第53話「クエスト難易度おかしいでしょ!」プロローグ
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カランカラ~ン♪
さわやかな音を立てるカウベルとともに、冒険者が行き来するギルド。
そう。ここは辺境にある教会都市の中央に位置する冒険者ギルドで、いつものごとく、昼間は冒険者と商人ら依頼人でにぎわっていた。
そこに、
──ゴッゴッゴッゴッ!
足音も甲高く、ことさら怒りを強調するようにあるくそれに、ちょこちょことついてくる小さな足音が重なる。
それはもちろん──。
「あ、ライトさん、おかえりなさ────」
「おら、」
──バァァァァアアアン!
「きゃッ!」
な、なになになに?!
受付のメリザさんが。目を回して驚くところに、叩きつけるようにしてカウンターに置かれたのは巨大なオーガの首──。
「って、どうしたですか、ライトさん! そ、それにこれって────」
「そうだよ。見りゃわかるだろ!」
ネームドモンスター。
通称『谷の番人』だっつの!! どっかのギルドがBランク相当クエストとか宣ったそれのなぁ!
──どがっ!
それらをほぼ無言で押し出すと、ドッカリとギルドのカウンターに身を乗り出すようにしてメリザを睨みつけるライト。
「……おうおうおう、冒険者ギルドさんよぉ。……どういうこった? それともなんだぁ?!」
「え? な、なにがですか?」
なにがですかだぁぁ??
「ふざけんなよ!──おたくら基準では、ネームドモンスターとその群れからの護衛がBランク相当だっつのか!」
「え? あ、え? は? 言っている意味が──」
「いや。わからいでか!!」
「い、いや。そ、そのぉ……。──ちょ、ちょっと落ち着いてくださいよ、ライトさん。……まずは順を追って──」
順だぁぁあー?!
「順もクソもないだろうが! なんで、おたくの斡旋したクエストで、ネームドモンスターが出てくるんだよ!」
どう考えてもランクがおかしいだろ!
「え? ええ!? もしかして、これって、この前の護衛クエストで──?」
……ったりめーだろうが!
「でなきゃ、『谷の番人』なんざ狩ってくるかよ! 危うく、俺もヤミーもランチになるとこだったんだぞ?!」
いや、ディナーか?
……って、そんなことはどうでもいい!
「そ、そんなはずは──」
ちっ。
何言ってんだよ……。
「──そんなはずが、あったんだよ!」
ボケてんじゃねーぞ。
「ネームドモンスターがいることぐらい把握してるのがギルドだろ?!」
「い、いや、それはそうなんですけど──」
なにやら歯切れの悪いメリザさん。
その煮え切らない態度にライトの堪忍袋の緒が切れそうになる。
「だったらぁ!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ──」
──なんだよ!
「いえ、その……。大変言いにくいんですが──」
しきりに恐縮したメリザさんであったが、
次の瞬間衝撃的な言葉を発する。
「た、『谷の番人』は数日前に討伐されたという連絡が来ておりまして──……」
…………。
………………は?
「あ、いえ。あの──」
「いや、ちょっと待てって……」
え?
え~~っと、
と、討伐────?
「『谷の番人』が──??」
チラリ。
ライトの隣でデローンとだらしなく舌を出してピクリともしない首級。巨大なオーガのそれで、
……同時に、ギルドの掲示板のネームドモンスター欄にも、くっきり、はっきりと描かれているのだ。
ネームド『谷の番人』が
「討伐済み」のスタンプとともに──。
「……って、おい、これぇ?!」
べりぃ!
「あ、は、はい……」
「な、なんだと……?!」
バカな……。
「馬鹿な……」
──馬鹿なぁぁぁあ!
驚愕するライトであったがそこには確かに、討伐済みの文字と、その日時と場所までもが記載されている。
討伐証明先は王都近辺の衛星都市の冒険者ギルド。
討伐報償──金貨350枚……。
「お、おいおいおいおいおい……」
「──で、ですので……その、こ、今回の護衛クエストはBランク相当と見積もられておりまして……」
メリザさんが何とも言えない表情でライトに告げる。
しかし、言い分はもっともであり──もっとも納得できない。
確かに、この討伐情報が本物でああれば、街道上に出るのはせいぜい、あの群れの残党程度だろう。
統率するオーガがいたとしても、ネームドほどの脅威はない。隊商が雇った傭兵の数とは十分に釣り合うともいえる。
……そのうえで加味された護衛難易度がB──。
「いやいやいや! おかしいでしょ!」
「え、えぇ、ま、まぁ」
メリザさんも首を傾げるほどだ。
だって、ここにネームドの首級がある。
掲示板のネームド欄の特徴にも合致するし、なにより、相対したライトだからこそわかる。
『谷の番人』がその名に恥じない強敵であったことを。
「で、ですので────そ、そのぉ」
チラリ。
非常に言いにくそうな顔のメリザさん。
「ほ、報酬は規定通りとなりますが……その、」
よろしいですか?……そう言いたげなメリザさんだけど、もちろんよろしいわけがない。
よろしいわけがないし、そもそも──。
ふ、ふ、ふ、
「ふざけんじゃねぇぇぇええええええええええええ!」
どかーーーーーーーん!
ついに、堪忍袋の緒が切れて、ライトの怒りの声が爆発するのであった。
……ちなみにヤミーちゃんは、一足先にギルド併設の酒場でポテトを食べてたりします。
「んま~い♪」
新作投稿!
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