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光龍騎士団団長

投稿〜

 ラインハルトから放たれた水魔法がオークジェネラルに直撃と同時に俺とメーデンはその余波に吹き飛ばされる。


 「ガッ!?」


 吹き飛ばされ、地面に頭を強く打ってそこで俺の意識が途切れた。


sideヨゼフ


 「いやはや…歳はとりたく無いですね!」


 ヨゼフは重装備と片手にハルバードを持ちながらデザール達が戦っているオークジェネラルの元へ走っていた。

 

 (後方から馬が走り響く音を聞く辺り援軍到着とみて良いでしょう。ですが、オークジェネラルを止めている彼等に死なれては今後に影響する…急がねば)

 「むっ!」


 ヨゼフは強力な水魔法の攻撃がオークジェネラルに直撃し大きな砂煙を上げるのを目にして足を止める。


 「この威力はライハルトの水魔法…精霊の加護が入った一撃…流石と言いようしかありませんね」


 ヨゼフはそう呟き、足を進め直そうとしたその時、砂煙から巨体の影が現れる。


 「なっ!?」


 ヨゼフはそれを目にして呆気に取られた。


 「ブッ…モォ…」


 オークジェネラルは右腕だけを吹き飛ばされても尚、瀕死の状態でありながら立ち上がったのだ。


 「ッ!」

 (血闘技をいま使えば彼等を巻き込んでしまう。それは特にマズイ!)


 魔物殺しと呼ばれたヨゼフも攻撃に迷いが生じた。


 「ブモォオ…!」


 オークジェネラルはボロボロの左手に武器を持って近くに倒れたデザールとメーデンに構える。


 「武"技"『岩"石"砕"き"』!」


 振り下ろされる強靭な刃を持つ斧を前に成す術がなく、殺されようとした。


 「武技『城壁』」


 ガキィィイイイン!


 直撃を前に現れた大楯を片手で構えた騎士がデザールとメーデンを覆い被さる様に大楯を構えてオークジェネラルの強靭な一撃を受け止める。

 その間に生じた鋼鉄同士がぶつかり合う音が響き渡る。


 「ブモォ!?」


 オークジェネラルは唯一自身が誇る強力な一撃を容易く受け止める騎士に驚愕する。


 「オーク風情には良い一撃だったが…力身過ぎて取るに足らんな」

 「ブモォオ――」


 オークジェネラルは次の一撃を放とうと動くが大楯を持つ騎士はランスを構える。


 「武技『猛進・突』」


 放たれたランスはオークジェネラルの頭部を吹き飛ばされる。頭を失ったオークジェネラルの巨大はズシンと音立てて崩れ落ちる。


 「ぎゃ…」

 「ギィイイ!」

 「ぎゃぎゃ!」


 統率者が目の前で死んだのを目にした魔物達は一斉にピュルル大森林へと一目散に逃げ出すが――


 「武技『斬波』」


 それを逃すまいと騎士は武技を使いランスを横に振って逃げ行く魔物達の背後から攻撃して逃げ出した魔物達を血の海へと変えた。


 「フン…」

 「マルス様」


 ヨゼフは背後から騎士の名前を呼びながら胸に手を当てながら敬礼する。


 「ヨゼフか、新兵たちでよくここまで粘った。ご苦労だ」

 「はっはは…かなりの損害ですがね」

 (()()()()()()()が援軍に来るとは…意外ですね)


 ヨゼフは内心援軍に来たのが光龍騎士団団長マルスに苦笑いしながら話す。

 

 「今回の遠征では、多くの兵士が死んだか…」

 「はい」


 マルスは兜を被っているのでどの様な表情でそれを言っているのかは、兜越しではわからないが()()そうに思っているのだと、ヨゼフのは理解していた。


 「やはり兵士の質が大きく下がっているとは耳にしていたがここまでとは…」

 「兵が増えれば仕方がありませんよマルス様。しばらくは時間をかけて育成するしかありませんよ」

 

 騎士団団長であるマルスは頭を抱える。近年、新兵は入団したところですぐに死んでしまう為、兵力強化が著しくなっていた。

 

 「弱い者も多いですが今年はまだ豊作の方ですよ」

 「…なに?」


 ヨゼフの『豊作』の言葉にマルスは興味を持ってヨゼフに首を向ける。


 「はい。その中の三人の内から新たな騎士団団長が生まれるかも知れません」

 「お前がそこまで言うとは……期待していいんだな?」

 「えぇ、彼らは良い叡智を持っていますからなぁ…この私ですら嫉妬するぐらいに」


 兜越しからマルスはヨゼフを睨む様に見つめる。


 「…良い活躍をした者は優先的に階級を上げ育てろ。これは団長命令だ」

 「御意」

 (勿論ですとも、中級で止めてもらっている分、若者達の育成をやらせてもらいますよ…団長)


 「俺は指揮に戻る」

 「後の処理はこのヨゼフにお任せあれ」


 マルスはそう言ってヨゼフに背を向けて援軍の元へ去っていく。

 ヨゼフは肩の力を抜いて周りを見渡すと先程の話に上げた三人を見る。


 「ふむ…三人とも見事に気絶してますね。特にメーデン君は傷が酷い…やれやれ鍛えてあげるにしろキツいですね」


 デザールは頭を強く打って気絶、メーデンは大怪我のせいで気絶、ラインハルトは魔力切れによる気絶と三人とも見事に気絶はしているが息をしている。


 「私一人では、二人が限界ですね。さて、どうしたものか…」


 ヨゼフは気絶した三人をどの様にして運ぼうかと悩んでいるとふと、思い出す。


 (そう言えば、デザール君の叡智だけは見れませんでしたね。()()()()()のですがねぇ…まだ未覚醒でしか。この戦いで覚醒して欲しかったですが、仕方がありませんね…使えるかもわからない叡智に期待するのは今はやめておこう)


 ヨゼフはそう思いながら行動に移し始めた。


 こうして、二週間近くの新兵強化遠征で起こったピュルル大森林掃討作戦は終了した。

 今回の遠征に出た被害は風龍騎士団二百名が全滅と光龍騎士団七十名がこの掃討作戦に命を散らせた。

 これにより、大帝国は騎士団の兵力強化に見直しが行われる事となる。

次回で二章完結です。

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