その中央にぽっかりと口を開けた、直径十数メートルにも及ぶ巨大な縦穴を見下ろしながら、ガルドは珍しく真剣な、そして引きつった声で言った。


そこから立ち込める空気は、これまでのどんな迷宮とも異なっていた。澱み、重く、まるで生き物のように蠢く濃密な死臭が、底知れぬ深淵から這い上がってくる。


Aランク迷宮――『奈落の迷宮』。

かつて古代の文明が地下深くへと建造し、やがて邪悪な魔物たちに乗っ取られた禁忌の領域。熟練のAランクパーティーであっても、半数が生還できれば良い方だと言われる真正の死地だ。


「本気に見えないか?」


僕は短く返し、腰のベルトに差し込んだ短剣の柄をしっかりと確認した。

衣服はすでに何度も血に染まり、その匂いが染み付いて取れない。だが、今の僕にはこの重苦しい空気すら心地よく感じられた。あの日の夜、村を襲った巨獣の腹の底にあったものと、まったく同じ気配がこの奈落の底から漂っているからだ。


「お前は……何をそんなに急いでいる。ただの復讐にしては、命を投げ出しすぎだ」


ガルドが鋭い眼差しで僕の横顔を見据える。その声には、単なる相棒への心配を超えた、深い畏怖の色が滲んでいた。


「急いではいない。ただ、全部殺したいだけだ」


淡々と、しかし揺るぎない殺意を込めてそう告げる。

すべてのモンスターを根絶やしにし、あの日の暗闇で泣き叫んでいた無力な自分を完全に葬り去るまで、僕の歩みが止まることはない。


ガルドはしばらく僕の目を見つめていたが、やがて大きく息を吐き出し、諦めたように頭を掻いた。

「……れっきとした狂人だな、お前は。だが、ここで見送るような真似は俺のプライドが許さねぇ。……せいぜい、底の底まで這いつくばって生き延びろよ」


そう言い残すと、ガルドは背を向け、ゆっくりと広場の外へと歩いて行った。これ以上踏み込めば、彼であっても生きて帰れないという本能がそうさせたのだろう。引き止めはしない。これが僕一人の戦いなのだから。


誰もいなくなった縦穴の縁に、僕は一人で立った。

足元を見る。光の届かない底の見えない闇が、まるで巨大な獣の開かれた喉の奥のように、僕を待ち構えているかのように口を開けていた。


(――待っていろ)


心の中で呟き、僕は躊躇うことなくその深い闇の中へと身を投げ出した。


風が耳元で激しく唸りを上げる。重力のままに加速していく身体の感覚の中で、あの日の恐怖が綺麗に消え去っていくのを感じた。

恐れるな。僕の刃は、あの日の悪夢を切り裂くためにある。

血と鉄にまみれた奈落の底へ、復讐の少年は今、完全に足を踏み入れた。

第11話「奈落への門」最後までお読みいただきありがとうございました!


ガルドに見送られ、たった一人でAランクの奈落へと飛び込んだルイン。彼の抱える狂気と復讐心は、ついに引き返せない深淵へと到達しました。ここから先は、一歩間違えば即死という過酷な戦いの連続となります。

果たして奈落の底で待ち受ける化け物とは――?

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