戦線は最悪へと進む。
皆様お待たせしました!
side新兵達
ピュルル大森林前の平原で戦う兵士たちの戦場はもはや泥沼化としていた。
四日目にして、夕方に差し掛かった時、騎士団の引き上げをしようとした矢先に魔物の群れが突如、勢いが増し、戦線は危機的状態に陥るまで追い詰められた。
「足止めを緩めるな! 緩めれば死ぬと思え!」
先輩騎士は新兵達を鼓舞しようとするが絶望的状態にその行動は著しく低い。
そのため、今まで最小限の被害はこの四日目にして、絶望的に塗り替えられ、次々と新兵、先導していた先輩騎士ですら、オークとゴブリンの混合の群れに押し潰される。
「ぎゃぁあああ!」
「たっ助け『グシャ』」
「嫌だ嫌だーー!!」
一人、また一人と兵士たちは隊列を崩し落とされ、犠牲者が増える一方だった。
粗悪な槍を持ったゴブリンによって首を刺されて死ぬ者や隊列を崩して真っ先に逃げようとした者はゴブリン達に囲まれ、一体のゴブリンが飛び掛かって体勢を崩した兵士の身体に目掛けてナイフや折れた剣、槍などでズタズタに突き刺される。
「死にたく無いよ…」
「お、俺だって死にたく無いわ!」
「落ち着け! 下手に隊列崩せばさっきの奴らみたいに死ぬぞ!」
今回の遠征に不安を感じていた者とそれを励ましていた新兵の二人は同じ同期である女新兵は今にも腰を抜かしそうな状況下で必死に奮闘する。
「クソォオオ! 俺はこんなところで死ねないんだよ! 仕送りがまだ出来てないんだよ!」
「お前がこんな状況でいい奴だって知れるとはな!」
「うるせぇ! この際、本音を叫ぶ方が戦う方が戦い易いんだよ!」
二人の新兵はこの場で関係の無い発言をしているが必死に向かってくるゴブリン達を各々が持つ剣、槍で少しずつ倒して生き残ろうと奮闘する。
「こんな状況で馬鹿な話をしないでよ! これでもひ弱な少女なんですよぉお!」
女騎士はそんな二人発言に涙ぐみながら剣を持ちながら嘆いていると錆びたかったナイフを持ったゴブリン三体が女騎士に襲いかかる。
「「「ぎぃいい!」」」
「ひぃいいい! 『蓮撃』!」
女騎士は飛び掛かって来たゴブリン三体に片手で持った剣で武技を発動させ、三体のゴブリンをまとめてバラバラに斬り刻み、血肉があたりに飛び散る。
「「いや、何処がひ弱だよ!!」」
飛び掛かって来たゴブリンをバラバラに斬り刻んだ圧倒的な力を見た二人は女騎士にツッコミを入れるがすぐにゴブリン達がまた、襲い掛かって来る。
「「「「ぎぃいい!」」」」
「また、来たぞ!」
「援軍はまだ!…」
「神様ぁあああ」
男二人は魔物を目の前にして、悪態を吐き、女の方は絶望的状態を間近にして、神頼みする他無かった。
三人は完全に終わりだと、悟った瞬間、誰かが三人の頭の上に影が横切る。
「えっ?」
「ぎぃい――『ゴキャ』」
ゴブリンが飛び掛かろうした矢先にゴブリンよりも上から鉄製の五尺棒が振り下ろされ、ゴブリンの頭蓋骨が陥没し絶命し、地面に叩き付けられた死体は跳ねて、ゴブリンの群れに飛んで行く。
「はしゃぐな雑魚」
そう口にしたのは鉄製の五尺棒を持ったメーデンだった。
「『霙斬り』」
「『波紋』」
メーデンに続いて、左右から襲い掛かろうとしていた、ゴブリン達を右がセラータ、左がラインハルトと二人の強力な攻撃で斬り刻まれ、吹き飛ばされ、血が飛び散る。
「前に出過ぎ、私達が隊列をくずしてどうするの?」
セラータは真っ先に新兵達に駆け付けたメーデンを指摘する。
「はっ! その前に全体の部隊が削られる方が問題だろうが」
「っ…というか貴方、態度変わり過ぎ」
sideメーデン
俺ははセラータとか言う女を睨みながら言い返す。そうしていると後方から残り四人が到着するのを確認する。
「若殿! 先走る理由はわかるが部隊は崩さない方が効率的ですよ」
「分かっている。だが、これ以上、魔物に突破されるのは問題なのは間違えないだろう」
バロッサに指摘を受けるがこの状況下で突破される方が厄介だったのは事実だ。
「まぁまぁ…どちらにせよ。今は争っている場合じゃあ無いでしょ?」
向かって来たゴブリンの頭を片手に付けていた小さな盾で殴り飛ばしながら答えるのは今回の作戦で組んでいる中世的な顔立ちのテテルに部隊全員に言う。
「うむ! テテルの言う通り、争っている場合では無いな!」
向かってくるゴブリンの眉間にレイピアを突き刺し、斬り捨てながら答える。
「大丈夫か? 多めに回復薬を貰っているから三人とも飲むといい」
「あ、あぁ…助かった」
「さっさと飲むほうがいいッスよ。魔物に囲まれると飲むどころじゃあ無くなるッスからねぇ」
呆気に取られていた三人組はデザールが持ってきた回復薬を渡されるがホウズキの一言ですぐに回復薬を飲み干す。
「おい、赤髪! お前は確か、索敵が得意だったな」
「そうッスよ。後、俺はホウズキという名があるのでそちらで呼んでもらえると助かるッス」
「なら、今ここにいる魔物が何体か調べろ」
俺はこの状況で魔物達の数を把握する為に赤髪の男、ホウズキに調べさせる。
「随分荒っぽい命令ッスね…」
ホウズキは首を森の方へと向けながら言う。
「調べるまでも無く沢山ッスよ…数は把握するだけでも百はいるッスね」
「なら、その中からクラス持ちは?」
「六体ッスよ…そのうち一体は森に潜んでるッスね。恐らくスナイパークラス持ちッスね」
俺は赤髪の索敵からクラス持ちの情報を得ると、持っていた鉄の五尺棒を握りしめる。
「なら、そいつが今回の戦線を崩した奴だな…ここへ来るまでやられてた奴らは新兵以外のほぼ矢だったからな」
「そうなると、目の前の魔物の壁を壊す突破口が欲しいな」
俺がそう言うと、先程まで同期と話していたデザールが前に出る。
「俺が活路を開く。その後は、頼む。『風魔法制御』+『風切』」
俺はデザールから放たれた風魔法の『風切』の一般的放たれるものより少し大きく、長距離まで飛ばされ目の前の魔物壁を一掃したことにか思考が停止仕掛けた。
「…見事な」
「…ッ!」
「マジか…」
この場にいた者は先程まで、壁のように立ち塞がる魔物達がたった一人の男の魔法で活路が開かれたことに驚愕する。
近くにいたデザールに回復薬を渡されていた三人組は驚愕し、口を開けたまま、デザールに目を向けるが力が抜けたように膝をついてしまう。
「ぐっ…魔力制御スキルと魔力制御が付与された仮面を使用しても魔力の消費はかなり大きいか…」
そう呟くと、腰に下げていたら雑嚢に腕を突っ込んみ魔力回復薬を開け、呑み干して立ち上がる。
「…ッ! 活路が開かれた今がチャンスだ! そこの三人組も死にたくなきゃ俺らに続け!!」
俺はそう叫びならが、五尺棒握りしめて開かれた道に走り出す。
「若!」
「また、勝手に!」
「やれやれッスね」
メーデンが先に走り出すと他のもの達も続々と続いて、目の前の魔物達に向かって走り出す。
「野郎…」
俺は走りながら向かってくる魔物をなぎ倒しながら、先程の野郎が見せた強力な風魔法の一撃…援護だけじゃあねぇって事かよ。
チンタラしてると野郎に手柄を持ってかれるのは、気に食わねぇ! 俺は強く、誰よりも先の上に立つ! 金と媚びる事しか脳の無い貴族と馬鹿にした奴らを踏み台にするまではこんな奴に負ければ、俺のプライドが許さねぇ!
「ぎゃあーす!」
「ぎぃいい!」
メーデンの目の前と上からゴブリンが襲い掛かる。
「邪魔だぁああ!!!」
しかし、ゴブリン達は呆気なくメーデンの鉄製の五尺棒で叩き潰される。
「このまま本丸に向かって進むぞ!」




