それぞれの一撃
投稿〜
「ブモォオオオオオオ!」
オークジェネラルは片手に持った斧を振り回して俺たちを近づけさせない。
俺はチラリと横に立つメーデンを確認すると片腕からボタボタと血を流す姿がそこにあった。
「腕は大丈夫なのか?」
「うるせぇ! はぁはぁ…俺の叡智『暴獣の黒アザ』は魔力があれば常に火力が上昇状態だ」
「そうか、俺の『蒼炎斬り』は意地するのに魔力消費が激しい…」
俺とメーデンの攻撃は魔力と維持力が激しい攻撃。
俺は維持による魔力消費が激しく、メーデンは魔力消費と攻撃後の反動。どちらにせよ、攻撃を止める訳にはいかない。
「お互い、魔力が切れるか」
「最初の一撃がまたくれば終わりだ」
そう、オークジェネラルが現れた時に使った強力な一撃。あれは武技と発言していたあたり、間違いなく喰らえば終わりだろう。例え、あの一撃を耐えるにしても並ならない訓練かスキルなどが必要。
「ブモォオオオオオオ!」
向かってくるオークジェネラルに蒼炎を纏った剣で攻撃を仕掛ける。
「ブォオン!」
「シッ!」
オークジェネラルの大振りな一撃を紙一重に交わして攻撃を仕掛けるも効果は薄い。
動きまくるせいで安易な攻撃をすれば巻き込まれる恐れがある故に決め手に掛からない。
「捕まえた!」
「ブモォ!?」
俺に気をとられているうちにメーデンはオークジェネラルの足を両腕で掴む。その両腕から先程とは全く別の痣が浮き出る。
「喰らいついた血肉を引き千切れ!大鰐の顎」
メーデンはそう叫ぶとオークジェネラルの足の肉を自身の馬鹿力で無理矢理引き千切る。
「ブモォオオオオ!?」
「ぐぅ!」
オークジェネラルに致命傷を与えるのは難しい。だが、メーデンが先程やった無理矢理脚の肉を引き千切る攻撃による激痛は尋常では無い。
しかし、それはメーデンも同じの様だ。両腕から明らかに返り血とは思えない傷が浮き出ていたのだ。
それを見て、俺は理解した。暴獣の黒痣は反動が激しい叡智だと言うことに気がつきながらも怯んだオークジェネラルに攻撃を仕掛ける。
「『蒼炎斬り』」
「ブモォ!」
オークジェネラルが身につける鎧を蒼炎で切り裂いていく。鎧を剥がれていくがすぐに暴れ出して、近づけなくなる。
「やはり、決め手にかかるな…」
オークジェネラルの脚が止まったとはいえ、まだまだ腕が動けると見るとまだまだ余裕がありそうだ。
「はぁはぁ…クソタレがぁ」
メーデンも腕の負傷が激しい。既に骨折しているかもしれない…時間はかけられない。
「…」
チラリと背後にいるラインハルトを見る。
「『恵みを与える大いなる水の力を持つ者たちよ、集まれ』」
後方にいるラインハルトはようやく魔法詠唱が始まった様だ。
「フー…」
どれぐらい時間がかかるのかはわからないだが、命懸けなのは一人では無い。
あの一撃を出させない為にも火力を上げる。
「『蒼炎斬り』」
腕の鎧と盾が剥がれると分厚い脂肪が現れる。
「やっとか…」
やっと現したオークジェネラルの鎧下の肉が現れる。これでやっとこっちにも一撃を喰らわせる。
「くっ…」
目の前が立ち絡むが脚で踏ん張って耐える。
「魔力が切れかけているのか…」
オークジェネラルが未だ健在では、不味い状況だ。
せめて、ラインハルトの魔法攻撃を与えない限り、奴は殺し切れない。ならば、出し惜しみはしていられない。
「『蒼炎斬り』」
出来るだけ、火力を上げて傷を負わす一撃を与えるなければ。
「ブモォオオオオ!!」
オークジェネラルの右ストレートが向かってくる。
俺も合わせる様に剣で斬り掛かってぶつかり合う。ズブズブと剣が入る。
だが、数十センチのところで剣がピキィリと音を上げ――
バキィン!
剣が折れる。
「ッ!?」
剣が纏った炎の熱量と硬い鎧との激しいぶつかり合いで耐えられずに先に折れたのか!?
「くっ!」
今は剣が折れた事を考えている暇は無い。せめてあと一撃を――
「ブモォ!」
勢いがまだ残る右ストレートの余波に俺は容易く吹き飛ばされる。そのまま地面に叩きつけられる。
「ガハッ!」
直撃とは、いかないが強力な攻撃に吐血してしまう。 さらに立ち上がろうにも重たい攻撃だった為、立つに立たなくなる。
「ブモォ!?」
動かなくなった俺にトドメを刺そうとオークジェネラルは攻撃をしようとするとメーデンがオークジェネラルの顔までジャンプして近づく。
「跳ねて、叩き落とせ『兎脚・三日月』!」
今度は足に黒い痣が現れた足でオークジェネラルの顔を叩き付ける。
ビキビキィ…
「ッ〜!」
オークジェネラルに一撃を与えたメーデンは激痛を耐えながら落下しながら叫ぶ。
「トドメは…くれて、やる!ヤりやがれ!」
それはラインハルトに向けた叫びだった。
「『溜めよ、溜めよ、そして圧縮し、塊に込めよ』」
ラインハルトは魔法で目の前に創り出したた大きな水の玉をオークジェネラルに向ける。
「『身体強化』」
メーデンがラインハルトの魔法が放たれる範囲だと、気づいた俺は残る魔力全てを『身体強化』に使ってメーデンに近づいて服を掴んでラインハルトの魔法に巻き込まれない所まで離れる。
「ぐがっ!?」
「今だ。ラインハルト」
ラインハルトの職業、精霊騎士と呼ばれる職業は一見、魔戦士に似た様な性質を持っているが大きく違う。 精霊騎士は強力な属性攻撃を放つ事が出来る上に近接戦闘のスキルにも付与効果が適用される。また、精霊騎士は精霊に愛された者だけが獲得できる職業となっている。
完全無欠な職業だと、思われるが一つ大きな欠点がある。それは魔法属性に制限がかけられることだ。
精霊騎士は愛された精霊の属性のみしか、魔法を取得出来なくなる。あらかじめとっていた魔法や継承された魔法ですら使えなくなるという欠点がある。
ゲームだった頃は精霊騎士へなるには精霊に愛されてる事と武技・魔法スキルを四つ取得が条件である。
ラインハルトは水の精霊に愛されている。それも最上位種の精霊の加護の影響を大きく受けており、水魔法しか、使えない欠点ではあるが最上位精霊の加護を受けた強力な魔法を取得している。
それがいま、放たれる。
「『貫け、圧縮水鉄砲』!」
激流とも言える強力な水流がオークジェネラルに向かって放たれる。
「ブモォオ―――」




