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炎の魔術師

投稿〜

sideホウズキ


 意識を失ったセラータをホウズキはゆっくりと両手で抱えると周りのゴブリン達に囲まれていることに気がつく。


 「ぎゃぎゃ」

 「ぎゃ〜!」

 「ぎぃいい!!」


 ゴブリン達はホウズキの周りに囲む様にと集まり嗤う。

 たった一人でひとりの少女を助けに来た馬鹿な奴だと、嗤うゴブリンや気を失ったセラータに見てよだれを垂らしながらギラギラと眼を光らせるゴブリンが何匹もいた。それは完全に欲に眩むケダモノ達の姿がそこにウヨウヨいた。


 「…」


 ホウズキは黙って囲んでいるゴブリン達を見渡す。

 ホウズキは現在、両手でセラータを抱えている為、腰にしまっている剣を抜けない。また、全く抱えているセラータを放す気すら無い。

 

 「…」


 ホウズキはゆっくりと糸目を少し大きく開く。

 そこから見える濁ったエメナルドの様な目をゴブリン達を見る。


 「剣を使うのはめんどくさい。この際は仕方が無い…()()か」


 ホウズキは今まで剣を使った戦いをしていたが、ホウズキはセラータの様に同じ()()()()()()

 ホウズキにとって剣は使える程度のものであり、同時に投げナイフもそうだ。そもそもホウズキは武技すら使った事すら無い。それ以前に持っていない。

 

 「火の魂から生まれし、無邪気な火の子狐達よ、遊べ『火遊び狐』」


 ホウズキはセラータを抱えながら()()()()した。


 『『『コ〜ン!』』』


 三つの火の玉が現れるとすぐにそこから炎を身体から発生させる三匹の子狐達が現れる。


 「ぎぃいい!?」


 突如現れた炎の子狐達に驚くゴブリン達。

 そんな様子を見るホウズキはセラータを抱えながらピュルル大森林から出る為歩き出しながら呟く。


 「遊びの時間ッスよ子狐達」

 

 ホウズキの職業は戦士職では無い。ホウズキの職業は『魔術師』。その中でもホウズキは炎の魔術師である。


 『コ〜ン』

 「ぎぃ――」


 炎の三匹の子狐の内、一匹がゴブリンの足元に近づいて、可愛らしく前足でゴブリンの足を触れる。

 すると炎を巻き上げてゴブリンの全身を焼き尽くし、黒い亡骸に変え焼き殺した。


 「ぎぃ!?」


 あまりにも突然過ぎる現象にゴブリン達は呆気に取られる。


 『コ〜ン〜!』


 子狐は尻尾を横にフリフリと振らせながら楽しそうに鳴く。


 「火狐の子達よ無邪気に遊べ、ゴブリンを焼き尽くす楽しい遊びを楽しめ」


 『『『コ〜ン!!』』』


 火の子狐達は「はーい」と言わんばかりにゴブリンが達に向かって飛び付き次々と焼き尽くして行く。

 そんな子狐達からゴブリンは倒そうとするものや逃げ惑うとするが子狐達は楽しそうに尻尾フリフリと振らせながらゴブリン達を焼き殺し続ける。

 その間にホウズキはセラータを抱えながらピュルル大森林から離れて行く。

 道中、火の玉がセラータを抱えるホウズキの右に現れると炎を巻き上げて尻尾と狐耳を生やした少女が現れる。


 『あんな雑魚には勿体無いぐらいの炎じゃのう』

 「勝手に実体化するなヒナワ」

 

 ホウズキはヒナワと呼ぶ少女を睨むように話す。


 『そう睨むで無い。この辺りは誰もおらんし構わんじゃろ』

 「遠目からなら見られるだろうが…おっと、だろうがッス」

 『その語尾は妾からすれば不自然じゃのう…騎士団に入る前まで愛想の無い口調だったほうが妾は好みじゃのう』


 自身の尻尾を手入れしながらヒナワはホウズキに向けて話す。


 「…だろうな。自分でも不自然な感じなのは理解している。だが、こっちは命令で騎士団に入ったからには悟られないようにいい加減ならないとな」

 『そいうものか。それと子狐どもは遊び終わったようじゃ』

 「案外、早かったな『解除』」


 ヒナワがゴブリンたちが倒し切ったことを伝えるとホウズキは魔法解除して、子狐達を消した。


 「ヒナワもそろそろ姿を消せ…森を出る」

 『やれやれ…まぁ、妾が必要になったら呼ぶと良い。わしも遊び(戦い)たいからのう』


 ヒナワは顔をニンマリとしながら言い終えると炎を上げて消える。


 「さて、行くッスか」

 

 ホウズキはヒナワが消えると両手で抱えたセラータを強く抱えて走り出して、森を出る。


 「まだまだ長引きそうかと思ったが、そろそろ終わるなこの戦いも…」


 ホウズキはセラータを抱えながら光龍騎士団の援軍が到着して、魔物達を押し返しす姿を見る。

 ホウズキとセラータがゴブリンスナイパーを倒している間にどうやら光龍騎士団の援軍が到着していたようだ。

 光龍騎士団の援軍到着を確認したホウズキはオークジェネラルがまだいる場所を見ながら、呟く。


 「後は、大丈夫ッスね…この強力な魔力反応はラインハルトッスね…情報通り、大帝国内で唯一四大精霊の一体に愛された子共の一人ッスね。それにメーデンという奴も中々の叡智ッスね」


 未だオークジェネラルと戦う三人の姿を遠くから観察しながらホウズキは一人の青年に対して疑心を抱いていた。


 「それにしても、お前は何者ッスか? デザール」

 

 今まで青い炎を纏う剣を見た事が無かったが戦場で編み出した技だと、ホウズキは分析していた。

 デザールは前世では知らなかったがバルバトス戦記を進めるにつれ、スキル合成という事ができる。

 これは言葉の通り、スキル同士を合わせる事で新たなスキルが生まれる設定だ。

 本来はステータス画面から選択して出来るものだが、現実となった世界では、ほぼ独学で編み出すものとなっている。

 それはこの世界に置いては才能とも言えるほどの偉業だという事をデザールは知らずにやり遂げた事だ。

 ホウズキはそれ故にただでさえ情報が少ないデザールに対しての警戒が上がってしまった。


 「お前は本当に何者ッス…デザール」

 

 ホウズキの問いに応えてくれるものはいない。

 ただ、デザールを少し観察して、その場から去ることを選択して、援軍がいる場所へとゆっくりと足を進めた。


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