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#62「お待たせしすぎたかもしれません」

ダンジョンの中でボディースーツに身を包んだ最上ティアは、小さな鏡で髪型とメイクのチェックをしている。



「……よしっと、じゃあはじめますか」



そして、四ヶ月ぶりに配信用ドローンを宙に浮かべた。


配信が開始されたことを伝えるランプが点灯する。



「お待たせしました……お待たせしすぎたかもしれません。わたくし最上ティアはダンジョン配信に戻ってまいりました。やっほー! みんな元気してたー!?」 



ドローンについているカメラに向かって手を振るティアに、ずっと待機していた視聴者たちが反応する。



“キター!!!!!!!”

“ティアちゃーーーーん!!”

“おかえりー!”

“再開一発目があのAVの帝王の決め台詞www”

“村西とおるwww”

“全裸シーカーw”

“4ヶ月待たされたんだから間違ってない”

“元気だよー!”

“ティアっち元気そうで安心したー”

“会いたかったー”

“嬉しすぎる”

“告知見て体やばい震え方した、マジで待ってた”

“もう同接300万超え……”



スマートコンタクトレンズに表示される久しぶりのコメントを、ティアはしばらく笑顔で追っていた。


そして、少しだけ表情を引き締める。



「あのね、今回の配信はどうすっかなって色々考えたのよ……みんな観てるとは思うけど国洞1号最下層ってアホなんじゃねってくらい激しかったっしょ?」



その言葉に同意するコメントが流れていく。



「そういうさ、とんでもなく凄いバトルがあった後にそれなりに凄いバトルやっても、“なんかショボくね?”とか思われがちじゃん?」



ティアは立てた人差し指を動かしながら続ける。



「でもモンスター10万匹討伐なんて狙ってあの状況になれるんじゃなくてタマタマなの! タマタマって言ってもおめーらにぶら下がってるのじゃねーぞ! っていうかあんな戦いあるって知ってたらそもそも行ってねーし! だからバトルに関しては過剰な期待すんなよ!」



“たしかに……”

“すげえ素直にぶっちゃけるなw”

“あれは誰も予想してなかったしなー”

“私は女子なのでぶら下がってませんw”

“ティアさんも色々と考えてるんですね”

“なんかフラグ立ててる気もする……笑”



「んで、とりま未討伐のボスでも倒しに行こうかなって思ったんだけど、でもそれだけじゃつまんなくね? 少なくとも、あーしは他のこともやりたいの! もっと誰も見たことがないものが見たいし、見てもらいたいの……そこでねっ!」 



ティアは両手を頭の後ろで組み、脇を見せながらくるっと回った。

体に密着したボディースーツが、ティアの身体のラインを艶めかしく浮かび上がらせる。



「このあーし専用ボディースーツを作ってくれた会社の人がね、素材を持っていったら超防寒のスーツ作ってくれるんだって! そしたら新しい服がお披露目できるじゃん? 冷え性のあーしでもめっちゃ寒い特殊ダンジョンに行けるじゃん? マジよくない?」 



“冷え性だったのかw”

“その小麦色の肌は完全に夏の人だもんなw”

“いいねー、ダンジョン選択の幅がめっちゃ広がる”

“うわ、新ボディースーツ見てみたい”

“メーカーさん! さらにエッッッな服でお願いします!!!”

“モンスターの死骸って消えちゃうけど何を素材にするんだ?”

“わざわざティアさんが採りにいくってことは入手困難な素材か”



「なので今回の配信はその素材を採りにいくぞー! そんで完成した新スーツ着て沖縄県洞3号に潜るぞー! 新しい場所に行くための服の素材集めってゲームっぽくて、めっちゃあーし好みー!」 



沖縄県洞3号という言葉に、コメント欄がざわめく。

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