森の異変
「そうッス…これ風龍騎士団の紋様ッスよ」
「風龍騎士団? 別の騎士団の騎士が何故此処に?」
大帝国の騎士団は五つも存在する。火龍騎士団、水龍騎士団、風龍騎士団、土竜騎士団、光龍騎士団と存在する。どの騎士団にも紋様が刻まれており、名の通りの龍の紋様が描かれている。そんな中でゴブリンが身に付けるには真新しい過ぎる布を調べたホウズキが風龍騎士団が所属する旗の布だと分かった。
「風龍騎士団も此処に遠征で来てたという事?」
「そうなるッスね」
ホウズキはセラータの言葉に頷く。
「だとするなら早く報告したほうが良いかもしれないな」
これは俺の推測だが、このゴブリン達は只の斥候か森の一定範囲内に貼られた守護兵だとすれば、これ以上の探索はしないのが得策だろう。それにゴブリンが巻いていた布の旗からすれば遠征から来た風龍騎士団は全滅した可能性が高い。そもそも騎士団が旗を持って行く時点でそれは数多くの兵士を率いたこととなる。旗はそもそも目印であり、象徴とも言えるもの。それを軍人が簡単に持ち運べるものでは無い。
「そう、早過ぎるけどそれを回収してほう―「うわぁああ!」ッ!?」
「「!?」」
叫び声が聞こえた俺達はすぐ様聞こえた方向に目を向けるとそこには剣を持ったオークが光龍騎士団の同期の新人騎士一人を追いまわしていた。
「プギィイイイ!」
「た、助けてくれ!」
新人騎士をよく見ると鞘に剣が納刀されていない。これは完全に剣を捨てて逃げて来た事を理解した俺は助けに入る為に向かおうとすると先にセラータが走り出す。
「オークは一体だけじゃあ無いッス! 周りにゴブリンが六体いるッス。」
出遅れたホウズキは遅れた分に敵兵の数を見極めてそれを声に出して報告する。
「了解した。セラータ命令は?」
俺は先走るセラータに命令を聞く。セラータは走りながら少し考えてから答える。
「私はオークを相手するには身長差が大きいからデザール頼める?」
「了解した。オークは任せろ」
「ホウズキは私とゴブリンを相手にする」
「了解ッス!」
チームリーダーのセラータの命令を聞き終え、追われている新人騎士へ向かう。
「俺が武技で仕掛ける『斬撃』」
「ぎゃ!?――」
俺は武技の斬撃を飛ばして前にいたゴブリンの頭を刈り取り、魔物達はその攻撃を受けた事によりこちらに視線を向ける。
「プギィイイイ!!」
「「「「「ぎゃぎゃぎゃ!!」」」」」
オークは跳ね飛ばされたゴブリンの頭を見て、後ろに振り向き、ゴブリン達を俺達に向かう様に指揮をした。
「剣技『霙斬り』」
セラータは向かって来るゴブリン二体に武技を使ってゴブリン達の前を通り過ぎるとゴブリン達は血飛沫を上げて絶命する。
「シッ!」
ホウズキはゴブリンの首を斬り付け出血死を狙ってゴブリン達を圧倒する。
俺はその様子を少し見ながらオークを相手にする。
「プギャァアア!!」
剣を持ったオークは片手で剣を持って俺に斬りかかるが俺は剣に魔力を注ぎ紅紋様を浮き出し、その剣を受けると見せかけて絡め取ってオークの首を掻っ切る。
「プギャッァア!?」
「『斬撃』」
隙も与えずに武技で手足を斬り落とした。オークは支える手足が無くなったことによって倒れるも必死に暴れ出そうとするがオークの頭に脚で踏みつけて押さえ付け剣を脳天に差し込み絶滅させた。
「オークは討伐した。そちらは?」
「こっちもゴブリン達は殲滅したッスよ」
俺やホウズキはセラータに討伐報告をする。
「了解、私とホウズキは周囲の警戒。デザールは逃げて来た騎士の安否を」
「了解した」
セラータの的確な命令に俺は従って逃げて来た騎士の元へ向かう。どうやら逃げるのに疲れて木の横で倒れ込んでいた。
「大丈夫か? お前があって来た奴らこっちで倒したが何があった?」
「はぁはぁ、そ、そうか…わ、分からないゴブリン達を倒して、周囲の警戒をしていたら急に現れたんだ」
「そうか、わかった」
急に現れ襲ってきたか…それにゴブリンとオークが共闘していること自体がおかしい。基本的に魔物は同じ種族としか、群れを為さない。だが、今回はイレギュラーな事に共闘していた。何故?…それにゴブリンが撒いていた風龍騎士団の旗布も気になる。
駄目だ、情報が曖昧過ぎる。もう少し情報を集めなければ分からないな。だが、少なくともわかる事は一つこの森に魔物が大量発生している事は紛れもない事実だな。
sideセラータ
私は周囲の警戒をしながら考え事をしていた。私はこのチームのリーダーをやっていけるか不安になった。というのも私以外の二人の実力と能力の高さに驚きを隠せなかった。まず、デザールに至っては始めの斬り込みに適格性と三人がかりで倒せるオークを容易く倒した。入団後の訓練見せた剣術でオークが持っていた剣を絡めとって首を刈り取った。凄まじいの一言と言いようし無い。明らかに乱戦慣れしている。
次にホウズキに至っては戦場状況報告の適格性は前と同様だったがよくよく考えてみれば、彼の状況報告の適格過ぎる。追って来たオークとゴブリン達には遠距離攻撃ができるものがいなかったとは言え、この森は浅瀬でも緑がかなり生茂ってる。遠距離から狙って来る魔物だってある筈だが、それを瞬時に報告した。もしかしたら元は狩人だったのかと思ったが、ゴブリンを殺したあの剣術…何処かで見たような剣術だった。 兎も角、この二人…優秀過ぎる。一見優秀なチームに入れた良い様に見えるがそれじゃあ、私の目的が果たせない。チームリーダーとして、この二人と付き合っていかなければ行けない。
そう、頭に入れて置き戻って来たデザールと目が合う。
「報告いいか?」
私はホウズキに警戒を頼んでデザールが聞いた同期の騎士の話しを聞き終えると一時撤退を決めた。
「撤退するしか、無い。デザールの言う通り、明らかに魔物の動きと習性も変わり過ぎてる。さっきの風龍騎士団の旗布とオークの耳を回収して撤退!」
「「了解」ッス!」
現状はこれで良いはずだ。少なくともこれで…。




