魔王様。月夜に浮かぶ黒い影!?7
ボクは業務を終えると、店長に褒められた。
「今日はソアラちゃんとルナちゃんのおかげで過去最高の収益を上げたのニャン! これは今日のお給金ニャン! また、お願いしますニャン!」
「ありがとう! 店長さん!」
店長の野太い声と取ってつけたような語尾に違和感と圧を感じながらも、ボクは分厚い紙の封筒を受け取ってご機嫌な店長に手を振って店を後にした。
前は勇者にネコババされたお給料をボクはやっと受け取った給料袋を大事そうに胸に抱えてニコニコで歩いていた。
その隣を獣人姿のルナが満足そうな顔でお腹を撫でながらついてきている。
「……ルナは魔王軍にいたんだよね?」
「にゃ? そうだにゃ! 魔王様が変わったから、ルナは魔王様のものにゃ!」
「ルナはこれからボクと一緒に住むの?」
「もちろんにゃ!」
ルナは即答するとにっこりと笑う。
「でも、もううちにはルシアがいるし……ルナもってなると、セシルに怒られちゃうかも……」
ボクは不安そうにうつむきながら呟いた。
それを聞いてルナは納得したようにポンッと手を叩く。
「なるほどにゃ! でもセシルとは知り合いだから問題ないと思うにゃ〜」
そう言ったルナにボクは首を傾げる。
「……どういうこと?」
ルナは腰に両手を当てて胸を張った。
「ルナは魔王様の側近だから、ルナは大丈夫だと思うにゃ!」
「……えっ?」
そう言ったルナと一緒にボクは魔王城へと帰った。
魔王城ではセシルが料理を作って待っていた。
今日のメニューはグラタンのようで周囲にはグラタンの焼ける香ばしい香りが広がっている。
「ソアラ様。お帰りなさいませ」
「……セシル。ただいま」
ボクはエプロンをしているセシルに挨拶すると、もじもじしながら指をいじる。
「あのね……実は……」
セシルはボクの足元にいる黒猫を見て察した様子でため息を漏らした。
「はぁー、ソアラ様……また、拾ってきたんですか? ソアラ様が優しい子なのは素敵な事ですが、うちにはもうルシアちゃんもいるんですよ? ペットを飼う余裕はありませんよ?」
「……うん、分かってる。でも……」
うつむきながら言ったボクを呆れたように頭を押さえている。
すると、黒猫の体が光って人の姿に変わっていく。




