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元凶登場

 「武技『斬波』」


 鎧を纏うヨゼフが放つ武技によって周りの魔物の壁を紙を切る様に容易く薙ぎ倒し、血の噴水を出す。

 

 「やれやれ、塵芥がどれだけ集まろうが私に刃が届かなければ只の的と変わりありませんよ…」


 飛び散ってくる血の噴水を浴びながらヨゼフは魔物の血で出来た水溜りを悠々と歩き進めながら語る。


 「しかし、この魔物の量…魔物大繁殖(スタンピート)である事を認めざるありませんね」

 

 ハルバードを片手で担ぎながら兜越しから新人騎士達の敗走を確認すると肩を落として落胆する。


 「これ以上、新人をやられるのも困りますね…おや?」


 ヨゼフは森から此方に向かって砂煙を上げながら向かってくる何かに気が付く。


 「プギィィイイイ!!」


 そこにはロックリザードに跨って走るオークライダーとそれに続く魔物達だった。


 「アレは確かラインハルト君が報告で言っていた。オークライダーですね。それに続いてゴブリンライダーが十体にさらに続いて塵芥…とっ言った所ですかな」


 兜越しのヨゼフは口を緩ませて、自身が持っている武器のハルバードを見詰める。


 「少し足りませんね…」


 ヨゼフはそう言うと、持っていたハルバードを地面に転がっているゴブリン、オークの死体の血肉に串刺して、血で汚れさせる。

 こんな事をすれば、ヨゼフが持つハルバードの斬れ味は最悪のものとなるのは当然だが、ヨゼフは子供が枝で叩く感覚でハルバードを血で汚していく。


 「ふむ、これくらいですね…塵芥も積もれば山となる。 ならば大掃除しなければなりませんな」


 ヨゼフは血で汚れたハルバードを両手で持ち構え、魔力を流す。

 いつも使う、武技『斬波』とは比べ物にならないくらいの魔力がハルバードに流れ、ハルバードから赤黒く不気味な霧が纏われる。

 

 「我が叡智(エクストラスキル)を見せてあげましょう『血闘技』『血塗レ串矢・赤雨』」

 

 ヨゼフの横降りで放たれたハルバードから出される魔力で込められた一撃は当たりの魔物達が流した血だけを吹き飛ばした。

 飛ばされた血は全て一つの赤黒い矢へと形を変え、ヨゼフに向かってくるオークライダー達に飛んで行く。


 「プギャ―――」


 先頭を走っていたオークライダー何かが届く気付いた時には、回避行動取ろうとした矢先に眉間をぶち抜かれるどころか頭が吹き飛ばされ後列にいたゴブリンライダーの顔半分を吹き飛ばして絶命していく。

 オークライダーが率いた魔物達はヨゼフへと向うまでは、良かったがヨゼフの叡智を前にして全滅した。


 その死屍の数が数なので遠目で見ると紅泉が出来上がっていた。


 「あぁ…やはり何度も見てもあの光景はいい、馬鹿みたいに突っ込んでくる獣の群れを血塗れにして殺す高揚感がやめられませんな」


 兜越しで分からないがヨゼフの兜の中の目はまるでキラキラと光る宝石を見せられて喜ぶ子供のような目をしていた。


 ヨゼフ・スローガは、民集から与えられた二つ名「魔物狩りの英雄ヨゼフ」となっているが帝国軍では、全く別の二つ名でこう呼ばれている。

 

 ――「血の雨(ブラットレイン)ヨゼフ」――


 と呼ばれ、帝国軍で恐れられていた。

 

 「いけませんな…少し昂り過ぎた。戦場に戻らな『ブモォオオオオオオ』!!」


 ピュルル大森林から雄叫びが上がり、ヨゼフは瞬時にその叫び声先に目を向けると遠目でもハッキリと目視分して分かるぐらいの鎧を纏った大きすぎるオークがそこに居た。


 「ッ…何と…ここまで成長した個体が…これはまずいですね!」


 ヨゼフは持っていたハルバードを強く握りしめて、巨大なオークへと向かって走り出す。


――――――――――――――――――――――――


 ヨゼフがオークライダーを蹴散らす数分前のこと。

 メーデンを先頭に進む新兵達の中でも選りすぐり部隊が森にいるスナイパークラスを倒す為、森へと一直線に走しり進める中、それは唐突に現れる。


 『小僧止まれ、これはやばいかもしれんぞ』

 「…ッ! 止まるッス!」 

 「あ? どうした!」


 ホウズキのその言葉を聞いた瞬間に自身も察知して、周りの部隊に呼びかけ、足を止める。

 全員が森を前にして丁度隠れる岩陰に隠れ、立ち止まる。


 「急にどうしたホウズキ?」


 デザールはホウズキに部隊侵攻を引き止めた理由を問いただす。


 「何か大きな魔物がこちらへと向かってきてるッス! この大きさは尋常じゃないッス!」

 「大きな魔物?」

 「まだ、ここからじゃあ見えねぇぞ?」


 メーデンとセラータの発言の通り、現状森から何も見えない。


 「いや、待ってほしい。何かがおかしい」


 ラインハルトは森を見て何かを察知した。


 「若、ホウズキが言っている事はあながち間違えないかと…俺達が目指している森だけが明らかに魔物の出る量が多すぎる」


 バロッサはラインハルトの察知した事に対して、詳しく答える。


 「な、なぁ、気のせいだったらすまねえけど、風も吹いていないのにあそこの林ら辺だけ異様に揺れてないか? いや、こっちにむか「ブモォオオオオオオ!!」ッ!!」


 メーデンに無理矢理ついてこいと言われた新兵が申し訳なさそうに林を指をさして話をした直後、ピュルル大森林から平野まで急接近して来た巨大な魔物が森から姿を現して雄叫び声を上げる。


 「「「「「「!?」」」」」」

 

 現れたのは巨大なオーク…それも、大量の鎧を貼り付けるように着込んだ巨大な一体のオークが姿を現した。

 

 『間違いないのう…魔物の中では、未だ成り立てではあるが間違いなく将軍(ジェネラル)クラスだ小僧』

 「将軍(ジェネラル)クラス…!」


 ホウズキは口にしてしまう。

 この巨大過ぎるオークのクラスを…。


 「おいおい、嘘だろ…」

 「嘘っ…!」

 「コレはマズイ!」

 「…あ、あぁああ…」


 誰もが各々を口を開いて、巨大なオークことオークジェネラルの威圧に呆気に取られる。

 

 「…ッ!」


 魔物達は本来クラスを獲得するのはほぼ二足方向が出来る魔物がクラスを獲得する。

 クラスを保有の有無によっては強さも桁違いに変わる。さらに、付け加えると魔物は動物の変異によって生まれる為、強い変異への刺激が強過ぎると強大な力を手にした魔物が生まれてしまう。

 今回のオークは通常だけでも最大は二メートルまでだが、このオークジェネラルは軽く二メートルを超え、四メートル近くはある。

 

 「ゴクリ…」


 此処にいる者は誰もが理解した。『コイツが今回の元凶であり、風龍騎士団が壊滅した原因でもある』と理解した。


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