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ハズレ属性「光魔法」を鍛えまくったら、レーザーが出ました  作者: LA軍@呪具師(250万部)アニメ化決定ッ
第1章『光の少年』

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第55話「エルフ?」

 『錬金万事屋』



 ガランゴロ~ン♪


 手入れをしていないドアベルが、汚く鳴り響く。

 ほんと。ここは相変わらずだ──。


「いらっしゃー……って、おわおわわ!?」


 ……ん?!


 あれ?

 ババアがいない──つーか、誰だこの人。


 なに、このすっごい美人────。


「な、なななな、なんだい? ライトじゃないか一体どうした────あ、」


 ……ん?

 ライトを知っている──??


「え~っと。……お姉さんとは初対面だったはずだけど」


 目の前にいたのはカウンターの奥でアップアップしている褐色肌の美女だった。

 なにやらだらしない恰好でタバコを吹かしながら、適当にメイク中──。


 うん、知らない顔です。

 もちろん、見るのも話すのも初めて。


 ……でも、な~んか見覚えが──。


 って、

「あれ? もしかして──」

「ち、違う!! 違う違うから! 誰が婆さんだい!」

 いや、言ってねぇし。

「だ、だぁぁあ! えぁー--!──……え、え~っとぉぉ。お、オオオ、オーナーは現在仕事中でしてぇ」


 あっそ?

 なら──。


「お姉さんは買い取りやってる?……婆さん待ったほうがいい?」


 どんっ。


 とりあえず重いので、ドロップ品をきったないカウンターにのせていく。

 例のオーガの首級に、ギルドで買い取ってもらうには微妙な品の数々。もちろん、先のクエストで入手した者ばかりだ。


 ふぃー……マ~ジで重かったぁ。


   ずんっ


      ずんっ


        どー-んっ!



「査定よろしくー」


 そこに乗せられたのは、例のオーガ素材。

 つまりは『谷の番人』のそれだ。


 首級のほかに、胆のうとか、目玉とか、骨とかまー色々。

 あとは、鎮火したあとの巣穴から回収された装備品やら装飾品やら古い硬貨やらの数々。ちょっとした魔道具とかもあった。


 ……ちなみに、

 先のクエストの最後に攻略した巣穴はボロボロのドロドロになってはいたが──(主にライトのせいだけど)、なんとか内部を調査することができたそうだ。


 あのあとで、傭兵団のなかでも小柄なものが選抜され、そのメンバーらが巣穴に潜り、いくつかのアイテムやら財宝を回収してきたのだ。

 もちろん、回収した品々は隊商のメンバーに分配された。


 ──ライトもその一人だ。


 5割以上は隊商の物となったが、

 価値のあるものや、魔物素材のいくつかは隊商のオーナーが快くライトにくれたというわけだ。


「ほ、ほっほー……。こりゃまた結構じゃないか」


 それらを見て、すぐに商売人の顔になった褐色エルフ美人さんは、胸の谷間から片眼鏡(モノクル)を取り出すとお目めにチャキリと嵌める。


「ふむふむ、ほうほう」

 じっくりがっちり鑑定中──……にして、こんな美人今までいたっけ?

 褐色肌の……笹耳ってことは、ダークエルフさん?


「ん? なんだい、人の顔をじっと見て────」

「いやー。片眼鏡、婆さんと同じものだなーって」

「んが! ち、違う! 違う違う、これは借り物で──わ、私はただの新人で、っす」

 いや。眼鏡のこときいただけやん?

「それ以外、なんも言ってないけど?……まぁ、エルフさんは珍しいけど、いないわけじゃないしね?」

「そ、そーそーそー! め、メズラシクナイヨー」


 ん?

 うん……?


 つーか、この店そんな繁盛してたっけ?

 エルフなんて、高給取りで有名じゃないの? 雇えるのぉ?


 なんか、普通は王宮とか魔塔で専属魔術師やらアドバイザーとかしてるって聞くけど……。

 それもかなり変わり者の部類がね。


「ふ、ふん! そうだよ、こう見えても────って、これは!!」


 どーーーーーん。


 カウンターに無造作に置かれた『谷の番人』の首。

 一応、ズダ袋入りだけど、血がにじんでちょっとホラーな雰囲気。


「お、おいおい、ライト。こ、こんなもん買い取れないよ──ギルドに持ち込みなって」

「あ、やっぱし?」


 首なんて使いようがないしね。

 普通は討伐証明程度に持ち込むものだ。


「んー。そうしたいのは山々なんだけど、ギルドがなー」

 引き取ってくんないのよ。

 ネームドじゃないオーガの頭なんて使いようがないんだろうけど……。

「ギルドがぁ? んん??……ま、まぁ、他のドロップ品は買い取ってやってもいいけど──お?」


 適当にガチャガチャとライトが持ち込んだドロップ品を見繕っていたエルフさん。

 新人のわりに手際がいいけど……、ふとネームド(?)の首を見つめていると目を大きく見開く。


「なにか?」

「いや、アンタこれ────まさか、ネームド……?」


 さすがに存在感バリバリの『谷の番人』のそれだ。

 エルフくらいの目利きになればわかるのかもしれない。


「おうよ。……ま、ギルドじゃ偽物扱いされたけどな」

「は? 偽物??」


 何言ってんだという顔をするエルフさん。

 それに肩をすくめるだけのライトであったが、

「おいおい、どこのギルドだい? 目でも腐ってんのかい??」

「そこんとこは同感」



   ──なんだとごらぁぁ!



 ……と、メリザの怒鳴り声が聞こえた気がして思わず首をすくめるライト。


 ひぇぇッ。


「? どうした?」

「い、いやなんでも」

「ふん?……まぁいいさね──」


 プカー。


 どこからともなく取り出したタバコを吹かすエルフさん。

 ……おい、子供の前だぞ?!


「それにしてもどういうこったろーね? こりゃあ、どーみても、ネームドのモンスターだろ」

「だよなー」


 ……ふむ。


「ライト、お前さん──なんかトラブル抱えてるね?」

「あ゛? アンタに関係ないだろ──……商売人なら、1か0で答えろよ──」


 買うのか、買わないのか?


「ふんっ」


 かんかんっ、とタバコの火を谷の番人の頭に落とすと、鼻から煙を出しながらエルフさんがふんぞり返る。


「……買うさ──買うけど、一個だけ教えとくれ」

「なにをだよ?」


 じろっ。


「……アンタ、今の属性(・・・・)はなんだい?」



 ──どき!



「な、何の話だよ?」


 別に隠しているわけでもないけど、

 まぁ、ギルドでレーザーをぶっ放しておいて、今更隠すも何もないのだが……。


 ライトの確信をついた質問に思わずとぼけてしまう。

 そもそも、今関係あるか?


「ふんっ。『光』属性だったアンタが、ネームドの首を持ち込んでんだ。……前ン時みたいに寄生して狩ったっていうのはだいぶ無理があるだろう?」

「…………まぁな」


(──それは俺も思う)


 しかし同時に、だからなんだよ。とも思うのだ。

 少なくとも、このエルフには関係ないはず。

 だから、ちょ~っと構えてしまうライトであったが、エルフさんは、そこまで言うとニッと口角を吊り上げる。


 そして、

「なぁに、ちょっとした興味だよ──ちょっとした、ね」


 ふ~……。


 再びタバコに火をつけると、何でもないように言い飛ばす。

 っていうか、この態度────……絶対あのババアだよな?


 なに?

 今までババアを装ってたの?……化粧とか言うレベルじゃねーぞ?

(……ま、別にどうでもいいけど)


「ふんっ。老婆心だけど、聞いとくれ──」


 あ?

 なんだよ、昔話か?


「いいから黙って聞きな」

 ふ~~……。

「……むかーしむかしの話さね。そして、割と最近の話でもあるんだが……。ま、いわゆるアンタみたいに属性進化した連中ってのは、これまでにも何人もでてきたのさね。人の世が乱れるたびにね」


 は?

 なに?


「何の話だ──??」

「……だけど、どいつもこいつも世を変えるか、世を荒らすかして────とんでもなく短命だったのさ」


 いや、だから……。


「……それで?」

 長生きしろってか? 余計なお世話だよ。


「ふんっ。生意気だねぇ。……アンタがお得意様だから教えてやるのさ────……つまりは、身の回りに気をつけなってことさね。いいかい?……きっと、これから先、いろんなちょっかい出す奴が現れると思うのさね」


「は?……なんでアンタがそんなこと知ってんだよ」


 ふー。


「そりゃー……。まぁ、ババアの年の功ってやつさね。……ま、忠告だよ、忠告。あの魔塔のボンボンもそうだが、属性進化したものどうしは惹かれあう──いや、時に激突する運命にあるのさ」


 激突……か。


 ふん。


「だったら望むところさ」

 にっ。


 ……激突上等。むしろアグニールとなら何度でも衝突してそのたびに脳天レーザーでぶちぬいてやってもいい!

 ライトにはそれだけの権利があるし、貸しがある!


 そして、属性進化ときたか。

 ──なるほど、アグニールの『全』属性が『無』属性の進化型なら、

 たしかに、『光』属性の進化した姿である『光線』属性とぶつかるのも道理だろうさ。


「くっくっく。面白いねぇ──やっぱり人間ってのは、飽きないもんさね。くっくっく──」


 チャリン。


「……ま、面白いもん見せてもらったからね。こりゃ、サービスだ。……これも、生ゴミにしかならないけど、買い取ってもいいかい?」


 こんこんっ


 そう言って『谷の番人』の首を買うと言ってくれたエルフのお姉さん。

 いや、チャリンておまえ──子供の小遣いじゃないんだから……。


「…………って、おい!」


 おいおいおいおい。

 この金貨って……、

「し、白金貨──」

「足りないかい?」


 ぶんぶんぶん

 ライトは無造作にカウンターに置かれたその金額をみて、一瞬心臓が止まるかと思った──……。


「ふふん、いいだろう。じゃー、しめて白金貨1枚と、金貨200枚で買い取らせてもらうよ」

「お、おう。せ、センキュー婆さん」


 すでに完全に婆さん呼ばわりしているのに、エルフさんも気付いているのか気付いていないのか──。

 まぁ、この人がで誰でも別にいい。


「くっくっく。毎度あり────あぁ、そうそう。ウチは明日から、いや、今日から店じまいするからそのつもりでな」

「は? なんでだよ?」


 ふんっ。


「そりゃあ、まぁ、色々あるのさね」

 色々とね。


「あっそ」

 いや、ええんやけど。アンタ新人設定どないしてん。

 ……別にいいけどねー。


「そっか、まぁ、俺も今日あたりで街を出ようと思ってるからな、ちょうどいい。────世話になったな婆さん」

「おう、ライトもな──……あと、嬢ちゃん」


 ほぇ?


「わたし?」

 急に話を振られたヤミーがほげーとした顔で答える。


「そうよ、私よ、わたしー。……アンタも、苦労してるみたいだね────だけど、忠告さね。お前さんは(たが)だ」


「たがー?」


「おーよ、箍だ箍。……だから、この坊主の手綱をしっかり握っときな。さっきも言ったが、属性進化したもの同士は惹かれあうもんさね」


 ニィ。


 そう言いたいだけ言って意味深な笑みを浮かべると、あとはそれっきりタバコを吹かしてそっぽを向いてしまうエルフの姉さん。

 ずいっと突き出された金貨入りの革袋はずっしりと重い。


「……世話になったな」

「んー」


 ひらひらと手を振って、もう行きなと言わんばかり。

 まぁ、金さえもらえれば長居する気もない。


「じゃあ、また──」


 しっし。

 さっさと行けと手で追い払われるライト。

 まぁいいけど、タバコ臭いからし……。

 まったく、最後までよくわからん婆さんだったな──。……いや、婆さんつーか、エルフの姉さんか。



 それにしても──。




「属性進化したものは惹かれあう、ね」


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