魔王様。月夜に浮かぶ黒い影!?2
街に出ると、真っ先にエレナのいるホテルへと向かった。
もちろん。双子の姉妹であるエレナに勇者の居場所を聞く為だ。
街を鼻歌混じりに上機嫌で歩いていると、背後から何者かの視線を感じてボクは恐る恐る振り返る。
しかし、そこには誰もいない。
「なんだ……気のせいだったのかな?」
不思議そうな顔でボクは首を傾げると、前を向いて再び歩き出す。
すると、また背後からまた気配を感じた。
……やっぱり。ボクをつけている気配を感じるを狙っている。もしかして人さらいか、それか盗賊!?
怖くなったボクは少しずつ早歩きになり、それでもついて来る気配に恐怖からそのまま走って逃げる。
街の中を走り続け、やっと気配がなくなった。
「はぁ……はぁ……はぁ……げほっ! げほっ!」
走ったせいで咳き込みながら、息切れしているボクは振り返る。
諦めたのかそこには誰もいなかった。
「はぁ……はぁ……なんとか、逃げられたみたい……」
ほっと胸を撫で下ろしてボクは深呼吸をする。
「ふぅー、なんとか逃げ切れたみたい……」
安心して気が緩んだボクは再び歩き始めた瞬間。
「けど……なんでボクなんかを追いかけて来てたんだろう……もしかして、勇者を狙う刺客!? なら、エレナも危ないかも……2人のところに行くのは避けた方がいいかもしれない」
ボクが考えながらブツブツと独り言を言っていると、突然壁の死角から黒い物体が飛び出してきた。
「……わっ!!」
驚きの声を上げながら、咄嗟に後ろに跳んで避けると、その黒い物体は綺麗にくるりと宙返りをして地面に着地する。
それは全身が真っ黒な毛に覆われた猫だった。
「うにゃ〜」
黒猫はじっとボクのことを見ると、嬉しそうに鳴いてゆっくりと近づいてくる。
近くまで来た黒猫はそのままボクの足に体をすりすりと擦り付けながら甘えた声で鳴いた。
「にゃ〜ん」
「ふふっ、くすぐったいよ。どうしたの? こんなところで……」
しゃがみ込んでボクはびっくりさせないようにゆっくりと手を伸ばすと優しく頭を撫でると、黒猫は気持ち良さそうな表情をして目を細めながらゴロゴロと喉を鳴らす。
「ふふっ、かわいい……」
ボクは甘えてくる黒猫をしばらく撫でていると、さっきまで何者かに付けられていたことを思い出した。
このままこの場所で黒猫と遊んでいたら、追いつかれるかもしれない。
慌てて立ち上がると、黒猫がついて来ようとボクの後をついて来る。




