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#24「あーしのケツは煮卵じゃねーし!」

左足首を触手に掴まれているティアの手には愛用のレイピアである聖剣ブリトニーがしっかりと握られている。



「あーしさ、このローパーの十本以上ある触手の中に一本だけまったく動かないのがあるのに気がついたの。それってローパーの【ピー!】なんよね。その【ピー!】でエロアニメみたいにエロい事ができるんだよコイツって。触手見るとすぐにいやらしい事を想像するおめーらならわかるっしょ?」



“……はいw”

“わかります(キリッ!)”

“ピー音がかぶさっていても伝わるw”

“触手とかオークはエロ要員だと思ってしまう現代人の病”

“葛飾北斎もタコの触手エロ春画描いてますし”

“じゃあ日本人の病だw”



ティアは逆さ吊りのまま首を少し曲げて、ローパーの本体である天井からぶら下がっている鍾乳石を見た。



「こいつは本体の鍾乳石に突けば一発で倒せる箇所があるんだけど、そこってかなり高い位置で難しいんだよね。なら倒せなくてもいいから悶絶させようって思ったの。こいつが【ピー!】を攻撃されたら人間の男みたいに痛がるのは、もう見抜いてるから」 



そしてティアは掴まれていない右足を伸ばし、あらかじめ位置を計算していた石柱を力いっぱい蹴った。

振り子のようになってローパーの性器へと向かっていくティアは、大きな声で叫んだ。



「必殺ぅ!!!!!」



聖剣ブリトニーの剣先がキラリと光る。



「尿道オナデストロイヤァァァァァァッ!!!!!!」



ティアはすぐ前まで迫った(他の触手と見た目は一緒の)触手の先端に聖剣ブリトニーを突き刺し、さらに目一杯腕を伸ばす。

ズブブブ……と生々しい音を響かせながら、聖剣ブリトニーが奥へ奥へと突き込まれていく。



“世界イチ最低の必殺技だw”

“いたたたたたた”

“ネーミングwwwwwwww”

“笑いが止まらんw”

“必殺! じゃねえよwww”

“ひどい、これはひどい”

“高難度な自慰を技名にいれるな!!!!wwww”

“これも各国言語に訳されるのかw”

“かっこよく叫ぶなよwwww”

“さっきまで説明に感心してたのにw”

“ああ……あんなに深く……痛そう……”

“タマヒュン”

“あの触手の位置的にこうしないと届かないか”



鍾乳石の穴から出ている触手が痙攣するように震えた。

当然ながらティアの左足首を掴んでいた触手も震えて、ついには拘束を緩めた。



「ちょま! わっ!」



解放されたティアは腕を伸ばして手のひらで地面に着地する。

シーカー必須スキルによって肉体は強化されているのでこれくらいで彼女は骨折するような事はなかったが、落下の勢いで体勢を崩し、尻を高く上げた四つん這いのような姿勢になってしまった。


短いスカートはめくれていて、相変わらずのTバックを履いた小麦色の尻が丸見えになっている。



“煮卵”

“煮卵”

“REC”

“煮卵キターーーーーー!”

“ファーーーーーーーwwww”

“またTバックw”

“煮卵”

“wwwwwwww”

“煮卵”

“世界一有名な煮卵”

“ほう、これが伝説のケツですか”

“尿道オナデストロイヤーからの煮卵コンボwwww”

“素晴らしい煮卵”



ティアが目に入れているスマートコンタクトによってAR表示されている視聴者コメントは「煮卵」の文字で埋まっていた。



「あーしのケツは煮卵じゃねーし! いててて、もうちょっと優しく降ろせよなー」



立ち上がってから見上げると、ローパーはすべての触手をだらんと垂らして本体である鍾乳石を小刻みに震わせていた。



「もう安心だね。これで先に進めるよー!」



ティアはローパーの真下の階段を悠々と降りていく。



そしてまた変わり映えのしない遺跡ダンジョンを進んでいった。

その後もモンスターは出現したが特に苦労する事もなく一撃で倒していき、視聴者はそのたびに驚きや応援のコメントを書き込んでいく。


しばらくしてティアはこれまでとは雰囲気の違う、壁や天井に幾何学模様の装飾が彫られた階段を見つけた。


現在のダンジョン深度は32。



「やっとここまでこれたー! じゃあ記録更新目指すぞー!」



今回のとりあえずの目的地はもうすぐだった。

この階段を降りたところに、まだ未討伐のボス、“霧の魔人”がいる。

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