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報告と異変

ようやく書けた…

 ピュルル大森林前の光龍騎士団ベース拠点の指揮官天幕にて、複数の騎士達が報告に来ていた。その中にもセラータをリーダーとしたチームもその場にいた。


 「ヨゼフ指揮官の前だ。無礼がない様にな」

 

 指揮官天幕を警護していた騎士にそう言われると天幕を開けて中に通され、中に入るとヨゼフ教官こと指揮官が椅子に座りながら机に貼られた地図と資料を見ていたが、セラータ達に気がつくと何枚かの資料を束ねると発言する。

 「それで君達は私に何ようかね?」

 「では、恐れながら私から」


 先に挙手したのはセラータだった。


 「私のチームはピュルル大森林を入って数十分後にゴブリン達と遭遇し、これを討伐しました」

 「ふむ? 普通の報告の様に聞こえるが?」

 「いえ、話しはこの後からです。ゴブリン達を討伐を終えた私達は死体の処理をしている最中に仲間のデザールが処理していたゴブリンの死体が腰に巻いていた布が妙に真新しい事に気づきこれを調べました」

 「ほう…何かわかったのかね?」


 ヨゼフは眉間にシワを寄せながら自身の髭をさすりながらセラータの話しの続きを聞く。


 「はい、その布を調べた結果、風龍騎士団の旗布であるという事がわかりました。 証拠の旗布もこちらにあります」


 セラータはそう言うと、ホウズキが革袋に入れていた旗布を出して広げて見せる。


 「!…なるほど、事実の様だね」

 「また、これを見つけた後、すぐに報告をしようと帰還を判断した矢先に同期の騎士がオークとゴブリン達が共に行動して、襲っていたのでこれを撃破しました」

 「他の魔物が共闘していたというのは本当かね」


 ヨゼフは別種の魔物が共闘していた事を聞き直す。

 

 「はい、これは明らかな異変と言いようしか無いと判断し、報告に参りました。私からは以上です」

 

 セラータは書き直された事を的確に報告し、報告を終える。

 ヨゼフは眉間にシワを寄せながらぶつぶつと何かを考えながら紙を取り出して何かを書き始める準備をしておく。


 「それで他の者は?」

 「では、私から」

 

 次に挙手したのは新人騎士の中でも一番年上のバロッサだ。元傭兵の人であり、傭兵を辞めて騎士団へ入団した男だ。顔立ちは老けているが十八際とまだ若者。


 「私のチームでは、オークが鎧や大楯を持っている重武装をした個体と遭遇しました。仲間の一人が死亡しましたが討伐は抜かりなく」

 「ふむ、武装か…武装だと!?……わかった。次」


 ヨゼフは「やはり」と口にしながらも次を待つ騎士に報告を聞き入れる。


 「はっ! 私のチームはそちらのセラータ殿が話した魔物が他の魔物と共闘して、新たなクラスが発生している事に報告しに来ました!」


 最後に答えたのは白一色で纏った騎士だった。彼はチーム編成の際でセラータとチームを組もうとしていたラインハルトという青年だった。


 「私のチームは川沿い付近の魔物を討伐していましたが、途中でオークとロックホーンが騎乗したオークライダーを確認。何とか、ロックホーンは倒せましたが肝心のオークには逃げられました」

 「ライダークラスが発生か、これはどうやら新兵教育どころでは無さそうですね…」


 ヨゼフは椅子から立ち上がり、セラータ達の前に出てコツコツと歩きながらぶつぶつと何かを言い終えると何かを決断した様にセラータ達の方を見て口を開く。


 「君達には今回の件と大幅な作戦変更を先に伝えて置きます。実は君達が報告しに此処へ来るまで私の部下が風龍騎士団の騎士の鎧兜を発見していました」


 その言葉を聞いたその場にいる全員が驚きを隠せ無かった。


 「鎧兜一つでは、援軍は呼べない事だったのですが君達の報告を聞けば聞くほど此度の件は著しく深刻な状況になりました。すぐに援軍の用意と対策をならなけばなりません」


 一部の新人騎士はゴクリと唾を呑み、上官であるヨゼフは話を続ける。


 「そこで一度小規模の討伐隊を集め、この拠点へ魔物達を引き寄せ、時間を稼ぎます。魔物を呼び寄せる為に『ハーメルンの笛』を使い少しずつ撃破していくので各自要心しておいてください」

 「「「「「了解」」」」」


 新人騎士一同はヨゼフに大帝国式の敬礼をして、その場から解散した。



sideデザール


 ヨゼフ上官へ報告を終えた俺は歩きながら上官が言っていた事を考えていた。


 「腑に落ちないな…」


 上官はあぁ言っていたが、なんとなくだが、今回初めての遠征は奇妙な点が多過ぎる。


 「腑に落ちないってなにが?」


 そう隣から聞いてきたのはセラータだった。チームリーダーとして任せている以上、ここは率直に言っておく方がいいだろう。


 「あぁ、今回の遠征もそうだが、ヨゼフ中級騎士のあの話を聞いていて奇妙な点が多過ぎる」

 「奇妙な点って、鎧兜の事?」

 

 セラータの言葉に俺は頷きながら、話を続ける。


 「あぁ、それもそうだが一番腑に落ちないのは今回の遠征と風龍騎士団の存在だ。まず俺達はまだ新兵だ。入団してまだ一年も経ってない奴らを遠征に出すか?」

 「確かに練度の低い軍隊を率いたところでその軍隊に価値は低いっスね…」


 途中から入って来たホウズキも話の間に入ってくる。


 「後、一番腑に落ちない風龍騎士団が来ていた事…いやこの場合()()している事だ」

 「全滅…確かに武装したオークの報告や新しいクラスオークライダーの話を聞けば納得」

 「…」


 そう、あの話の中では、武装したオーク、オークライダーの報告…もしかしてこれは――


 「まっ悩んでても仕方がないっスよ!今日は寝ましょうよセラータちゃん!」

 「うるさい…寝たいなら寝かせてあげるわ『放電(スパーク)』」

 「あばばば!!」


 お気楽なホウズキはセラータと戯れようとするのでセラータは罰としてスキルで眠らされる(物理的)。

 プスプスと音立てながら倒れ込んだ。そんなホウズキを見ながら俺はセラータに話す。


 「セラータ…ホウズキに苛立つのはわかるが運ぶのは俺なんだが?」

 「……夕食のパンを半分あげる」

 「いや、要らんよ…」


 なんだかんだで遠征前もこんな感じだったので慣れては来た。というかホウズキ…お前なんかセラータの『放電(スパーク)』を受けることに喜んでいないか? 気のせいだと、思いたい…。だが、もしも、そっち系なら取得屋を紹介しておくか。どうやら稀にあそこは被害者が出るそうだ。

 


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