9話 魔王様。月夜に浮かぶ黒い影!?
から揚げをお腹いっぱい食べて満足して気持ち良く眠っているボクを寝室の窓から月明かりが照らす。
そこに一匹の黒猫が黄色く怪しく光る瞳で真っ直ぐにボクを見つめていた。
翌朝。朝日と共に目を覚ましたボクが下を見ると、隣で寝ていたルシアがボクのお腹に抱き付いていた。
まだ、気持ち良さそうに眠っているルシアを見て優しく微笑んだ。
そのまま二度寝したボクはルシアと一緒に眠っていた。
「……アラ……様……」
「……んっ……んんっ……」
寝ているボクの耳元で声が聞こえる。
「ソアラ様? もう朝ですよ……早く起きないと……かわいいソアラ様を食べちゃいますよ……」
「んっ……やだ……食べないで……んあっ? セシル。ふわぁ〜……おはよう」
「……ふふっ、ソアラ様。お口からよだれが垂れてしまってますよ。はーい……ふきふきしますねぇ〜」
セシルは寝ぼけているボクの口の周りをハンカチで拭いてくれた。
その後、今朝まで居たはずのルシアの姿を探したが、その姿はどこにも見えない。
「セシル。ルシアはどこに行ったの?」
「ああ、ルシアちゃんなら起きて朝ご飯を食べてから、運動しに行くってどこかに出掛けましたよ?」
「ふぅ〜ん。ルシア、いないんだ……」
ボクは少し寂しそうにそう呟く。
別に置いていかれたのにショックを受けているわけではない。それだけは絶対に違う!
ボクはベッドから降りると、顔を洗う為に洗面所に向かった。
その後ろを当然のようにセシルがついて来る。
洗面台で顔を洗ってセシルがボクの寝癖で乱れている長い銀髪をくしでとかしてくれながらボクは歯磨きをして、今度は食堂に行ってテーブルに並べられているセシルの作ってくれた遅めの朝食を食べた。
朝食を食べ終えると、ボクは黒を基調としたゴスロリ風のドレスを着て身支度を整える。
「ソアラ様。お出掛けなさるよですか?」
「うん。勇者のところに行こうと思って……」
そう答えるとセシルはにっこりと微笑んで言った。
「あまり遅くならずに帰って来てくださいね。あと、知らない人におもちゃを買ってあげるとかお菓子をあげるって言われてもついて行ったらダメですよ?」
「分かってるよぉ〜、ボクも子供じゃないんだから大丈夫! それじゃ、行ってきま〜す!」
「はい。行ってらっしゃいませ」
ボクはそう言ってセシルに向かって軽く手を振ると、空間に開いた裂け目の中に消えて行った。




