影の伏兵に気付かなかった。
緊迫する中、私は驚きを隠せなかった。
まさか、伯爵…私達帝国民の子供でさえ、知っている貴族の高い位に位置する者だとわかる。
そんな中、私は聞き耳を立てて聞いた売られる子供とは誰とは分からない。
けど、私は誰が売られるかは調べる前に脱獄を優先して考えた為、知らない事だった。
それを今知って、ただでさえ混乱している中、さらなる疑問が私の思考を混乱させる。
「売られる前に教えてやるよ。お前の買い手の伯爵様はな、男の癖に幼い男の子が大変好みらしくてな、特にギルお前は伯爵様にみられた時から莫大な金を出してまでお前を手に入れようとして来たんだよ!」
院長は吹っ切れた様に話す。
「お前はこの孤児院史上の最高高額買取の商品何だよ。だから大人しくしてもらおうか」
院長は言うとギルに向けて手を掲げる。
ギルは何かを感じ取り交わす様に右に飛ぶ。
「『クイックスタン』」
「ぐっ!レナにかけた魔法か!」
ギルは必死に交わす。
「チッ避けやがったか…」
「…っ逃げてギル!」
私は逃げる様に促す。
「ふざけんな!レナを置いて行けるわけないだろ!」
私の言葉にギルは反発する。
「お願い…逃げて…」
私は必死に言うしか、無かった。
私としては助けに来てくれたギルには感謝しか、無いからこそ逃げて欲しいかった。
「いいから逃げてよ!!」
「っ!…絶対に助けるかな!」
ギルは走って逃げてくれた。
それでいいんだよ…ギル…。
「逃すかよ」
院長はギルを追いかけ用とするが私が脚を両手で掴み邪魔をする。
「テメェ…いい加減にしろ!」
院長はもう片方の脚で私を足蹴りして、剥がそうとする。
私は痛みに耐えながらギルが脱獄する為の時間を稼ぐ。
「しつこいんだよ!」
「がはっ…」
しかし、私は掴むのに限界が来てしまい引き剥がされてしまう。
「しつこい…まだ脱獄出来ると思ってるのか?」
「っ…私は…あき、らめて…いない!」
私は強く院長に言い返す。
そうだ、此処で諦めた所で何の為の計画だ。此処まで来たなら最後まで足掻いてやる。
私は最後まで諦めない。
それにまだ脱獄為に危険を犯してまで組んだデザールがいる。
デザールが来るまで耐え切れば私の…
「…スラム街のガキに期待でもしてるのか?」
「え"?」
どうして知ってるの?
私は院長の言葉を聞いて凍り付く。
「ガキは来ないぞ」
院長は口元をニヤニヤしながら凍り付いた私に続けて言う。
「ガキはゴロツキどもに端金で殺す様に命令したからな…それも五人も送ったからな失敗の可能性は低いだろうなぁ」
「そ、んな」
私の希望はボロボロに崩れ落ちてしまう。
だが、そんな絶望の中、私は最後に疑問が浮かんだ。
(院長は何故、私の情報を詳しく知っているの?)
院長は私の髪の毛を鷲掴みにしながらギルが走って居た廊下を歩く。
私は鷲掴みにされた痛みと引きずられる痛みに耐えながら聞き出す。
「どう、して、此処まで、知って…」
「どうしか、教えてやるよ…俺は賢いガキが嫌いだからな…お前の様に脱獄を考える馬鹿の為に伏兵を用意して置いたんだよ」
「っ…ふ、く、へい?」
ズリズリと引きずられながらも私は聞く。
「そうさ、だから俺は――」
***
sideギル
俺は必死に走り出す。
レナを絶対に救い出して、一緒に脱獄してやる為にはまずは逃げるしか、無かった。
例え、それがレナを置いてでも逃げるしか、無かった。あの状況じゃあ、絶対に院長に勝てないと俺でもわかった。
なら、戦う戦力な必要だ。
そいつはレナが危険を犯してまで見つけた協力者らしい…そいつはに頼み込むしか、他が無い。
俺はレナを置いて行ってしまったことを悔しながら廊下を走る。
「――!」
俺は走りながら前に脱獄組の仲間を見つける。
俺は急いでレナを助ける為に声を掛けようとする。
「おい、大変だ!――「『クイックスタン』」な!?」
俺は院長がレナに放った同じ魔法を食らってしまい、倒れ込む。
「駄目だろギル…廊下を走ったら」
俺は倒れ込見ながら近づいてくる奴を見上げる。
「嘘、だろ…」
俺は驚きを隠せなかった。
まさか、こいつが魔法が使えるなんて知らなかった。孤児院の子供達は魔法を取得していない筈だった。しかしこいつは覚えていた。
「…まさ、か、院長にバレ、たのは」
「当然、僕だね」
コイツ!…悪いとも思ってやがらねぇ。
今もレナが酷い目に合ってるにも関わらず…!
「ふ、ざけん、な!」
俺は上を見上げながらそいつの名前を言う。
「ふ、ざけ、るな!レフ!」
そのレフはニコニコと笑った顔で俺を見ていた。
***
sideレナ
「そうさ、だから俺は自分の子供をこの孤児院に紛れ込ませた」
それを聞いた私はまるで辺りが凍り付いた様な寒気が襲った。
「その表情からして、分かるだろ?お前はこの孤児院では一番頭が良いからなぁ?」
院長は口元をニヤリとしながら私を見つめる。
「嘘で、しょ?」
「嘘でも無いさ…アイツは俺の子供だ」
この計画を話したのは、二人しかいない…助けに来てくれたギルは違うならもう一人しか、いない。
「レフ…」
「そう、レフは万が一の為に用意しておいた、この孤児院のとっておきの伏兵だ」
私は何もかもが無駄に終わったのだと、悟ってしまった。




